【建設分野】外国人労働者を採用するときに知っておきたいポイント

この記事を読むと、次のことが分かります。

・建設業の現状
・建設業における外国人労働者の就労状況と課題
・建設業で外国人労働者を雇用できる在留資格
・建設業で外国人労働者を雇用する際の注意点
・外国人労働者を受入れる前後で知っておきたいこと
・外国人労働者を採用するための手続きやコスト

実務上、個別具体のトピックで悩むことが多いと思いますが、実は一つの課題には多くの周辺事項が存在しています。周辺事項も含めてまとまった情報を理解する、あるいは参照する方が、結果的な業務効率はアップします。
本ブログでは、毎日多数の問い合わせに対応している実績を基に、企業の担当者が押さえておくとよい情報を、分かりやすくかつ網羅的にお届けします。
ぜひ参考にしてください。

建設業は人材不足が深刻化しており、インフラ整備やビル建築などへの影響が懸念されることから、労働力の確保と若年層の育成が課題とされてきました。しかし、もはや国内では建設業の人材確保が困難なため、国は外国人労働者の受入れを積極的に推進しています。

例えば、建設業など人材確保が困難な産業分野を助けるために2019年には特定技能制度がスタートし、「特定技能」の在留資格で働く外国人が増えることになりました。現在のところ建設業の外国人労働者は技能実習生が最多ですが、特定技能外国人も増加傾向[1]にあり、今後の活躍が期待されます。

しかし、関連する法令を遵守し適正な受入れ体制を構築しなくては、外国人労働者に自社で活躍してもらうことはできません。言語や文化の違いからトラブルに発展するケースも考えられるので、外国人労働者ならではの問題に対応できるよう受入れ前から準備することが求められます。

そこで本稿では、建設業における外国人労働者の就労状況や課題、雇用できる在留資格、受入れ時の注意点、採用にかかるコストなどを解説します。正しい知識を基に人事戦略を立て、優秀な外国人労働者を受入れましょう。

外国人雇用のガイドブック_まなびJAPAN

1. 建設業における人材の現状と外国人労働者

まずは、建設業の現状と抱えている課題について見ていきましょう。

1-1. 建設業における人材の状況

図)建設投資、許可業者数および就業者数の推移

国土交通省「(参考)建設業を取り巻く現状について」,p3を基にGlobal HR Strategyにて作成,https://www.obayashi.co.jp/upload/img/ssus_sankou.pdf(閲覧日:2022年8月26日)

冒頭でもお伝えしましたが、建設業の人材は現在不足しています。建設業に就業している人は1997年の685万人をピークに減少しており、2017年には498万人となりました[2]。人材が不足している理由には、建設業就業者が高齢化していることの他、就労環境から若年層が入職を避ける傾向があることが挙げられます。

それに加え、建設投資も1992年度の84兆円をピークに、2017年度には55兆円とピーク時と比べ34.5%減少しています[3]。その影響で、倒産に追い込まれたり事業の縮小を余儀なくされたりした建設会社が増え、多くの労働者が離職したことも、人材不足の一因となっています。

1-2. 建設業における外国人労働者の就労状況

2021年時点で、建設業に携わっている外国人労働者は、全産業の約6.4%に当たる約11万人です。在留資格別に見ると「技能実習」が最多の約7万人となっており、近年増加傾向にあります[4]

ただし「技能実習」は、本来、人材育成による技能などの移転による国際協力の推進を目的とした制度であり、労働力の需給調整のための制度ではない点に注意が必要です。在留資格については後ほど解説します。

建設業における外国人労働者の受入れ状況は、年によって変化が見られます。

例えば2015年には、東京オリンピック・パラリンピックに関連した建設需要の増大に対応するため、「外国人建設就労者受入事業」が開始されました。この制度により、建設業に携わる外国人労働者の増加が加速したと考えられます。なお、この制度は2022年度で終了します。

また2019年度には、建設業も対象となっている「特定技能」という在留資格が設けられ、多くの外国人労働者が特定技能で建設業に就業しています。

このような影響もあり、現在、建設業において外国人労働者を雇用する事業所数は増加中です。

1-3. 建設業の労働市場で生じている課題

国土交通省が公開している資料[5]によると、建設業の労働市場では以下のような課題があります。

・高齢化の進行
・若年層の建設業離れ
・地方の人材不足
・労働条件が厳しい

・高齢化の進行・若年層の建設業離れ

建設業の労働者のうち約34%が55歳以上です。さらに、建設技能者の4分の1が60歳以上となっており、高齢化が進んでいます。一方で、29歳以下は10%ほどとなっており、若年層への技術継承が難しくなっています。

・地方の人材不足

建設業に携わっている労働者数の推移を地域別に見ると、都市部に比べ地方の方がより深刻な人材不足が懸念されます。特に、中国地方や四国地方、九州・沖縄地方では、労働者数が近年大幅に減少しています。

・労働条件が厳しい

建設業には休みが取りづらいという特徴があります。実際、4週当たりの休日数が4日以下という企業が約半数に上ります。4週当たり8日間の休みを確保している企業は、10%に満たない状況です。

また賃金に関しては、同じ第2次産業に分類されている製造業と比べ、10%ほど低い水準です。建設業における賃金のピーク45~49歳となっていることから、現場の管理経験や若年層への指導などが正当に評価されていない傾向があるともいわれています。

このような労働条件の厳しさは、離職の原因や若年層が建設業に入職する際のハードルにもなっています。

以上のように、建設業の労働市場は早急に解決すべき課題を抱えている状態です。

1-4. 建設業における外国人労働者に特有の課題

「建設業の日本人労働者が不足しているのなら、外国人労働者に活躍してもらえば良いのではないか」と考える方もいるかもしれません。もちろん、外国人労働者に活躍してもらうことのメリットは大きいです。

しかし、しっかりと安全ルールを守れるかどうかという、外国人労働者に特有の課題があることも知っておく必要があります。

ここでは技能実習生の労働災害発生率を参考に、外国人労働者の安全について見ていきます。技能実習生の労働災害発生率は、建設業全体における発生率の約2倍です[6]。これには、外国人技能実習生が日本語を十分に理解できないことが影響していると考えらます。

日本語を理解できないと、十分な安全教育ができなかったり指示が正確に伝わらなかったりすることもあるでしょう。企業側が外国人労働者の安全に対する意識を把握できないため、効果的な安全教育ができないこともあるかもしれません。また、国民性や慣習の違いなどから、安全ルールへの意識が低いケースもあります。

技能実習生に限らず、外国人労働者の中には日本語の理解が十分ではないケースも少なくありません。建設業で外国人労働者を採用するには、安全ルールを徹底させるという課題に取り組むことが必要となるでしょう。

2. 外国人労働者を建設業で雇用できる4つの在留資格

建設業で外国人労働者を雇用するためには、外国人労働者が建設業に就ける在留資格を持っている必要があります。ここからは、建設業に就ける在留資格について解説します。

2-1. 特定技能(上乗せ基準省令を含む)

「特定技能」は、2019年に新設された在留資格です。国内における労働力不足を解消するために設けられました。これにより、国内で人材を確保しにくい介護などの12産業において、一定の技能を有する外国人を労働者として受け入れられるようになりました。

特定技能には、「特定技能1号」「特定技能2号」があります。特定技能2号は、特定技能1号修了後のステップとして設けられている在留資格ですが、2020年8月時点で在留資格を移行できる産業は2分野のみです。なお建設業は、特定技能1号から特定技能2号への移行がすでに認められています。

2-2. 技能実習(上乗せ基準省令を含む)

「技能実習」は、労働力の需給調整ではなく、人材育成による国際協力が目的の在留資格です。具体的には、母国の経済発展に役立てるために、日本の技術や知識を習得してもらうことを目的としています。

そのため技能実習では、技能実習生が実際に行う作業内容によって受入れが判断されます。技能の習得とは言い難い単純な作業は、技能実習として認められていません。

技能実習では、特定技能と異なり受け入れることができる産業に関する規定はありません。ただし1年を超える技能実習の場合は、合計86職種158作業に該当する必要があります。(2022年8月1日時点)

2-3. 特定活動(外国人建設就労者受入事業)

「特定活動」は、29種類ある在留資格のうち特定活動を除く28種類の在留資格のいずれにも該当しない活動を行うために設けられたものです。申請する個々の活動について受入れの可否を判断されます。

例えば、東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴って導入された「外国人建設就労者受入事業」で受け入れられた外国人労働者の在留資格は特定活動です。

特定活動の在留資格を持つ外国人を雇用できるかどうかは、ケースによって異なります。それぞれのケースで、許可された条件をしっかりと確認することが必要です。

2-4. 技術・人文知識・国際業務

「技術・人文知識・国際業務」は、自然科学や人文科学といった分野に関する職業に携わる外国人を受け入れるための在留資格です。機械工学の技術者やデザイナー、通訳などがこれに当たります。

建設業においては、営業や事務などの屋内で行うデスクワークや施工管理のように大学などで学んだ知識を用いて行う業務については、技術・人文知識・国際業務の在留資格で行うことができます。

技術・人文知識・国際業務では、大学などで学んだ知識を用いない単純な業務を行うことはできず、そのため、原則として現場での作業は認められていません。この在留資格を持つ外国人労働者を雇用する際は、業務内容に注意が必要です。

3. 建設業で外国人労働者を受入れるときに気を付けたいポイント

建設業で外国人労働者を受入れるときには、企業側にも正しい知識が求められます。ここからは、受入れ企業が知っておくべきポイントをお伝えします。

3-1. 外国人労働者の労働安全衛生に十分に配慮する

建設業で外国人労働者を受入れるときには、労働安全衛生の面で十分な配慮が欠かせません。

もともと建設業は労働災害の発生率が高い分野です。その上、外国人労働者は、日本語の理解が難しく、また、安全に対する意識が日本人労働者と異なっている場合があります。そのため、受入れ企業には徹底した安全教育が求められるのです。

安全教育のマニュアルなどには、外国人労働者にも分かりやすいよう、母国語を併記したり図表などを活用したりする工夫が必要です。口頭で伝えるときもやさしい日本語を使ったり、実際に訓練をしてみたりする必要があるでしょう。

厚生労働省のWebサイトには、外国人労働者に向けた安全衛生に関する教材が公開されています。このような教材も活用し、外国人労働者も日本人労働者も共に安全意識を高めましょう。

参考) 厚生労働省「職場のあんぜんサイト」,https://anzeninfo.mhlw.go.jp/information/kyozaishiryo.html

3-2.外国人労働者のキャリア形成について知っておく

外国人労働者を受入れるときには、技能教育外国人労働者のキャリアについて知っておく必要があります。

外国人労働者には以下のようなキャリアパスがあります。

図)特定技能制度における外国人材のキャリアパス

国土交通省「建設分野における外国人材の受入れ」を基にGlobal HR Strategyにて作成,https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001481316.pdf(閲覧日:2022年11月15日)

在留資格は条件によって移行できるシステムになっています。外国人労働者がどのようなキャリアを望んでいるのかを把握し、それに応じた技能教育を行えるようにしましょう。

3-3. 外国人労働者の受入れ企業には、建設キャリアアップシステムへの登録が義務付けられていることに注意

外国人労働者を受け入れる企業は、「建設キャリアアップシステム」への登録が必要です。

建設キャリアアップシステムとは、労働者の処遇改善につなげるための仕組みです。システムに労働者の資格や就業実績などを登録し、その技能や経験を客観的に評価することで、技能や経験に応じた適正な処遇を受けられる環境を整えます。これにより、若年層の入職や育成につながることが期待されています。

現在、日本人労働者のみを採用する場合は建設キャリアアップシステムへの登録は任意です。しかし、外国人労働者を受け入れる企業は、必ず登録しなければなりません。外国人労働者の受入れを検討している場合は、システムへの登録を忘れないようにしましょう。

3-4. 建設業は有料職業紹介が禁止されていることに注意

外国人労働者を受入れる企業は、建設業において有料職業紹介が禁止されていることを頭に入れておくことが必要です。

多くの業種で有料の職業あっせんが行われていますが、建設業では禁止されています。その理由は以下の2点です。

・労働環境が特殊であること
・必要な労働力が不安定であること

・労働環境が特殊であること

まず、建設業の労働環境が特殊であることが挙げられます。建設作業では作業工程が多岐にわたります。工程ごとに専門業者へ依頼していることも多く、現場では複数の業者が混ざり合っていることも少なくありません。

そのため指揮命令関係が複雑になりやすく、安全衛生面において労働者を保護しにくくなっています。こういった理由から、有料職業紹介が禁止されているのです。

・必要な労働力が不安定であること

また、必要な労働力が不安定であることも、有料職業紹介が禁止されている理由として挙げられます。

建設業は、その業務内容ゆえ、労働する場所や時間などを正確に予測することが困難です。現場を転々としたり、気象条件によって作業が遅れたりすることもよくあります。また、受注ベースで作業が発生するため、仕事がないときには労働力が不要になることもあるでしょう。

必要なときに労働者を雇い、不要になったら解雇する事態を防ぐために、有料職業紹介が禁止されています。

このように、建設業では有料で人材の紹介を受けることは禁止されており、もし違反してしまうと罰則の対象となります。もし「外国人労働者を有料で紹介する」という話があった場合は、法律で禁止されている旨を伝え断ることが大切です。

4. 外国人労働者受入れ前のポイント

ここからは、実際に外国人労働者を受入れる前に大切なポイントについてお伝えします。

4-1. 外国人労働者が理解できる言語で労働条件を明示する

外国人労働者を受入れる前には、当該外国人労働者が理解できる言語で記載した「労働条件に関する文書」を示す必要があります。

そもそも労働基準法では、労働契約を結ぶときには、労働条件を明示することが規定されています。労働基準法は、日本で働く全ての人に適用されるので、もちろん外国人労働者も対象です。

伝えるべき労働条件は以下のようなもので、労働基準法で定められています。

・業務の内容
・賃金
・労働時間
・契約期間
・就業する場所
・労働関係法令
・社会保険関係法令の適用事項
・渡航費の負担
・住居の提供

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

なお、外国人労働者に労働条件を明示する場合は、外国人労働者本人が理解できる言語を使用することが望ましいです。場合によっては母国語で文書を作成することも必要でしょう。

4-2. 日本人労働者に外国人労働者の情報を共有する

一緒に働くことになる日本人労働者には、事前に新たに受入れる外国人労働者の情報を共有しておきます。

あらかじめ文化や慣習の違いを受入れる体制を作っておくことで、外国人労働者がなじみやすい環境を作れるでしょう。労働者同士が協力して仕事に取り組むためにも、労働環境を整えることは重要です。

5. 外国人労働者受入れ後のポイント

外国人労働者を受入れた後にも、気を付けるべきことがあります。ここからは、外国人労働者の受入れ後に大切なポイントを解説します。

5-1. 日常的に労働安全衛生について考える機会を設ける

労働災害が起こりやすい建設業では、安全について日常的に考えることが大切です。その一例が危険予知活動です。危険予知活動では、どのような事故が起こり得るのかを考え、その事故を防ぐ方法をイメージし対策を立てます

安全衛生に効果的な危険予知活動ですが、社内の雰囲気を良くするという意味においても効果的です。コミュニケーションをとる機会が増えることで、人間関係やチームワークが良くなると考えられます。全ての労働者にとって働きやすい環境を作れるでしょう。

また、外国人労働者が労働事故に遭いやすい理由に、日本語が理解できないことが挙げられます。専門用語のような難しい言葉で説明されると、外国人労働者は意味を理解できないこともあるでしょう。そのまま作業を始めてしまい、事故が起こってしまうのです。このような事態は、日本語をしっかりと教えることで防げる可能性があります。

危険予知活動や日本語教育は、一朝一夕で成果が出るものではありません。受入れ後から積極的に行うことで、外国人労働者の安全を守れるようになるでしょう。

5-2. 労災隠しを絶対にしない

日本の労働者には、労災保険が適用されます。もちろん外国人労働者も同様です。業務や通勤が原因でケガをしたり病気になったりした場合は、適切に労災申請の手続きをしましょう。

残念なことに、手続きが面倒だから、企業イメージが悪くなるからなどの理由で、労災の事実を労働基準監督署に報告しない「労災隠し」をしてしまう企業もあります。しかし労災隠しは犯罪です。絶対にやめましょう。

5-3. 労働関係法令を遵守する

外国人労働者に対しても、労働関係法令を遵守する必要があります。例えば、雨天で現場作業ができない場合を考えてみましょう。

「特定技能」の在留資格で在留する外国人労働者も、「技能実習」の在留資格で在留する外国人労働者も、安定的な報酬を確保するため、月給制であることが必要とされています。月給制とは、「1カ月単位で算定される額」(基本給、毎月固定的に支払われる手当及び残業代の合計)で報酬が支給されるものです。

このため、雨天で現場作業ができない場合も含め、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労働基準法26条に基づき、平均賃金の60%以上を支払う必要があります。

参考)
法務省「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領‐建設分野の基準について-」p.24,https://www.moj.go.jp/isa/content/930004550.pdf(閲覧日:2023年1月23日)
出入国在留管理庁・厚生労働省・国土交通省「特定職種及び作業にかかる技能実習制度運用要領―建設関係職種等の基準についてー」p.7,https://www.otit.go.jp/files/user/201225-1.pdf(閲覧日:2023年1月23日)

次に、現場までの移動時間について労働時間といえるのか否かを考えてみましょう。

労働時間か否かは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否かで判断されます。直接労働現場へ集合する場合の通勤時間は、使用者の指揮命令下にあるとは評価できない場合がほとんどであり、この場合は労働時間に該当しません

他方、一度会社に集まって器材を積み込む等した後に、会社の車両で現場へ移動する場合の移動時間は使用者の指揮命令下にあると評価できる場合が多く、この場合労働時間に該当します。この結果、法定労働時間を超えて働くことになった場合には残業代を支払う必要があります(労働基準法37条)。

参考)
最高裁判所第1小法廷判決 平成7年(オ)第2029号
平成12年3月9日判決(最高裁判所民事判例集54巻3号801頁)
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/572/052572_hanrei.pdf(閲覧日:2023年1月23日)

外国人労働者だからといって日本人労働者と対応を変えたり、不当に扱ったりしてはいけません。雇用している間は、労働関係法令にのっとり正しく対応してください。

5-4. 出入国管理関係法令を遵守する

外国人労働者を受け入れた後も、出入国管理関係法令を遵守する必要があります。例えば、技能実習生を技能実習計画で定められた実習実施場所以外で働かせたり、定められた内容以外の業務を行わせたりすると、出入国管理関係法令に違反してしまいます。

建設業界の慣行としてさまざまな現場で働かせることもあるようですが、これは法律に違反する行為です。

受入れる外国人労働者に関する出入国管理関係法令についてしっかりと頭に入れ、遵守するように心がけましょう。

6. 外国人労働者を採用するための手続きとコスト

外国人労働者を採用するためには、どのような手続きが必要なのでしょうか。また、コストはどのくらいかかるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

6-1. 採用するに当たって必要な手続き

外国人労働者を採用することが決まったら、労働契約を締結することになります。このとき企業側は、労働条件通知書もしくは労働条件通知書兼雇用契約書を用意します。

労働契約を締結したら、在留資格に関する手続きを行います。海外にいる人については在留資格認定証明書を取得し、ビザ(査証)を得た上で日本に入国します。既に日本にいる人は、在留資格変更許可申請を行います。在留資格変更許可申請の結果が出るまでは働けないことがあるので注意が必要です。

働くことができる在留資格を得たらいよいよ雇入れを行います。雇入れ後は雇用保険・健康保険などの加入手続きを行います。外国人労働者特有の手続きとしては、労働施策総合推進法28条1項に基づく「外国人雇用状況の届出」があります。雇用保険の被保険者は、雇用保険の資格取得届にて行います。

その他にキャリアアップシステムの登録も行う必要があります。

6-2. 採用するに当たってかかるコスト

外国人労働者を採用する際にかかる主なコストには、以下のようなものがあります。

・採用活動費用:求人広告の出稿や面接会の開催にかかる費用
・在留資格の取得・変更・更新費用
・現地での必要書類発行料:在留資格を取得するための書類を発行する費用
・渡航費(1.5往復分※):アジア圏だと8~16万円以上
・生活にかかる費用:住居の仲介料・敷金・礼金など20~35万円程度
・日本語や日本文化に関する教育費用
※担当者1人の往復+採用した外国人労働者1人の来日分

7. まとめ

現在、建設業の労働市場では、以下のような課題を抱えています。

・高齢化の進行・若年層の建設業離れ
・地方の人材不足
・労働条件が厳しい

建設投資もピーク時に比べ約35%減少しており、その影響で倒産に追い込まれたり事業の縮小を余儀なくされたりする建設会社が増えています。結果的に、多くの労働者が離職に追い込まれている現状があるのです。

そのような中、外国人労働者への注目が高まっており、2021年時点で建設業に携わっている外国人労働者約11万人にも上ります。一方で「安全ルールを守れるか」という、外国人労働者に特有の課題があることも懸念されています。

ここからは、建設業で外国人労働者を受入れるための基礎的なポイントをおさらいしましょう。

建設業で外国人労働者が働ける在留資格は以下の4つです。

・特定技能
・技能実習
・特定活動
・技術・人文知識・国際業務

受入れ企業が知っておくべきポイントには以下の4点があります。

・外国人労働者の労働安全衛生に十分に配慮する
・外国人労働者のキャリア形成について知っておく
・外国人労働者の受入れ企業には、建設キャリアアップシステムへの登録が義務付けられていることに注意
・建設業は有料職業紹介が禁止されていることに注意

外国人労働者を受入れる前には、以下の2点を頭に入れておきましょう。

・外国人労働者が理解できる言語で労働条件を明示する
・日本人労働者に外国人労働者の情報を共有する

外国人労働者を受入れた後も、安全に働いてもらうために以下の4点に配慮してください。

・日常的に労働安全衛生について考える機会を設ける
・労災隠しを絶対にしない
・労働関係法令を遵守する
・出入国管理関係法令を遵守する

外国人労働者の採用に当たっては以下のような手続きが必要です。

1. 労働契約の締結
2. 在留資格に関する手続き
3. 雇入れ
4. 雇用保険や健康保険などの加入手続き・労働施策総合推進法28条1項に基づく外国人雇用状況の届出・キャリアアップシステムの登録など

また、外国人労働者を採用する際には以下のような項目でコストもかかります。

・採用活動費用
・在留資格の取得・変更・更新費用
・現地での必要書類発行料
・渡航費
・生活にかかる費用
・日本語や日本文化に関する教育費用

本稿を、建設業で外国人労働者を雇用する際の不安の軽減にお役立ていただければ幸いです。

外国人雇用のガイドブック_まなびJAPAN

[1] 国土交通省「建設分野における外国人材の受入れ」,https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001481316.pdf(閲覧日:2022年11月15日)
[2] 国土交通省「(参考)建設業を取り巻く現状について」,p3,https://www.obayashi.co.jp/upload/img/ssus_sankou.pdf(閲覧日:2022年8月26日)
[3] 国土交通省「(参考)建設業を取り巻く現状について」,p3,https://www.obayashi.co.jp/upload/img/ssus_sankou.pdf(閲覧日:2022年8月26日)
[4] 国土交通省「建設分野における外国人材の受入れ」,https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001481316.pdf(閲覧日:2022年8月26日)
[5] 国土交通省「(参考)建設業を取り巻く現状について」,https://www.obayashi.co.jp/upload/img/ssus_sankou.pdf(閲覧日:2022年8月26日)
[6] 高木元也・庄司卓郎・呂健・惠羅さとみ・蟹澤宏剛「建設業における外国人労働者の活用と労働安全衛生上の課題 ― 元請業者対象の実態調査 ―」,https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/57/3/57_228/_pdf/-char/ja(閲覧日:2022年8月26日)

参考)
国土交通省「(参考)建設業を取り巻く現状について」,https://www.obayashi.co.jp/upload/img/ssus_sankou.pdf(閲覧日:2022年8月26日)
国土交通省「外国人建設就労者受入事業について」,https://www.mlit.go.jp/common/001203074.pdf(閲覧日:2022年8月26日)
国土交通省「建設分野における外国人材の受入れ」,https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001481316.pdf(閲覧日:2022年8月26日)
厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(令和2年 10 月末現在)」,https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/000728546.pdf(閲覧日:2022年8月26日)
建設業労働災害防止協会「「建設業における外国人労働者の 安全衛生教育等に関する実態調査」 実施結果報告書」,2020年2月,https://www.kensaibou.or.jp/safe_tech/leaflet/files/chousakenkyuhoukoku_gaikokujin.pdf(閲覧日:2022年8月26日)
高木元也・庄司卓郎・呂健・惠羅さとみ・蟹澤宏剛「建設業における外国人労働者の活用と労働安全衛生上の課題 ― 元請業者対象の実態調査 ―」,https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/57/3/57_228/_pdf/-char/ja(閲覧日:2022年8月26日)
出入国在留管理庁「在留資格「特定活動」」,https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities.html(閲覧日:2022年8月26日)
出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」,https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html(閲覧日:2022年8月26日)
一般財団法人建設業振興基金「建設キャリアアップシステム」,https://www.ccus.jp/(閲覧日:2022年8月26日)
一般財団法人建設業振興基金「建設キャリアアップシステムについて」(閲覧日:2022年8月26日)
厚生労働省「外国人労働者の安全衛生対策について」,https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000186714.html(閲覧日:2022年11月14日)
大阪労働局「有料職業紹介事業の概要」,https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/yuryou_muryou_shokugyou/hourei_seido/gaiyou.html(閲覧日:2022年11月14日)

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