外国人インターンシップ生受入れの基本【在留資格、報酬、税金、保険】

この記事を読むと、次のことが分かります。
・外国人インターンシップのメリット
・外国人インターンシップ生の受入れ方法・注意点
・外国人インターンシップ生に必要な在留資格
・外国人インターンシップ生の受入れ事例

外国人留学生はインターンシップに意欲的です。2020年の調査によると、75.9%の外国人留学生がインターンシップに参加しています[1]外国人材雇用を検討している企業は、インターンシップを活用してみてはいかがでしょうか。

とはいえ、何をどうすれば?というところが分からず、二の足を踏んでしまっている企業もあるかもしれません。知識や情報が少ないと不安になってしまいます。まずは外国人のインターンシップ事情について基本的なところを押さえ、必要なアクションにつなげていきましょう。

本稿では、外国人インターンシップ生を受入れるメリット受入れ方法注意点在留資格など、外国人のインターンシップについての情報を網羅的に解説します。外国人インターンシップ生を円滑に受入れられるよう、ぜひ参考にしてください。

外国人雇用のガイドブック_まなびJAPAN

1. 外国人インターンシップの種類

インターンシップとは、学生が自分の専攻や将来のキャリアに関連した就業体験を行う機会のことです。冒頭では外国人留学生に関する調査を例に挙げましたが、実際には海外の大学からインターンシップのために来日する例もあります。

インターンシップは画一的な制度というわけではなく、大学の制度として運営されていることもあれば、企業が主催することもあります。大学の制度である場合も、正式に教育課程として行われ、単位になるケースもあれば、課外活動として行われるケースもあります。

外国人インターンシップは、大きく二つに分類することができます。一つずつ見ていきましょう。

1-1. 日本の大学に在籍する外国人留学生が対象のインターンシップ

まず、日本の大学に在籍している外国人留学生が対象の場合です。彼らは、日本人の大学生と同じ制度を使って、インターンシップに参加することができます。

ただし、外国人留学生の場合、在留資格に注意が必要です。「留学」の在留資格では就労が許可されていません。このため、インターンシップに報酬が発生する場合は、本人が「資格外活動許可」を取得する必要があります。

「資格外活動許可」には二つの種類があり、一つは「包括許可」、もう一つは「個別許可」といいます。留学生がアルバイトをする際に取得するのは、「包括許可」です。包括許可を得ていると、原則として週に28時間まで(長期休業期間中は1日8時間まで)働くことができます。

インターンシップの場合も、長期休業期間を除いて週の従事時間数が28時間に収まるなら、「包括許可」でOKです。それを超える場合は、「個別許可」を取得する必要があります。ただし、以下の条件を満たすことが条件です。

・短期大学を除く大学、あるいは大学院に在籍していること
・インターンシップを行う年度末に卒業を予定していること
・学部生の場合は卒業に必要な単位をほぼ取得していること

留学生が4年制大学に在籍している場合、3年次のインターンシップでは、「個別許可」は取得できない=長期休業期間を除いて週に28時間までしか働くことはできない、ということになりますので、注意が必要です。

1-2. 海外の大学に在籍する学生が対象のインターンシップ

次に、海外の大学に在籍している学生が対象の場合です。彼らが来日して日本企業等でインターンシップを行うには、そのための在留資格の取得が必要になります。

通常使われるのは、「特定活動(告示9号)」という在留資格です。「特定活動(告示9号)」はインターンシップのための在留資格で、これを取得するためには以下の条件を満たす必要があります。

・当該活動が教育課程の一部であること
・大学と受入れ企業との間でインターンシップに係る契約が締結されていること
報酬があること
・1回のインターンシップの期間が1年を超えないこと
・インターンシップの通算期間が在籍する海外大学の修業年限の2分の1を超えないこと
学生の専攻とインターンシップの活動内容が関連していること
・受入れ企業が、十分なインターンシップ生の受入れ・指導体制をとっていること

インターンシップ生が在籍している大学が、受入れ企業と契約を結んだ上で、インターンシップを単位の認定対象として正式に教育課程に組み込んでいる場合のみ、取得できる在留資格ということになります。

また、インターンシップの回数や期間については、例えば4年制の大学の場合、1年間日本でインターンを行って帰国し、再度入国してもう1年体験する、といったことが可能です。

「特定活動(告示9号)」以外では、「文化活動」「短期滞在」の在留資格をインターンシップに活用することができます。ただし、この場合は無報酬が前提となります。

このように、外国人インターンシップ生を受け入れるにあたっては、在籍している大学が日本か海外か、報酬の有無、教育課程上の扱い、在留資格の種類、期間に関する制約など、確認することがいくつかあります。

インターンシップを行う際に必要な在留資格については、5章で詳しくお伝えします。

参考)
出入国在留管理庁「外国の大学の学生が行うインターンシップ(在留資格「特定活動」(出入国管理及び 難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる 活動を定める件第9号))に係るガイドライン」https://www.moj.go.jp/isa/content/930005575.pdf

2. 外国人インターンシップのメリット

ここでは、外国人インターンシップのメリットについて、企業の視点と、外国人インターンシップ生本人の視点、それぞれから解説します。

2-1. 外国人インターンシップ生を受入れる企業にとってのメリット

外国人インターンシップ生を受入れる企業にとってのメリットとして、社員の育成につながることが挙げられます。たとえば、外国人インターンシップ生と社員が交流することで、社員の外国語スキルの向上が期待できます。今後、海外展開や海外企業との取引など国際的な事業を検討している企業にとっては、大きなメリットでしょう。

また、外国人インターンシップ生の受入れは企業力の向上にもつながります。異なる文化や価値観を持つ外国人インターンシップ生は、企業に今までなかった新しい視点アイデアをもたらします。彼らの視点やアイデアを尊重し、取り入れることで、企業のイノベーション力や創造力、問題解決力の向上などにも効果的に働くでしょう。

さらに、外国人インターンシップ生を受入れることで、将来的な人材の確保も期待できます。インターンシップ後、インターンシップ先の企業に就職を決める外国人留学生は少なくないようです。企業側としても、インターンシップを通して外国人の能力や雰囲気などをつかめるため、採用後のミスマッチを防げるでしょう。

2-2. 外国人インターンシップ生本人にとってのメリット

外国人インターンシップ生本人にとってのメリットとして挙げられるのは、日本のビジネス文化への理解を深められることです。インターンシップにより日本のビジネス文化や職場習慣を経験することで、ビジネスにおける異文化理解が進み、日本企業での仕事に適応しやすくなります。日本企業への就職を考えている外国人にとっては、プラス要素になるでしょう。

また、インターンシップの経験は、日本語力の向上にも役立ちます。インターンシップでは日常会話だけでなくビジネス会話も求められるため、さまざまなシーンに適応できる日本語力が身に付きます。このような幅広い日本語力は、今後のキャリアにも生かせるでしょう。

サマージョブとインターンシップの違い

海外の大学に在籍する外国人学生が日本で就業体験をする方法として、インターンとは別に「サマージョブ制度」があります。

出入国在留管理庁によると、それぞれの定義は以下の通りです[2]

・インターンシップ:学業等の一環として、我が国の企業等において実習を行う活動
・サマージョブ:学業の遂行及び将来の就業に資するものとして、夏季休暇等の期間(3月を超えない期間)を利用して我が国の企業等の業務に従事する活動

どちらも、現地の大学と日本企業等とが契約を結んだ上での就業体験という点は同じですが、サマージョブはインターンシップと異なり、教育課程には含まれません。あくまで課外活動として、夏季休業等の長期休業中に行うものです。「ジョブ」なので、有報酬が前提です。期間については、インターンシップが1回当たり1年以内であるのに対し、サマージョブは3カ月以内となっています。

サマージョブを目的として来日する場合、取得できる在留資格は「特定活動(告示12号)」です。

3. 外国人インターンシップ生の受入れ方法

外国人インターンシップ生を受入れたい場合、まず希望者を募ります。その後受入れるインターンシップ生が決まったら、在留資格に関する手続きを行います。それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。

3-1. 【ステップ1】募集する

外国人インターンシップ生を受入れたいと考えたら、まずインターンシップ生を募集します。インターンシップ生を募集するには、国が提供しているサービスや事業を活用する方法があります。

まず「外国人雇用サービスセンター」を活用する方法です。外国人雇用サービスセンターとは、外国人の就職をサポートする、厚生労働省管轄の機関で、企業と留学生のマッチングやインターンシップ参加者を対象とした事前講習などを行っています。

参考)厚生労働省|外国人雇用サービスセンター一覧はこちら
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12638.html

続いて、「国際化促進インターンシップ事業」を活用する方法です。国際化促進インターンシップ事業とは、経済産業省が日本企業の海外展開などを支援するための事業です。企業エントリーフォームから登録すると、事務局でマッチングが行われる仕組みになっています。

参考)経済産業省|国際化促進インターンシップ事業の詳細はこちら
https://internshipprogram.go.jp/

その他には、人材紹介会社や自治体などが提供する「マッチングサービス」や、外国人留学生を受入れている大学などを利用して募集する方法もあります。

ただし、これらのサービスを利用したからといって、必ずしもマッチングできるわけではありません。その点は頭に入れておく必要があるでしょう。

3-2. 【ステップ2】在留資格に関する手続きを行う

インターンシップを希望する外国人とマッチングができたら、次に在留資格に関する手続きを行います。海外の大学に在籍している学生を受入れる場合と、日本の大学に留学している外国人学生を受入れる場合の2パターンに分けて解説します。

3-2-1. 海外の大学に在籍している学生を受入れる場合

海外の大学に在籍している学生を受入れる場合、外国人が入国する前に、外国人本人もしくは企業が「在留資格認定証明書交付申請」を行います。

在留資格認定証明書交付申請とは、日本に入国する外国人が入国後に行う予定の活動が、在留資格に該当するものであるかを証明するためのものです。「在留資格認定証明書」が交付されたら、外国人本人が母国にある日本国大使館または総領事館でビザを申請し、発給されたら日本に入国できるようになります。

3-2-2. 日本の大学に留学している外国人学生を受入れる場合

1-1でご紹介した通り、「留学」の在留資格を保有する学生が有報酬でインターンシップを行う場合、資格外活動許可の申請が必要です。

資格外活動許可の申請は、基本的に外国人本人が行います。インターンシップ先の担当者が申請等取次者としての承認を受けていて、外国人本人から依頼された場合は、インターンシップ先の担当者が申請を行うことも可能です。

4.  外国人インターンシップ生受入れの注意点

外国人インターンシップ生を受け入れる際は、以下のような点に注意が必要です。

・在留資格と業務の関係
・文化や価値観への配慮

一つずつ確認しましょう。

・在留資格と業務の関係

外国人の日本における活動内容は、その外国人が保有する在留資格に規定されます。

例えば、海外の大学に在籍する学生が、「特定活動(告示9号)」の在留資格でインターンシップを行う場合は、教育課程に組み込まれているため、インターンシップ中の業務内容は本人の専攻と関連があるものでなければなりません。

また、すでに述べた通り、日本の大学に在籍する留学生が有報酬インターンシップに参加する場合、「資格外活動許可申請」が必要です(1-1参照)。資格外活動で許可された時間数を超えて就労させると、留学生本人は不法就労となり、企業は「不法就労助長罪」に問われる恐れがあるので、注意しましょう。

・文化や価値観への配慮

外国人インターンシップ生を受入れるにあたっては、文化や価値観への配慮も大切です。事前に従業員に説明を行う、相互理解を促進するための取り組みを行うなど、受入れ体制を整えましょう。

また、日本国内の大学に在籍するインターンシップ生は、インターンシップと就職活動を結び付けて考える傾向がありますが、海外の大学に在籍するインターンシップ生の場合はそうとも限りません。彼らにとってインターンシップは大学の教育課程の一環であり、「インターンシップ=学びや経験の機会」というとらえ方も一般的です。もちろん、日本企業に就職するためのステップとしてインターンに参加するケースもありますが、ベースにある意識が多様であることを、認識しておきましょう。

5. 外国人インターンシップ生に必要な在留資格

外国人がインターンシップを行う際に必要な在留資格は、外国人の現在の状況報酬の有無、インターンシップの期間などによって異なります。それぞれのケースで必要な在留資格・手続きを以下の表にまとめました。確認にお役立てください。

外国人の現在の状況報酬の有無インターンシップの期間・従事する時間在留資格・必要な手続き
在留資格「留学」で日本の大学に留学中・「特定活動」で就職活動中などあり28時間超/週資格外活動許可(個別許可)
28時間以内/週資格外活動許可(包括許可)
なし必要な手続きなし
海外の大学に在籍中あり1年を超えない特定活動(告示9号)
なし90日超文化活動
90日以内短期滞在

出入国在留管理庁「インターンシップに関する在留資格等」を基にライトワークスにて作成, https://www.moj.go.jp/isa/content/001401822.pdf(閲覧日:2023年9月6日)

6. インターンシップ生が外国人だった場合、税金や保険はどうなるか

外国人インターンシップ生を報酬ありで受入れる場合、税金や保険はどのように対処すれば良いのでしょうか。本章では、税金や社会保険の扱い方について解説します。

6-1. 外国人インターンシップ生の報酬に係る税金

インターンシップで報酬が発生する場合、その報酬は給与として扱われます。報酬に対しては所得税が課されますが、インターンシップ生が居住者か非居住者かによって、課税方式が異なります。

居住者とは、日本国内に住所を有する、もしくは日本国内に現在まで引き続き1年以上住んでいる人のことです。非居住者とは、居住者以外の人のことです。居住者と非居住者の判定は難しい場合もありますが、留学生の場合は就学期間などが目安になります。

インターンシップ生が居住者である場合、課税方式は一般のアルバイトと同じ扱いです。給与を支払うたびに、源泉徴収税を差し引き、年末調整を行います。

一方、インターンシップ生が非居住者である場合は、源泉分離課税方式が取られます。給与を支払うたびに、原則20.42%の税率により源泉徴収するものです。

ただし、非居住者のインターンシップ生に対しては、日本と外国人の母国との租税条約により、免税される場合があります。企業は、インターンシップ生の出身国や、その国と日本との間で租税条約が締結されているかを確認しておきましょう。租税条約の内容は相手国によって異なるため、締結されている場合は、その内容まで確認しておくことが必要です。

参考)国税庁|租税条約締結国はこちら https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/report/2003/japanese/tab/tab31.htm

6-2. 外国人インターンシップ生の社会保険

外国人インターンシップ生を報酬ありで受入れる場合、従事する時間や日数によっては社会保険の対象となります。対象となるのは、1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上である場合です。

このような場合は、インターンシップ生でも社会保険に加入することになり、報酬から健康保険料と厚生年金保険料を天引きします。あらかじめインターンシップ生に社会保険の仕組みを説明し、納得してもらうことが必要です。

ただし、社会保険については、「社会保障協定」によって加入しなくても良いケースがあります。社会保障協定とは、保険料の二重負担を防止したり、将来の年金受給資格を確保したりするための協定です。

社会保障協定が発効されている国は、中国韓国インドブラジルなど22カ国です(2022年6月1日時点)。相手国によって協定の内容が異なりますので、インターンシップ生を受入れる前にしっかりと確認しておきましょう。

参考)日本年金機構|社会保障協定についての詳細はこちら
https://www.nenkin.go.jp/service/shaho-kyotei/20141125.html

当該インターンシップ生が社会保険の加入対象者となるかどうかについては、最寄りの年金事務所に相談することをお勧めします。

7. 外国人インターンシップ生の受入れ事例3選

本章では、外国人インターンシップ生を受入れた企業の事例を紹介します。受入れたきっかけや任せた業務内容、受入れによる効果を中心にお伝えします。

7-1. 株式会社Another Works

海外進出を検討している「株式会社Another Works」は、海外における市場調査を推進することと、海外人材の受入れ経験を積むことを目的に、外国人インターンシップ生を受入れました。インターンシップ生には、英語論文の要約や海外事業のリサーチ・企画といった、外国人ならではの視点を生かせる業務を任せました。

外国人インターンシップ生の受入れを通じて、社員のグローバル感覚が養われ、海外人材の受入れをポジティブに考えられるようになったとのことです。

参考)経済産業省|国際化促進インターンシップ事業事例紹介「株式会社Another Works」 https://internshipprogram.go.jp/theme/case/case2022_02.html

7-2. 有限会社クレアールカンパニー

製造業や出店戦略コンサルティング業などの事業を展開する「有限会社クレアールカンパニー」は、日本とマレーシアの架け橋となるような事業を展開しています。マレーシア産ドリアンを日本に輸入する事業を開始するに先立ち、マレーシアにおけるドリアン産業に関する情報を収集し、業界の課題を明らかにするために、インターンシップ生を募集しました。

こちらの企業が行ったインターンシップは、オンラインで行うもの。マレーシアに住む大学生に、ドリアン農園や関連団体のリストアップ、輸出に関する基本情報の収集、関連先へのアンケート依頼などを任せました。

オンラインでのインターンシップということで、特にコミュニケーションを意識したようです。短いミーティングを1日4回毎日行い、積極的に情報共有意見交換をすることで、自主性を発揮しつつ自己判断によるミスを防げたといいます。

デジタルスキルが高く、多言語ができるインターンシップ生を受入れたことで、日本人が気付かない広い範囲の情報を得られたとのことです。

参考)経済産業省|国際化促進インターンシップ事業事例紹介「有限会社クレアールカンパニー」
https://internshipprogram.go.jp/theme/case/case2020_05.html

7-3. 株式会社中外陶園

陶磁器工芸メーカーの「株式会社中外陶園」は、後継者不足という課題を抱え、今後東南アジア地域に生産拠点を増やしていきたいと考えています。その第一歩として、東南アジア地域からインターンシップ生を受入れ、文化や価値観を知ったり、自社が求めるものづくりとの方向性を探ったりしたいと考えました。

インターンシップ前半はやきものづくりの体験や陶磁器文化の学習、後半は品質管理基準やチームによる業務分担、チェック体制などの業務を体験したとのこと。

外国人インターンシップ生を受入れたことで、インターンシップ生のサポートをしていた若手社員が成長したり、社員の間でインターンシップ生とコミュニケーションを取ろうとする雰囲気が生まれたりといった効果が感じられたそうです。

参考)経済産業省|国際化促進インターンシップ事業事例紹介「株式会社 中外陶園」 https://internshipprogram.go.jp/theme/case/case2019_10.html

8. まとめ

インターンシップは、学生が自分の専攻や将来のキャリアに関連した就業体験を行うことです。外国人留学生はインターンシップに意欲的で、2020年の調査によると、75.9%の留学生がインターンシップに参加していました。

外国人学生を対象とするインターンシップには2種類あります。一つは、日本の大学に在籍する留学生を対象とするもの、もう一つは、海外の大学に在籍する外国人学生を対象とするものです。

まず、日本の大学に在籍する留学生を対象とするインターンシップでは、留学生は日本人学生と同じシステムでインターンシップに参加することができます。ただし、インターンシップに報酬が発生する場合は注意が必要です。彼らが有する「留学」の在留資格では就労が認められていないため、従事する時間数によって「資格外活動許可申請」をしてもらう必要があります。

一方、海外の大学に在籍する外国人学生を対象とするインターンシップでは、学生に、インターンシップを行うための在留資格を取得してもらう必要があります。

通常使われるのは、インターンシップのための在留資格である「特定活動(告示9号)」です。これを取得するためには以下の条件を満たす必要があります。

・当該活動が教育課程の一部であること
・大学と受入れ企業との間でインターンシップに係る契約が締結されていること
報酬があること
・1回のインターンシップの期間が1年を超えないこと
・インターンシップの通算期間が在籍する海外大学の修業年限の2分の1を超えないこと
学生の専攻とインターンシップの活動内容が関連していること
・受入れ企業が、十分なインターンシップ生の受入れ・指導体制をとっていること

無報酬のインターンシップの場合は、「文化活動」「短期滞在」の在留資格を活用することができます。

外国人インターンシップ生を受入れる企業にとってのメリットには、以下のようなことがあります。
社員の育成につながる
企業力の向上につながる
・将来的な人材の確保が期待できる

外国人インターンシップ生本人にとってのメリットには、以下のようなことがあります。
日本のビジネス文化への理解を深められる
日本語力の向上に役立つ

外国人インターンシップ生を受入れたい場合は、まず希望者を募集します。「外国人雇用サービスセンター」や「国際化促進インターンシップ事業」といった国が提供しているサービスや事業を活用するのも良いでしょう。

その他には、人材紹介会社や自治体などが提供する「マッチングサービス」や、外国人留学生を受入れている大学などを利用して募集する方法もあります。ただし、これらのサービスを利用したからといって、必ずしもマッチングできるわけではありません

インターンシップを希望する外国人とマッチングができたら、次に在留資格に関する手続きを行います。海外の大学に在籍している学生を受入れる場合、外国人が入国する前に、外国人本人または企業が「在留資格認定証明書交付申請」を行います。

外国人インターンシップ生を受入れる際は以下の点に注意しましょう。
・在留資格と業務の関係
・文化や価値観への配慮

外国人インターンシップ生を受入れる企業は、在留資格や税金、保険などについてしっかりと理解しておく必要があります。以下の表にまとめましたので、ぜひご覧ください。

外国人の状況就業体験の種類教育課程の一部か否か報酬期間・従事する時間在留資格所得税社会保険
在留資格「留学」で日本の大学に留学中・「特定活動」で就職活動中などインターンシップ大学によるあり28時間超/週資格外活動許可(個別許可)課税正社員の4分の3以上の時間従事する場合、加入
28時間以内/週資格外活動許可(包括許可)
なし必要な手続きなし対象外対象外
海外の大学に在籍中インターンシップ一部あり1年を超えない特定活動(告示9号)課税正社員の4分の3以上の時間従事する場合、加入
なし90日超文化活動対象外対象外
90日以内短期滞在
サマージョブ否(教育課程に含まれない)あり長期休暇期間(90日以内)特定活動(告示12号)課税正社員の4分の3以上の時間従事する場合、加入

外国人インターンシップ生を受入れたい企業は、上記の表の内容を十分に理解し、インターンシップ生を受入れる準備を整えましょう。

外国人雇用のガイドブック_まなびJAPAN

[1] パーソル総合研究所×CAMP「留学生の就職活動と入社後の実態に関する定量調査」,p.22,https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/foreign-students.pdf(閲覧日:2023年7月24日)
[2] 出入国在留管理庁「在留資格「特定活動」(インターンシップ・サマージョブ・国際文化交流)」,https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities03.html(閲覧日:2023年7月24日)

参考)
出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」,https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-1.html(閲覧日:2023年7月24日)
出入国在留管理庁「インターンシップをご希望のみなさまへ」,https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00109.html(閲覧日:2023年7月24日)
出入国在留管理庁「在留資格「文化活動」」,https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/culturalactivities.html(閲覧日:2023年7月24日)
出入国在留管理庁「「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について」,https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00003.html(閲覧日:2023年7月24日)
出入国在留管理庁「資格外活動許可申請」,https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-8.html(閲覧日:2023年8月14日)
出入国在留管理庁「外国の大学の学生が行うインターンシップ(在留資格「特定活動」(出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件第9号))に係るガイドライン」,https://www.moj.go.jp/isa/content/930005575.pdf(閲覧日:2023年9月7日)
外国人採用サポネット「外国人大学生をインターンシップで受け入れるメリットと注意点」,2021年8月11日,https://global-saponet.mgl.mynavi.jp/know-how/331(閲覧日:2023年9月5日)
グローバル人材.com「外国人留学生のインターンシップとは?メリットや受け入れ方法を解説」,2023年2月9日,https://xn--qck4cvdg9e371v279a.com/2023/02/09/internship-merit-202302/(閲覧日:2023年9月5日)
厚生労働省 大阪労働局職業安定部職業対策課 ハローワーク(公共職業安定所)「外国人雇用Q&A」,2023年6月,https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-foreigner/content/contents/001466271.pdf(閲覧日:2023年9月6日)

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