送り出し機関とは?監理団体選びや【トラブル防止】に役立つ基礎知識

この記事を読むと、次のことが分かります。

・送り出し機関とは何か
・送り出し機関の認定要件
・送り出し機関の業務内容
・優良な送り出し機関の見極め方

送り出し機関とは、技能実習生日本の監理団体との間で機能する機関です。技能実習生を日本の監理団体に取り継ぐ役割を担っています。送り出し機関は実習実施者が直接関わる機関ではありませんが、技能実習生の選抜サポートに関わるので、実習実施者としてもどのような機関なのかを知っておく必要があるでしょう。

本稿では、送り出し機関の概要業務の他、トラブルにならないために知っておきたい優良な送り出し機関の見極め方についても解説します。ぜひご一読ください。

1. 送り出し機関とは「技能実習生の派遣元となる団体や企業」

法務省・厚生労働省「外国人技能実習制度について」,2022年10月14日公表を基にライトワークスにて作成,https://www.moj.go.jp/isa/content/930005177.pdf(閲覧日2022年12月7日)

送り出し機関は、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」の第23条2項において以下のように定義されています。

団体監理型技能実習生になろうとする者からの団体監理型技能実習に係る求職の申込みを適切に本邦の監理団体に取り次ぐことができる者として主務省令で定める要件に適合するものをいう [1]

つまり、団体監理型で技能実習生を受入れる場合に、技能実習生を日本の監理団体に取り継ぐ役割を果たすのが「送り出し機関」と呼ばれる団体や企業です。技能実習生の派遣元と考えると分かりやすいでしょう。

制度が変わる前まで、送り出し機関という言葉は「技能実習の準備に関与する現地機関」という意味で使われていました。2017年11月に新制度が施行されたにより、現在は技能実習の準備に関与する現地機関の中でも、「監理団体に求職の申込みを取り次ぐ機関」に限定して送り出し機関と呼んでいます。

[1] e-Gov法令検索「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」,https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=428AC0000000089_20221001_504AC0000000012(閲覧日2022年12月7日)

2. 送り出し機関の認定要件

送り出し機関になるには認定が必要です。技能実習制度を適正に運用するためには、技能実習生から多額の金銭を徴収するなどの悪質な送り出し機関を排除したり、日本と技能実習生の母国が連携したりする仕組みが求められます。

現在、日本で定められている規則や、日本と送り出し国との間で作成される「二国間取り決め」によって、送り出し機関の適格性を審査する仕組みが整えられつつあります。

ここからは送り出し機関の認定要件として、規則第25条二国間取り決めを解説しましょう。

2-1. 規則第25条で定める要件

送り出し機関は「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則[2]」の第25条で定められた要件を満たしている必要があります。

(1)所在する国の公的機関から技能実習の申込みを適切に日本の監理団体に取り次ぐことができるものとして推薦を受けていること

(2)制度の趣旨を理解して技能実習を行おうとする者のみを適切に選定して、日本への送出しを行うこと

(3)技能実習生等から徴収する手数料その他の費用について、算出基準を明確に定めて公表するとともに、当該費用について技能実習生等に対して明示し、十分に理解をさせること

(4)技能実習を修了して帰国した者が、修得した技能を適切に活用できるよう、就職先のあっせんその他の必要な支援を行うこと

(5)フォローアップ調査への協力等、法務大臣、厚生労働大臣、外国人技能実習機構からの要請に応じること

(6)当該機関又はその役員が、日本又は所在する国の法令に違反して、禁錮以上の刑又はこれに相当する外国の法令による刑に処せられ、刑の執行の終了等から5年を経過しない者でないこと

(7)所在する国又は地域の法令に従って事業を行うこと

(8)保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、技能実習生の日本への送出しに関連して、技能実習生又はその家族等の金銭又はその他の財産を管理しないこと

(9)技能実習に係る契約不履行について、違約金を定める契約や不当に金銭その他の財産の移転をする契約を締結しないこと

(10)技能実習生又はその家族等に対して(8)(9)の行為が行われていないことを技能実習生から確認すること

(11)過去5年以内に偽造・変造された文書の使用などの行為を行っていないこと

(12)その他、技能実習の申込みを適切に日本の監理団体に取り次ぐために必要な能力を有すること

引用元:法務省・厚生労働省「新たな外国人技能実習制度について」,https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000204970_1.pdf(閲覧日2022年12月7日)

このような要件を満たしていると判断された団体や企業は、公的機関から送り出し機関として認定を受けることができます。

2-2. 二国間取り決めに基づく要件

二国間取り決めとは、送り出し機関の適格性を判断するために日本と送り出し国との間で作成された規定です。送り出し機関は外国に存在していることから、かつては日本側がその適格性を判断するのは難しい一面がありました。

2017年以降、日本と送り出し国が連携を図ることを目的に二国間取り決めが順次作成されており、現在ベトナムやインドネシア、フィリピンなど14カ国との間で作成されています。二国間取り決めでは、送り出し機関について国ごとに規定を作成しているので、国によって内容が異なります

例えば、技能実習生の入国者数が最も多いベトナムでは、以下のような内容を含む12項目が送り出し機関の認定基準として規定されています[3]
・技能実習生から徴収する手数料などの算出基準を明確に定め、十分に説明すること
・過去5年以内に、人権侵害に当たる行為や違約金を科すなどの行為をしていないこと
・送り出し機関やその役員が、監理団体との間においてブローカーの介入やブローカーによる賄賂を許容していないこと
・技能実習生および監理団体と交わした契約に従い、詐欺的な秘密の契約を結ばないこと
・技能実習を終えた者が帰国した際、日本の監理団体と協力して支援すること

フィリピンも技能実習生が多い国の一つです。日本はフィリピンとも二国間取り決めを作成している[4]ため、フィリピンの送り出し機関はその認定基準を満たす必要があります。その基準はベトナムのものと大きな違いはありません

一方で、フィリピン人の技能実習生を受入れるに当たっては、「POEA(フィリピン海外雇用庁)」や「POLO(駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所)」という機関での手続きが必要となる点は知っておく必要があるでしょう。

なお、日本と二国間取り決めを締結した国では、送り出し国の政府が適正な送り出し機関かどうかを判断します。二国間取り決めおよび規則第25条による要件を満たしている場合は、送り出し機関として認定されます。

各国の取り決め内容や認定されている送り出し機関の名称は、出入国管理庁や外国人技能実習機構のHPで確認することが可能です。

参考)
出入国管理庁|二国間取決めについてはこちら
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00139.html

外国人技能実習機構|外国政府認定送出機関一覧はこちら
https://www.otit.go.jp/soushutsu_kikan_list/

ちなみに、二国間取り決めを作成していなくても技能実習生を入国させることはできます。事実、技能実習生の出身国として2番目に多い中国との間では、二国間取り決めを作成していません(2022年12月時点)。

[2] e-Gov法令検索「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則」,https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=428M60000110003(閲覧日2022年12月7日)
[3] 出入国在留管理庁「【日本国法務省、外務省及び厚生労働省とベトナム労働・傷病兵・社会問題省 との間の技能実習制度に関する協力覚書】(仮訳)」,p6-7,https://www.moj.go.jp/isa/content/930003311.pdf(閲覧日2022年12月7日)
[4] 出入国在留管理庁「【日本国法務省、外務省、厚生労働省とフィリピン共和国労働雇用省との間の技能実習制度に関する協力覚書】(仮訳)」,p5-6,https://www.moj.go.jp/isa/content/930003484.pdf(閲覧日2022年12月7日)

3. 送り出し機関の業務内容

送り出し機関の業務には以下のようなものがあります。

・技能実習候補者の募集・選抜
・技能実習生が入国する前の教育
・送り出しの際の対応・手続き
・日本滞在中の技能実習生の現状把握
・技能実習生が帰国する際の受入れ

一つずつ見ていきましょう。

・技能実習候補者の募集・選抜

まず実習実施者は、監理団体に受入れたい技能実習生の条件を伝えます。監理団体は実習実施者のニーズを送り出し機関に伝え、送り出し機関は現地で条件に合う技能実習希望者を募集します。その後送り出し機関が、応募者の中から条件に合う人材を選抜します。

実習実施者は、事前に技能実習生に求める条件を明らかにしておきましょう。

また、送り出し機関は技能実習候補者を選抜する際、彼らが技能実習生なるための法的な要件を満たしているかどうかもチェックします。技能実習生としての要件は以下の通りです。

技能実習生が次のいずれにも該当する者であること。

イ 十八歳以上であること。

ロ 制度の趣旨を理解して技能実習を行おうとする者であること。

ハ 本国に帰国後本邦において修得等をした技能等を要する業務に従事することが予定されていること。

ニ 企業単独型技能実習に係るものである場合にあっては、申請者の外国にある事業所又は第二条の外国の公私の機関の外国にある事業所の常勤の職員であり、かつ、当該事業所から転勤し、又は出向する者であること。

ホ 団体監理型技能実習に係るものである場合にあっては、本邦において従事しようとする業務と同種の業務に外国において従事した経験を有すること又は団体監理型技能実習に従事することを必要とする特別な事情があること。

ヘ 団体監理型技能実習に係るものである場合にあっては、当該者が国籍又は住所を有する国又は地域(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第二条第五号ロに規定する地域をいう。以下同じ。)の公的機関(政府機関、地方政府機関又はこれらに準ずる機関をいう。以下同じ。)から推薦を受けて技能実習を行おうとする者であること。

ト 第三号技能実習に係るものである場合にあっては、次のいずれかに該当するものであること。
(1)第二号技能実習の終了後本国に一月以上帰国してから第三号技能実習を開始するものであること。
(2)第二号技能実習の終了後引き続き第三号技能実習を開始してから一年以内に技能実習を休止して一月以上一年未満の期間の一時帰国をした後、休止している技能実習を再開するものであること。

チ 同じ技能実習の段階(第一号技能実習、第二号技能実習又は第三号技能実習の段階をいう。)に係る技能実習を過去に行ったことがないこと(やむを得ない事情がある場合を除く。)。

引用元:厚生労働省「技能実習制度 運用要領」,p53-54,https://www.mhlw.go.jp/content/000622693.pdf(閲覧日2022年12月7日)

このように送り出し機関は、監理団体のニーズ省令で定められた技能実習生の要件を考慮し、条件にマッチする技能実習候補生を選びます。

・技能実習生が入国する前の教育

技能実習候補生は、選抜されたからといってすぐに日本に入国できるわけではなく、入国前に教育を受ける必要があります。その教育を行うのも送り出し機関の役割です。入国前教育では、技能実習制度の目的日本語、日本における生活のマナーなどを学びます。

・送り出しの際の対応・手続き

送り出し機関は、日本の監理団体と連携して、日本に入国する技能実習生のサポートを行います。

一例として以下のようなものがあります。
・入国に必要な書類を作成する
・技能実習生の健康診断を実施する
・監理団体へ健康診断結果を報告する
・監理団体から在留資格認定証明書が送付された後、技能実習生のビザ(査証)を申請する

・日本滞在中の技能実習生の現状把握

技能実習生を日本に送り出したら業務完了というわけではありません。送り出し機関は、技能実習生が日本に滞在している間の支援も行います。

例えば以下のようなことです。
・技能実習生の現状を把握するためのヒアリング
・技能実習生のメンタルケア
・技能実習生がトラブルに巻き込まれた場合の対応

・技能実習生が帰国する際の受入れ

送り出し機関は、技能実習生が帰国する際の受入れもサポートします。

具体的には以下のようなことを行います。
・技能実習を修了した技能実習生が帰国するための手続き
・母国の家族への連絡
・帰国後の再就職支援
厚生年金の脱退一時金に関する手続き

以上のように、送り出し機関は技能実習生の募集から帰国後の支援まで、さまざまな業務を担っています。

4. 優良な送り出し機関かを見極める方法

送り出し機関と直接やり取りを行うのは監理団体であり、実習実施者ではありません。しかし実習実施者も送り出し機関の良しあしを判断できるよう、知識を持っておくことをおすすめします。

実習実施者が送り出し機関の良しあしを見極めることができれば、優良な送り出し機関と契約をしている監理団体を選べます。結果的に、優秀な人材を受入れることができ、トラブルを防ぐことにもつながるでしょう。

優良な送り出し機関がどうか探るポイントは、以下の4点です。

・政府認定の送り出し機関か
・違法な行為をしていないか
・フォロー体制が整っているか
・過去にトラブルを起こしていないか

それぞれについて見ていきます。

・政府認定の送り出し機関か

二国間取決めを作成している国の送り出し機関なら、政府認定の送り出し機関かどうかは重要なチェックポイントです。政府が認定していない送り出し機関を利用したケースでは、監理団体や実習実施者が金銭を請求されたといったトラブルも報告されています。

政府認定送り出し機関であれば、違法行為などのトラブルに巻き込まれるリスクが少ないと思われます。トラブル防止のためにも、政府から認定を受けた送り出し機関かどうかチェックしましょう。

政府認定送り出し機関は、外国人技能実習機構のウェブサイトで国別に公開されています。

参考)
外国人技能実習機構|外国政府認定送出機関一覧はこちら
https://www.otit.go.jp/soushutsu_kikan_list/

ただし日本は、中国やネパールとは二国間取り決めを締結していません。これらの国の送り出し機関を見極める際は、次から紹介するポイントを確認してみてください。

・違法な行為をしていないか

違法な行為として特に注意したいのが、以下の2点です。
・技能実習生に多額の金銭を支払わせていないか
・技能実習生を受入れた監理団体などに、キックバックをしていないか

このような金銭の授受は法律で禁止されています。外国人技能実習機構が取り締まりを強化しているため、その数は減少しつつあるようです。しかし水面下では、このような動きがいまだに横行しているとも予測されます。「過剰な接待を提案された」といったように、何かしら不審な情報を得た場合は、その送り出し機関の利用を避けた方がよいでしょう。

・フォロー体制が整っているか

送り出し機関は、技能実習生の入国前教育や日本滞在中の支援も行います。これらの段階でのフォロー体制が整っている送り出し機関なら、実習実施者としても安心です。フォロー体制が整っているかを判断するポイントとして以下の5点を紹介します。

教育担当者日本語スキルは十分か
教育担当者日本での就労経験があるか
教育担当者日本のビジネスマナーに詳しいか
・日本滞在中の技能実習生にヒアリングを行う仕組みがあるか
・技能実習生の悩みをフォローする仕組みが整っているか

教育担当者のスキル不足により、技能実習生が十分な入国前教育を受けられなかったことが原因で、日本での生活や業務に支障が生じ、職場の人などとトラブルになることもあり得ます。

日本語や日本のマナーなどについてよく知っている担当者から教育を受けることができれば、技能実習生が日本での生活になじみやすくなり、トラブルが起こるリスクも抑えられるでしょう。

不慣れな環境で過ごす技能実習生は、ストレスや悩みを一人で抱え込んでしまうことも少なくありません。技能実習生の現状を把握し、フォローする仕組みが整っていることは、技能実習生にとっても実習実施者にとっても大きな支えとなるでしょう。

・過去にトラブルを起こしていないか

送り出し機関が過去にトラブルを起こしていないかもチェックすべきポイントです。特に初めて技能実習生を受入れる場合は、今までに技能実習生を受入れた経験のある企業や監理団体などから情報を得ておくと役に立ちます。

以下のような点は入念にチェックしましょう。
・技能実習生に多額の金銭を要求するなど、違法な行為をしているうわさはないか
コミュニケーションが取れなくて、監理団体とトラブルになったことはないか

多額の金銭を要求することはもちろん違法行為です。このようなことが過去にあった送り出し機関は避けたほうが無難でしょう。加えて、コミュニケーションが取れない送り出し機関もおすすめできません。トラブルが発生しやすいだけでなく、トラブルが起こった際の解決も難しくなってしまうからです。

過去にトラブルが起こったことがなく、企業や監理団体などからの評判が良い送り出し機関は優良と判断してもよいでしょう。

以上の点に注目して、送り出し機関の良しあしを判断してみてください。

5. 悪質な送り出し機関の利用がトラブルの元になり得る

悪質性は外部からは見えにくいものです。送り出し機関の良しあしを見極めるのは簡単なことではないでしょう。しかし、だからといって送り出し機関に無関心でいることもできません。悪質な送り出し機関を利用したことでトラブルが起こった事例が、数多く報告されているからです。

例えば、悪質な送り出し機関の中には、技能実習生に対して手数料や保証料などの名目で多額の金銭を要求していることがあります。これらの費用を支払うために負った大きな額の借金が技能実習生を苦しめ、失踪や不法就労の一因となっていることも事実です。

また、悪質な送り出し機関の中には、技能実習生を送り出すことにばかり目が行ってしまい、求人の条件や日本での生活についての正確な情報を技能実習生に説明していないこともあります。そのような状況で入国すると、日本になじめなかったり労働条件に納得できなかったりする技能実習生も出てくるでしょう。

技能実習生が実習計画の途中で帰国したり、失踪したりすることは、実習実施者にとっても大きな痛手です。時間と費用、労力をかけて受入れた人材を、短期間で手放してしまうことにもなりかねません。

他にも、技能実習生の日本語や技術の能力について、監理団体に正確な情報を提供していない送り出し機関もあります。この場合、実習実施者も技能実習生の能力を正確に把握できないため、実習を進める際に困ってしまうケースが考えられるでしょう。

このように悪質な送り出し機関を利用すると、実習実施者にもトラブルをもたらすリスクがあるのです。

ところで、日本とベトナムで共同制作された映画「海辺の彼女たち」をご存知でしょうか。技能実習生として来日したベトナム人女性たちが必死に生きていく様子を描いた作品です。この映画では、ブローカーの存在や不確かな情報に翻弄される様子も描かれています。

送り出し機関について描かれたものではありませんが、技能実習生の受入れを検討している企業の方にはおすすめの映画です。ぜひ見てみてください。

6. まとめ

送り出し機関とは、団体監理型で技能実習生を受入れる場合に、技能実習生を日本の監理団体に取り継ぐ役割を果たす団体や企業のことです。技能実習生の派遣元と考えると分かりやすいでしょう。

送り出し機関になるには認定が必要です。送り出し機関として認定されるための要件には、規則第25条二国間取り決めがあります。

規則第25条とは、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則」の第25条のことです。送り出し国の公的機関から推薦を受けていることや、違約金を定める契約を締結しないことなど、12項目が規定されています。

また二国間取り決めとは、日本と送り出し国との間で作成された規定のことです。現在14カ国との間で作成されています。細かい部分は国によって内容が異なりますが、違法な行為を行わないことや、手数料などの算出基準を明確にすることなど、共通している部分も多く見られます。

日本と二国間取り決めを締結した国では、送り出し国の政府が適正な送り出し機関かどうかを判断します。二国間取り決めおよび規則第25条による要件を満たしている場合は、送り出し機関として認定されます。

なお、二国間取り決めを作成していなくても技能実習生を入国させることは可能です。現在日本は、中国やネパールと二国間取り決めを作成していませんが、多くの技能実習生が入国しています。

送り出し機関は技能実習生の募集から帰国後まで、さまざまな業務を担います。具体的には以下のようなものがあります。

・技能実習候補者の募集・選抜
・技能実習生が入国する前の教育
・送り出しの際の対応・手続き
・日本滞在中の技能実習生の現状把握
・技能実習生が帰国する際の受入れ

送り出し機関と直接やり取りを行うのは監理団体であり、実習実施者ではありません。しかし実習実施者も送り出し機関の良しあしを判断できるよう、知識を持っておくことをおすすめします。

優良な送り出し機関がどうか探るポイントは、以下の4点です。

・政府認定の送り出し機関か
・違法な行為をしていないか
・フォロー体制が整っているか
・過去にトラブルを起こしていないか

悪質性は外部からは見えにくいため、送り出し機関の良しあしを見極めるのは簡単なことではないでしょう。しかし、だからといって送り出し機関に無関心でいることもできません。トラブルを防ぐためにも、優良な送り出し機関と契約している監理団体を選ぶことが大切です。

技能実習制度の活用を検討している企業の担当者の方は、送り出し機関についての知見も深めておきましょう。

参考)
e-Gov法令検索「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」,https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=428AC0000000089_20221001_504AC0000000012(閲覧日2022年12月7日)
e-Gov法令検索「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則」,https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=428M60000110003(閲覧日2022年12月7日)
法務省・厚生労働省「新たな外国人技能実習制度について」,https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000204970_1.pdf(閲覧日2022年12月7日)
出入国在留管理庁「【日本国法務省、外務省及び厚生労働省とベトナム労働・傷病兵・社会問題省との間の技能実習制度に関する協力覚書】(仮訳)」,https://www.moj.go.jp/isa/content/930003311.pdf(閲覧日2022年12月7日)
出入国在留管理庁「【日本国法務省、外務省、厚生労働省とフィリピン共和国労働雇用省との間の技能実習制度に関する協力覚書】(仮訳)」,https://www.moj.go.jp/isa/content/930003484.pdf(閲覧日2022年12月7日)
出入国在留管理庁「二国間取決め・認定送出機関 」,https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00139.html(閲覧日2022年12月7日)
外国人技能実習機構「送出国政府窓口と二国間取決め」,https://www.otit.go.jp/soushutsu_nikokukan/(閲覧日2022年12月7日)
外国人技能実習機構「外国政府認定送出機関一覧」,https://www.otit.go.jp/soushutsu_kikan_list/(閲覧日2022年12月7日)
JITCO「技能実習制度・特定技能制度共通―送出機関情報提供サービスとは」,https://www.jitco.or.jp/regulation_skill_service/(閲覧日2022年12月7日)
外国人雇用相談室「外国人労働者の受け入れ、国別その他あれこれランキング!DL資料付き」,https://ghrlab.com/article/foreign-workers-rankings(閲覧日2022年12月7日)

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