この記事を読むと、次のことが分かります。
・外国人材の転職事情
・転職の外国人を受入れる企業が注意すべきポイント
・外国人が転職する際の手続き
・転職の外国人を受入れるときに必要な手続き
・就労資格証明書の概要や注意点
人手不足に悩んでいる企業の中には、自社に転職を希望する外国人材の受入れを積極的に検討したい、それが可能な体制をつくりたい、と考えている企業もあるでしょう。
最近は、新卒採用においても、グローバルビジネス対応におけるニーズや外国人材ならではの感性やスキルに引かれて、雇用を検討するケースも多いようです[1]。
転職受入れ、つまり中途採用のメリットは、日本人の場合と同様、育成のコストを減らし、即戦力としての活躍が期待できる点にあるでしょう。
一方で、いざ外国人材の雇用を検討するとなると「日本人を雇用するのとどこが違う?」「外国人を受入れる際に特別な手続きが必要?」など、知識不足から不安に感じることも多いのではないでしょうか。
本稿では、転職の外国人を受入れる際に注意すべき点や、必要な手続きなどについて解説します。外国人を安心して雇用するためにも、ぜひご一読ください。
目次
1. 外国人の転職事情
本章では外国人の転職事情について見ていきます。そもそも外国人は転職できるのか、また転職するならどのような方法があるのかといった基本的な内容からお伝えしましょう。
1-1. そもそも外国人は転職できる?
結論からいうと、外国人も転職可能です。しかし、日本人の場合とは異なり、外国人の転職では在留資格によって、就労制限があったり、原則転職が認められていなかったりする場合があります。
在留資格とは外国人が日本に合法的に滞在するために必要となる資格のことで、2023年6月時点で29種類あります。在留資格によって日本で認められる活動内容が異なり、就労できるかどうかも在留資格次第です。
就労できる場合であっても、就労にまったく制限がない場合と、一定の制限がある場合があります。在留資格による就労の可否・制限は、以下の通りです。
就労の可否・制限 | 在留資格 |
制限なく就労可能 | 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者 |
一定の範囲で就労可能 | 技術・人文知識・国際業務、高度専門職、教育、介護、特定技能、技能実習など |
指定される活動によって就労の可否が異なる | 特定活動 |
就労不可 | 文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在 |
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の4つの在留資格については就労に制限がないため、転職も自由です。
一方、技術・人文知識・国際業務、高度専門職、特定技能といった多くの在留資格は、活動できる内容に制限があるため、在留資格で認められている範囲を超えた就労はできません。つまり、転職は可能ですが、在留資格で認められていない業務を転職先で行うことはできないということです。
技能実習に限っては、「一定の範囲で就労可能」となっているものの転職は認められていません。また、高度専門職の場合は、所属機関が指定されているケースがあるので、その場合は転職の際に在留資格変更許可申請が必要になります。
特定活動の在留資格の場合、そもそも就労の可否によって条件が変わってきます。例えば、外国人留学生が卒業後も就職活動を続けるために特定活動を取得した場合、就労はできません。
これに対して、高度専門職外国人の配偶者が一定の要件を満たして特定活動(高度専門職外国人の就労する配偶者)を取得した場合は、一定の範囲で就労でき、範囲内なら転職も可能です。
1-2. 外国人が転職する方法
外国人が転職活動を行う際も、日本人の場合と同様、転職エージェントや求人サイトが活用されています。中でも、外国人の求人に特化したサービスは、言語能力など外国人ならではの魅力を求めている企業が求人を出しているため、外国人も利用しやすいようです。
転職希望の外国人を雇用したいと考えている場合は、外国人に特化した転職エージェント・求人サイトの活用も検討してみてはいかがでしょうか。
なお、企業が求人を出すとき、「〇〇語ができる人」といった条件を記載することは可能です。しかし、特定の国を挙げて「〇〇人」「〇〇出身の人」などの条件を記載することはできないので注意しましょう。
2. 外国人の転職、受入れ企業が注意すべきポイント
自社に転職を希望する外国人から連絡があったら、企業側はどのように対応すればよいのでしょうか。本章では、外国人を受入れる企業が注意すべきポイントを3点解説します。
2-1. 在留資格の種類
受入れ企業は、まず外国人に在留カードや旅券(パスポート)の提示を求め、在留資格を確認します。在留カードには、在留資格や就労制限の有無などが記載されています。就労が認められている在留資格を持っているのか、自社の業務に従事できるのかなどを、入念に確認しましょう。
在留カードを確認する際は、必ず原本を提示してもらい、偽造カードでないか、有効期限が切れていないかもチェックすることが大切です。
在留カードを確認するポイントについては、こちらもご確認ください。
2-2. 前職の業務との違い
受入れ企業は、外国人の前職についてもヒアリングし、業務の違いを把握する必要があります。なぜなら、前職の業務との違いによって、必要な手続きが異なることがあるからです。特に、2-3でお伝えする在留資格の変更に関する判断は重要です。
2-3. 在留資格変更の要否判断
前職の業務との違いを把握することで、在留資格の変更の必要性を判断できます。前職と同様の業務であれば、多くの場合在留資格を変更しなくても雇用できます。
例えば、語学スクールの講師をしていた外国人が別の語学スクールに講師として転職する場合のように、業務内容は変わらず、就労先だけを変えるというケースです。
ただし、語学スクールで英語講師をしていた外国人が小学校の英語教師に転職する場合、英語を教えるという業務は同じように感じますが、必要な在留資格は異なります。そのため、このケースでは在留資格の変更が必要です。
また、語学スクールの講師をしていた外国人が通訳・翻訳の業務に就く場合、一見すると業務が異なるように感じるかもしれません。しかしいずれも、技術・人文知識・国際業務の在留資格の活動範囲に含まれるため、このケースでは在留資格の変更は不要です。
このようにさまざまなケースが考えられるため、受入れ企業は、外国人が有する在留資格で活動できる範囲をしっかりと確認することが大切です。
もし在留資格を変更しなければならない状況で変更していなければ、不法就労となってしまいます。受入れ企業も不法就労助長罪で罰せられることがあるので、十分に注意してください。
3. 外国人の転職と在留資格に関する手続き
本章では、「転職前の在留資格で許可されている業務に就く場合」と「転職前の在留資格で許可されていない業務に就く場合」の2パターンに分け、それぞれのシーンで必要な在留資格に関する手続きについて解説します。
3-1. 転職前の在留資格で許可されている業務に就く場合
転職前の在留資格で許可されている業務に就く場合、在留資格の変更は不要です。ただし、在留期間が残り3カ月程度になっている場合は、在留期間の更新手続きを始めましょう。更新には標準で2週間~1カ月程度かかるため、早めに手続きしておくと安心です。
参考)
出入国在留管理庁|在留期間更新許可申請についてはこちら
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-3.html
3-2. 転職前の在留資格で許可されていない業務に就く場合
転職前の在留資格で許可されていない業務に就く場合は、入社前に在留資格の変更が必要です。変更の許可が下りるまでには、標準で2週間~1カ月程度かかります。許可が下りる前に働き始めると不法就労になってしまうので、受入れ企業は外国人に早めの申請を促しましょう。
入社予定日に在留資格変更の許可が下りていない場合は、働き始める日程を調整する必要があります。受入れ企業は柔軟に対応できるようにしておくとよいでしょう。
参考)
出入国在留管理庁|在留資格変更許可申請についてはこちら
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-2.html
4. 外国人の転職、受入れ決定後に必要な手続き
続いて、外国人を雇用することが決定した後に必要な手続きについて解説します。
4-1. 雇用契約の締結
外国人を雇用する際も、日本人の場合と同様、雇用契約を結びます。雇用契約を締結するための書類には「雇用契約書」「労働条件通知書」があります。
雇用契約書とは、外国人と企業の双方が労働条件について合意したことの証明になる書類です。法的に義務付けられたものではありませんが、トラブル防止のためにも取り交わしておくことをおすすめします。
一方、労働条件通知書は労働条件に関する事項を記載した書類で、こちらは交付が法的に義務付けられています。
雇用契約書や労働条件通知書は、外国人本人が労働条件などを理解するために必要な書類です。そのため、外国人が理解できる言語(母国語)でも作成することをおすすめします。トラブル防止にもつながるので、作成の際は、日本語と外国人の母国語の2パターンを用意しましょう。
厚生労働省のホームページで、英語、中国語、ベトナム語など外国語に対応した労働条件通知書が公開されているので、参考にしてみてください。
参考)
厚生労働省|外国人労働者向けモデル労働条件通知書はこちら
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000056460.html
雇用契約書、労働条件通知書とも、雇用が決まったとき、もしくは入社時に取り交わすのが一般的です。
労働条件通知書については、こちらの記事でも詳しく解説しています。参考にしてみてください。
4-2. 健康保険や厚生年金、雇用保険など社会保険への加入手続き
外国人を雇用する際も、日本人の場合と同様、健康保険や厚生年金などの社会保険に加入させる必要があります。加入手続きも、日本人を雇用する際と同様で、雇用した日から5日以内に、被保険者資格取得届を日本年金機構に提出します。
保険者が全国健康保険協会(協会けんぽ)以外の場合は、健康保険組合でも手続きが必要です。
また、雇用保険に関しても、日本人を雇用する際と同様、外国人を加入させる義務があります。条件によって雇用保険に入れない人もいますが、ほとんどの人が雇用保険に加入することになるでしょう。
4-3. 雇用保険に加入しない場合は「外国人雇用状況届出書」の提出
外国人(外交、公用および特別永住者の在留資格取得者を除く)を雇用する全ての企業は、「外国人雇用状況届出書」を提出しなければなりません。
ただし、外国人が雇用保険に加入する場合は、加入手続きを行うことで外国人雇用状況届出書を提出したと見なされます。4-2で述べた通り、ほとんどの外国人は雇用保険に加入するため、外国人雇用状況届出書の提出は省略できることが多いでしょう。
1週間の所定労働時間が20時間未満などのケースで外国人が雇用保険に入れない場合は、雇用保険の加入手続きを行いません。そうなると企業は、外国人雇用状況届出書を提出しなければならなくなります。
届け出なかったり届け出の内容が虚偽であったりした場合は、罰金が課せられる可能性があるので、忘れずに正しく手続きを行ってください(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第40条)。
外国人雇用状況届出書については、こちらの記事でも詳しく解説しています。参考にしてみてください。
4-4. 本人による「契約機関に関する届出」「活動機関に関する届出」
外国人が転職した場合、保有している在留資格によっては出入国在留管理庁長官に対し、転職後14日以内に「契約機関に関する届出」「活動機関に関する届出」のいずれかを届け出る必要があります。
届け出は外国人本人が行うのが原則です。企業側は、転職後に届け出が必要であることを外国人に案内できるとよいでしょう。
必要な届け出は、在留資格によって決まっています。
必要な届け出 | 在留資格 |
契約機関に関する届出 | 高度専門職の一部、研究、技術・人文知識・国際業務、介護、興行(日本の機関との契約に基づいて活動する場合に限る)、技能、特定技能 |
活動機関に関する届出 | 教授、高度専門職の一部、経営・管理、法律・会計業務、医療、教育、企業内転勤、技能実習、留学、研修 |
期限内に届け出なかった場合、20万円以下の罰金が課せられる可能性があります(出入国管理及び難民認定法[入管法]第71条の5)。今後在留期間を更新する際に影響が出ることもあるので、外国人が確実に届け出るよう企業としても配慮するようにしましょう。
なお、届け出方法などは出入国在留管理庁のホームページから確認できます。
参考)
出入国在留管理庁|「契約機関に関する届出」の詳細はこちら
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00015.html
参考)
出入国在留管理庁|「活動機関に関する届出」の詳細はこちら
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00014.html
5. 外国人が転職時に取得しておくとよい「就労資格証明書」
外国人が在留資格を変更せずに転職する際は、「就労資格証明書」を取得しておくのがおすすめです。本章では就労資格証明書についてお伝えします。
5-1. 就労資格証明書とは「今の在留資格で転職先の業務を行えることを証明するもの」
就労資格証明書とは、外国人の申請に基づき、その在留資格で行える仕事を法務大臣が証明する文書です。
そもそも在留資格は、申請する際に行う予定の活動に対し認められます。つまり、現在持っている在留資格は、前職に対し許可されたものです。転職後の活動が現在の在留資格で認められている活動だからといって、転職先での活動に対して認められたものではないのです。
就労資格証明書を申請すると、転職先の業務が在留資格で認められる範囲であるかを審査されます。取得した就労資格証明書に「活動に該当する」といった内容が記載されていれば、転職先での活動が在留資格でできる活動の範囲内であると認められたことになります。
5-2. 企業に就労資格証明書の確認をおすすめする理由とメリット
企業に就労資格証明書の確認をおすすめする理由は、外国人が自社で働ける人材かどうかを判断しやすくなるからです。外国人は在留資格によって日本でできる活動が制限されているため、外国人を雇用する企業は、自社での活動が在留資格で認められている範囲なのかを判断しなければなりません。
「在留資格を確認すればよいのでは?」と思うかもしれませんが、在留資格の確認だけでは具体的な活動内容についての判断が難しいケースもあります。外国人ができる具体的な活動が就労資格証明書によって証明されていれば、企業としても判断しやすくなり、安心して雇用できるでしょう。
5-3. 就労資格証明書を確認する上での注意点
本章では、企業が就労資格証明書を確認することをおすすめしていますが、就労資格証明書は転職の際になくてはならないものではないという点を頭に入れておいてください。外国人が就労資格証明書を提出しないからといって、その外国人を不当に扱うことがあってはなりません(入管法第19条の2第2項)。
また、就労資格証明書は外国人が就労するための許可書ではありません。就労できるかどうかは在留資格を確認し、在留資格で認められている活動について具体的に把握したい場合に、就労資格証明書を確認するといったスタンスがよいでしょう。
6. 転職の外国人を受入れたら自社の環境を整えよう
転職の外国人を受入れたら、外国人が活躍できる環境、定着しやすい環境を整えることが大切です。言語や文化の違いからコミュニケーションに課題を抱える企業は多く見られます。外国人従業員や日本人従業員にヒアリングを行うなど、自社に合う工夫が必要です。
中には、さまざまな工夫で外国人が働く環境を整えている企業もあります。それらの工夫の一例を紹介します。
・イスラム教徒の外国人を雇用したことをきっかけに、社内に「お祈り部屋」を 設置したり、社員食堂で豚肉を使用した料理が分かるように表記したりした
・日本人従業員を対象に、外国人従業員を講師とした英語教室を開催した
・外国人従業員が帰郷しやすいよう、帰郷のための休暇制度を創設した
異文化への理解を深める、コミュニケーションを積極的にとる、外国人従業員が置かれた状況に配慮するなど、さまざまな観点から外国人が働きやすい環境を整えられるよう工夫することが大切です。
このような現場レベルの理解を醸成すると同時に、経営レベル・管理レベルにも理解が求められます。経営レベル・管理レベルでは、外国人を採用することによるリスクや事務手続きなどに不安を抱えていることが多いようです。
このような不安からくる無理解には、外国人雇用に関わる制度について正しい知識を身に付けたり外部機関を積極的に活用したりすることが有効です。現場レベル・経営レベル・管理レベルの各レイヤーで社内理解が浸透すれば、外国人にとって働きやすい環境が整い、能力を発揮しやすくなるでしょう。
7. まとめ
外国人も転職可能です。しかし、日本人の場合とは異なり、外国人の転職では在留資格によって、就労制限があったり、原則転職が認められていなかったりする場合があります。
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の4つの在留資格については就労に制限がないため、転職も自由です。
一方、技術・人文知識・国際業務、高度専門職、特定技能といった多くの在留資格は、転職は可能ですが、在留資格で認められていない業務を転職先で行うことはできません。また、技能実習に限っては転職は不可となっています。
その他、特定活動の在留資格は、指定される活動によって就労の可否が異なるため、それに伴い転職の可否も変わります。
外国人が転職活動を行う際は、外国人に特化した転職エージェント・求人サイトが活用されています。転職希望の外国人を雇用したいと考えている企業は、このようなサービスで求人を出すことを検討してみるとよいでしょう。
外国人を受入れる企業が注意すべきポイントは以下の3点です。
・在留資格の種類
・前職の業務との違い
・在留資格変更の要否判断
受入れ企業は、外国人が有する在留資格で活動できる範囲をしっかりと確認しましょう。転職前の在留資格で許可されている業務に就く場合、在留資格の変更は不要です。
一方、転職前の在留資格で許可されていない業務に就く場合は、入社前に在留資格の変更が必要です。変更の許可が下りるまでには、標準で2週間~1カ月程度かかります。許可が下りる前に働き始めると不法就労になってしまうので、受入れ企業は外国人に早めの申請を促しましょう。
外国人を雇用する際も、日本人の場合と同様、雇用契約を結びます。雇用契約を締結するための書類には、雇用契約書、労働条件通知書があります。これらは外国人本人が労働条件などを理解するために必要な書類ですので、外国人が理解できる言語(母国語)で作成することをおすすめします。
健康保険や厚生年金、雇用保険など社会保険の加入については、日本人を雇用する場合と同様の手続きが必要です。また、雇用する外国人が雇用保険に入れない場合は、外国人雇用状況届出書を提出することも忘れてはなりません。
さらに外国人が転職した場合は、持っている在留資格によって出入国在留管理庁長官に対し、転職後14日以内に契約機関に関する届出・活動機関に関する届出のいずれかを届け出る必要もあります。
届け出は外国人本人が行うのが原則です。企業側は、転職後に届け出が必要であることを外国人に案内できるとよいでしょう。
外国人が在留資格を変更せずに転職する場合、企業は就労資格証明書を確認することをおすすめします。就労資格証明書とは、外国人の申請に基づき、その在留資格で行える仕事を法務大臣が証明する文書です。
外国人が就労資格証明書を申請すると、転職先の業務が在留資格で認められる範囲であるかを審査されます。取得した就労資格証明書に「活動に該当する」といった内容が記載されていれば、在留資格でできる活動の範囲内であると認められたことになります。
企業に就労資格証明書の確認をおすすめする理由は、外国人が自社で働ける人材かどうかを判断しやすくなるからです。
在留資格の確認だけでは具体的な活動内容についての判断が難しいケースもあります。外国人ができる具体的な活動が就労資格証明書によって証明されていれば、企業としても判断しやすくなり、安心して雇用できるでしょう。
ただし、就労資格証明書は転職の際になくてはならないものではありません。外国人が就労資格証明書を提出しないからといって、その外国人を不当に扱うことがないよう注意してください(入管法第19条の2第2項)。
転職の外国人を受入れたら、外国人が活躍できる環境、定着しやすい環境を整えるよう配慮することも欠かせません。異文化への理解を深める、コミュニケーションを積極的にとる、外国人従業員が置かれた状況に配慮するなど、さまざまな観点から外国人従業員をサポートし、能力を最大限に生かせる環境を整えましょう。
現場レベルの理解を醸成すると同時に、経営レベル・管理レベルでも理解が必要です。外国人雇用に関わる制度について正しい知識を身に付けたり、外部機関を積極的に活用したりして理解を深めましょう。
現場レベル・経営レベル・管理レベルの各レイヤーで社内理解が浸透すれば、外国人従業員が働きやすい環境が整います。結果的に、外国人従業員の能力が発揮されやすくなり、自社にとって大きな力となるでしょう。
[1] 株式会社ディスコ「外国人留学生/高度外国人材の採用に関する調査(2020 年 12 月調査)」,
https://www.disc.co.jp/wp/wp-content/uploads/2021/01/2020kigyou-global-report.pdf(閲覧日:2023年6月23日)
参考)
出入国在留管理庁「在留資格一覧表」,https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/qaq5.html(閲覧日:2023年6月19日)
出入国在留管理庁「在留申請のオンライン手続」,https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/onlineshinsei.html(閲覧日:2023年6月19日)
厚生労働省「外国人の雇用」,https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page11.html(閲覧日:2023年6月19日)
日本年金機構「就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き」,https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20150422.html(閲覧日:2023年6月19日)
出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出手続」,https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/shozokunikansuru_00001.html(閲覧日:2023年6月19日)
出入国在留管理庁「就労資格証明書(入管法第19条の2)」,https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/syuurou_00001.html(閲覧日:2023年6月19日)
厚生労働省「外国人の採用や雇用管理を考える事業主・人事担当者の方々へ 外国人の活用好事例集 ~外国人と上手く協働していくために~」, https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11655000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu-Gaikokujinkoyoutaisakuka/741015kkf0920.pdf(閲覧日:2023年6月19日)