実習実施者とは?技能実習生の受入れ企業について【分かりやすく解説】

この記事を読むと、次のことが分かります。
・実習実施者とは何か
・実習実施者になるために必要な手続き
・「優良な実習実施者」の認定要件と認定されるメリット
・実習実施者の監督指導の事例
・実習実施者と監理団体の関係 

技能実習生を受入れ、実習の場を提供するのが実習実施者です。受入れ企業と呼ばれることもあります。技能実施者は技能実習生が円滑に実習を行えるよう環境を整える必要があります。

本稿では、これから技能実習生を受入れたい実習実施者になりたいと考えている企業の方にとって、「実習実施者とは何か」など、実習実施者に関する基本的な知識を解説します。

併せて、実習実施者にとってパートナーとなる監理団体についても触れていますので、参考にしてみてください。

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1. 実習実施者とは?分かりやすく説明!

実習実施者とは何なのか、この章で分かりやすく説明します。

1-1. 実習実施者とは技能実習を行う受入れ企業・個人事業主

実習実施者技能実習生の受入れ企業・個人事業主を指します。技能実習生は実習実施者の企業や事業所で実際に働き、技術・知識を獲得します。

1-2. 実習実施者の役割とは

実習実施者の役割は、技能実習生が技能実習に専念できるよう環境を整え、適正な実習を行うことです。そのために、以下のことが義務付けられています。

・技能実習計画の作成
・申請
・実習実施者届出書の提出
・帳簿書類の作成
・保管
・実施状況の報告
・技能実習生の保護
・責任者および指導員の選定

一つずつ見ていきましょう。

・技能実習計画の作成・申請

技能実習生ごとに技能実習計画を作成・申請し、外国人技能実習機構(OTIT)から認定を受けることが義務付けられています。技能実習は、この技能実習計画に基づいて行います。

・実習実施者届出書の提出

初めて技能実習生を受入れる実習実施者は、技能実習計画の認定を受けて技能実習を開始した後に、実習実施者届出書の提出が必要です。この届出書も、遅滞なく提出することが求められます。

・帳簿書類の作成・保管

技能実習生の管理簿や、認定計画の履行状況に係る管理簿、技能実習生が従事した業務内容および技能実習生への指導内容を記載した日誌などの帳簿書類を作成し、保管をしなければいけません。

・実施状況の報告

実習実施者は、毎年1回、実施状況報告書を作成し、管轄の外国人技能実習機構地方事務所・支所に提出する必要があります。

技能実習生の保護

技能実習生に対し、適切な宿泊施設を確保する必要があります。また、技能実習生の賃金は、日本人が従事する場合と同等以上に設定しなければいけません。

・責任者および指導員の選定

技能実習責任者技能実習指導員生活指導員を選定する必要があります。

それぞれに要件があり、技能実習責任者は「過去3年以内に技能実習責任者の講習を受け、技能実習に関与する職員を監督する立場にある常勤役職員」、技能実習指導員は「技能実習生に習得させる技能について経験年数が5年以上ある常勤役職員」、生活指導員は「常勤役職員」と定められています。

実習実施者は技能実習計画を適正に実行するため、以上のことを厳守しなければいけません。

2. 実習実施者になるために必要な手続き

実習実施者になるためには、さまざまな手続きや書類が必要です。詳しく解説します。

2-1. 実習実施者になるために必要な書類

実習実施者になるためには、技能実習計画認定申請書技能実習計画入国後講習予定表実習実施予定表など、多くの書類が必要です。外国人技能実習機構による「技能実習計画認定申請に係る提出書類一覧・確認表(団体監理型)」では55種類[1]の書類が挙げられています。

なお、必要な書類は、技能実習生の受入れ方式が「企業単独型」か「団体監理型」か、特定の事由に該当するか、などによっても異なります。

詳細は外国人技能実習機構のホームページで確認できます。

参考)
外国人技能実習機構(OTIT)|「技能実習計画認定申請に係る提出書類一覧・確認表」はこちら
https://www.otit.go.jp/jissyu_shinsei/

2-2. 外国人技能実習機構(OTIT)との関係

技能実習の実施に当たり、外国人技能実習機構と実習実施者の関係は非常に重要です。

実習実施者は、外国人技能実習機構に技能実習計画の申請や各種届け出をしなくてはいけません。外国人技能実習機構は、技能実習が適正に行われているかどうか、実習実施者に対して実地検査を行います。

実習実施者を監督するのが外国人技能実習機構だと覚えておけば分かりやすいでしょう。

外国人技能実習機構については、以下の記事で詳しく解説しています。

3. 「優良な実習実施者」とは?認定されるメリット

実習実施者の中には「優良な実習実施者」に認定された企業や個人事業主が存在します。では「優良な実習実施者」とは、どのようなものなのでしょうか。本章では、「優良な実習実施者」の概要や認定要件、認定されるメリットを解説します。

3-1. 「優良な実習実施者」とは何?

「優良な実習実施者」は、次のように規定されています。

実習実施者について、技能等の修得等をさせる能力につき高い水準を満たすものとして主務省令で定める基準に適合していること(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法) 第9条第10号)[2]

「優秀な実習実施者」と認定されると、技能実習3号の受入れが可能となります。

3-2. 「優良な実習実施者」に認定されるには

認定の要件には以下のような項目があり、規定の点数を取得すれば「優良な実習実施者」と認定されます。

【「優良な実習実施者」の要件】[3]

要件点数(満点は150点)
技能などの習得などにかかる実績(技能実習生の技能検定などの合格率など)70点
技能実習を行わせる体制 (指導員の講習受講歴)10点
技能実習生の待遇 (1号技能実習生の住環境の向上に向けた取り組みなど)10点
法令違反・問題の発生状況5点(違反などあれば大幅な減点)
相談・支援体制45点
地域社会との共生10点

「優良な実習実施者」の基準に適合するには、満点150点のうち6割以上、つまり90点以上を取得しなければいけません。基準は厳格に定められており、「優良な実習実施者」となるには技能実習生が着実に技能を習得することができる環境づくりが必要となります。

3-3. 「優良な実習実施者」になるメリット

「優良な実習実施者」になるメリットは、技能実習3号の受入れが可能になることが挙げられます。

技能実習3号とは、技能実習4~5年目の技能実習生が持つ在留資格です。技能実習1年目は技能実習1号、2~3年目は技能実習2号と区別されており、技能実習3号を持つ実習生はより熟達した技術を持っている人材だといえます。

4. 実習実施者への監督指導の事例

過剰な時間外労働や賃金の不払いなど、法令違反が疑われる実習実施者は労働基準監督署などから監督指導を受けることがあります。以下に、2021年度の監督指導例を挙げます。

【事例1】違法な時間外労働などについて指導

陸上貨物を取り扱う事業所において、外国人技能実習機構からの違法な時間外労働などが疑われるという通報を契機に、労働基準監督署が立ち入り調査を実施しました。この結果、1カ月100時間を超える違法な時間外労働(労働基準法第32条違反)が認められ、労働基準監督署が是正勧告を行いました。

【事例2】割増賃金の不払いなどについて指導

空調設備設置工事を行う事業所において、外国人技能実習機構からの割増賃金の不払いについての通報を契機に、労働基準監督署が立ち入り調査を実施しました。

この結果、割増賃金の不払い(労働基準法第37条第1項違反)と、書面による労使協定の締結をせずに賃金から寮費を控除していたこと(労働基準法第24条第1項違反)が確認されました。

労働基準監督署は、週40時間を超える時間外労働に対しては法定の割増率以上で計算した割増賃金を支払う義務があること、賃金から寮費を控除する旨の書面を作成し協定を締結する必要があることを指導しました。

【事例3】掃除などのときに機械を運転停止するように指導

食品製造を行う事業所において、ベルトコンベヤーに指を挟まれる労働災害が発生しました。そのため、労働基準監督署が立ち入り調査を実施したところ、ベルトコンベヤーの掃除を行う際に機械を停止していなかったこと(労働安全衛生法第20条第1項、労働安全衛生規則第107条第1項違反)が認められました。

労働基準監督署は、機械の掃除をする際は運転を停止するよう是正勧告を行いました。

【事例4】フォークリフトの無資格運転について指導

建設業の事業所において、フォークリフトの無資格運転が行われていると情報が寄せられ、労働基準監督署が立ち入り調査を行いました。

その結果、資格を有していない技能実習生が運転していたこと(労働安全衛生法第61条第1項、労働安全衛生法施行令第20条第11号、労働安全衛生規則第41条違反)が認められ、労働基準監督署が是正勧告を行いました。

法令では技能講習を修了していない労働者に、最大1トン以上のフォークリフトの運転業務を行わせてはいけないと定められています。

以上、技能実習の場における監督指導の代表的な事例を紹介しましたが、これらはほんの一部です。2021年度における主な違反事項は、下記のグラフの通りです。

【2021年度における違反事項】

厚生労働省「技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和3年)」, p1を基にライトワークスにて作成, https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000969254.pdf(閲覧日:2023年1月26日)

上位3つの違反事項「使用する機械などの安全基準」、「割増賃金の支払い」、「労働時間」が、違反全体の50%以上を占めています。

技能実習法など関連法令が施行された後でも、賃金・割増賃金の不払い最低賃金未満の支払い解雇手続きの不備などの問題は後を絶ちません。実習実施者は技能実習生が円滑に実習を行えるよう、関連法令にのっとり適正な環境を提供しましょう。

5. 実習実施者と監理団体

多くの実習実施者にとって、監理団体は技能実習生を受入れたり、技能実習を継続したりする上で関わる重要な団体です。本章では、監理団体とは何か、適切な監理団体の探し方を解説します。

5-1. 監理団体とは

監理団体は、団体監理型の技能実習を行う際に実習実施者にとってパートナーとなる非営利団体です。監理団体と実習実施者が直接関わる機会には、以下のようなものが挙げられます。

(1)監理団体へ技能実習生受入れ申し込みをするとき
(2)監理団体の指導を受けながら技能実習計画の作成・申請をするとき
(3)技能実習開始後、監理団体による定期監査や臨時監査、訪問指導を受けるとき

監理団体はこの他にも、現地の送り出し機関と契約し技能実習生の面接や入国手続きをサポートする、また技能実習生に入国後講習を行うなどの役割を担っています。

5-2. 適切な監理団体の探し方

監理団体は全国に多く存在するため、どのように監理団体を選べばよいか、悩むこともあるでしょう。そこで、適切な監理団体を探すために参考となるポイントをご紹介します。

・実習実施者と監理団体の物理的な距離
・監理団体が得意としている業種

それぞれを見ていきましょう。

・実習実施者と監理団体の物理的な距離

実習実施者と直接訪問し合える距離にある監理団体が望ましいです。何かあったらすぐにお互いが訪問できる距離ならば、連帯も強固になるでしょう。

・監理団体が得意としている業種

監理団体の多くは、それぞれに得意としている業種があり、その業種に関してはより豊富な実績や経験を有しています。実習実施者は自身の求める業種と監理団体の得意としている業種を一致させることで、実績や経験に基づいた適切な助言・サポートを受けやすくなるでしょう。

なお、外国人技能実習機構のホームページでは、全国の監理団体の一覧が公表されています。こちらも参考にしてみてください。

参考)
外国人技能実習機構(OTIT)|監理団体の一覧についてはこちら
https://www.otit.go.jp/search_kanri/

6. まとめ

技能実習生を受入れ、実習の場を提供するのが実習実施者です。実習実施者には、技能実習生が技能実習に専念できるよう環境を整え、適正な実習を行うという役割があります。そのために、以下のことが義務付けられています。

・技能実習計画の作成・申請
・実習実施者届出書の提出
・帳簿書類の作成・保管
・実施状況の報告
・技能実習生の保護
・責任者および指導員の選定

実習実施者になるためには、技能実習計画認定申請書や技能実習計画、入国後講習予定表、実習実施予定表など、多くの書類が必要です。

また、外国人技能実習機構と実習実施者の関係は非常に重要です。実習実施者は、外国人技能実習機構に技能実習計画の申請や各種届け出をし、技能実習が適正に行われているかどうか、外国人技能実習機構による実地検査を受ける必要があります。

実習実施者を監督するのが外国人技能実習機構だと覚えておけば分かりやすいでしょう。

技能などを習得させる能力などが主務省令で定める基準に適合している実習実施者「優良な実習実施者」と認定されます。具体的には、技能実習を行わせる体制や技能実習生の待遇などの要件を満たし、150点中90点以上を取得すれば基準に適合したと見なされます。

「優良な実習実施者」に認定されると、技能実習3号の受入れが可能となります。技能実習3号とは、技能実習4~5年目の技能実習生が持つ在留資格です。技能実習3号の取得者は技能実習生の中で、より熟達した技術を持っている人材だといえます。

過剰な時間外労働や賃金の不払いなど、法令違反が疑われる実習実施者は、労働基準監督署などから監督指導を受けることがあります。実習実施者は技能実習生が円滑に実習を行えるよう、関連法令にのっとり適正な環境を提供しましょう。

団体監理型の技能実習を行う実習実施者にとって、監理団体パートナーとなる非営利団体です。監理団体と実習実施者が直接関わる機会には、以下のようなものが挙げられます。

(1)監理団体へ技能実習生受入れ申し込みをするとき
(2)監理団体の指導を受けながら技能実習計画の作成・申請をするとき
(3)技能実習開始後、監理団体による定期監査や臨時監査、訪問指導を受けるとき

監理団体はこの他にも、現地の送り出し機関と契約し技能実習生の面接や入国手続きをサポートする、また技能実習生に入国後講習を行うなどの役割を担っています。

適切な監理団体を探すために参考となるポイントを2点ご紹介します。
・実習実施者と監理団体の物理的な距離
・監理団体が得意としている業種

実習実施者の義務や役割などは、技能実習制度を利用する上で必ず理解しておく必要があります。「知らなかった」では済まされないトラブルを防ぐためにも、この機会に確認してみてはいかがでしょうか。

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[1] 外国人技能実習機構(OTIT)「技能実習計画認定申請に係る提出書類一覧・確認表(団体監理型)」,https://www.otit.go.jp/files/user/220127-1111.pdf(閲覧日:2023年1月26日)
[2] 法務省・厚生労働省「外国人技能実習制度について」,2022年10月14日公表,p13,https://www.moj.go.jp/isa/content/930005177.pdf(閲覧日:2023年1月26日)
[3] 法務省・厚生労働省「外国人技能実習制度について」,2022年10月14日公表,p13,https://www.moj.go.jp/isa/content/930005177.pdf(閲覧日:2023年1月26日)

参考)
出入国在留管理庁・厚生労働省「技能実習制度 運用要領」,2022年10月公表,https://www.moj.go.jp/isa/content/930005219.pdf(閲覧日:2023年1月26日)
外国人技能実習機構(OTIT)「技能実習計画の認定申請」, https://www.otit.go.jp/jissyu_shinsei/(閲覧日:2023年1月26日)
法務省・厚生労働省「外国人技能実習制度について」,2022年10月14日公表,https://www.moj.go.jp/isa/content/930005177.pdf(閲覧日:2023年1月26日)
厚生労働省「技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(令和3年)」, https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000969254.pdf(閲覧日:2023年1月26日)
外国人技能実習機構(OTIT)「監理団体の検索」,https://www.otit.go.jp/search_kanri/(閲覧日:2023年1月27日)

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