この記事を読むと、次のことが分かります。
・在留資格認定証明書とは何か
・在留資格認定証明書の交付申請に必要な知識
・在留資格認定証明書交付の流れ
・在留資格認定証明書が交付されなかった場合の対処法
在留資格認定証明書は、在留資格を取得して日本で活動することを予定している外国人が、日本に上陸する条件を満たしていると認定された場合に発行される書類です。在留資格認定証明書の交付申請は、海外にいて、これから日本で就労する外国人材にとって、必要不可欠な手続きです。
在留資格認定証明書の交付申請は、多くの場合その外国人材が就職を予定している企業が、雇用契約の内容に基づいて代理人として行います。よって、外国人材の受入れを予定している企業では、この手続きの目的や進め方を押さえておく必要があります。
本稿では、在留資格認定証明書とは何か、また、申請方法や交付の流れなど、在留資格認定証明書に関する基本的な知識について解説します。
目次
1. 在留資格認定証明書とは、海外在住の外国人材を採用する際に必要な書類
まずは、在留資格認定証明書とは何か、確認しましょう。
1-1. 在留資格認定証明書とは?
在留資格認定証明書とは、その外国人材が日本で行う予定の活動が、日本に上陸するための条件を満たしているかどうかを審査し、認定された場合に法務大臣が発行する書類です。
書類には、日本でこれから就く職業・勤務先が明記され、その活動内容が取得する予定の在留資格に適合していることの証明が記載されます。
参考)在留資格認定証明書の様式
引用元)総務省九州管区行政評価局「報道資料 在留資格認定証明書の有効期間の確保、交付の早期化をあっせん」,2019年12月25日,p4,https://www.soumu.go.jp/main_content/000661277.pdf(閲覧日:2023年4月7日)
この証明書があれば、その外国人材が日本で活動するためのビザ発給や上陸許可を速やかに受けることができます。
【在留資格とは?】
在留資格とは、外国人が日本で行う活動の内容を証明するものです。日本で活動する全ての外国人は、在留資格を持っています。例えば、技能実習生は「技能実習1号」「技能実習2号」などの在留資格を、企業で働くホワイトカラーの外国人は「技術・人文知識・国際業務(技人国)」や「高度専門職1号」といった在留資格を持っています。留学生は「留学」の在留資格を持っています。
在留資格について、詳しくはこちらの記事をご参照ください。
1-2. 在留資格認定証明書の交付申請を行うタイミングは?
在留資格認定証明書の交付申請は、企業と海外にいる外国人材が雇用契約を締結したタイミングで行います。締結後、すぐに行いましょう。多くの場合、企業が本人の代理人として出入国在留管理局に必要な書類を提出し、交付を受けます。
これを外国人材本人が現地の日本大使館あるいは領事館に提出し、ビザの申請を行います。また、入国時の審査においても、在留資格認定証明書の提出が必要です。
このように、在留資格認定証明書は、これから来日して日本で就労したい外国人にとって、必要不可欠な書類です。
1-3. 在留資格認定証明書の有効期間は3カ月間
在留資格認定証明書の有効期間は3カ月間です。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、在留資格認定証明書の有効期間が下記の通り延長されていました。
【有効期間延長の対象となる在留資格認定証明書】
作成日 | 有効とみなす期間 |
2020年1月1日~2022年4月30日 | 2022年10月31日まで |
2020年5月1日~2022年7月31日 | 作成日から「6カ月間」有効 |
出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の有効期間に係る新たな取扱いについて」を基にライトワークスにて作成,https://www.moj.go.jp/isa/content/930005022.pdf(閲覧日:2023年1月20日)
現在、新型コロナウイルス感染症による特別延長は終了しています。インターネットで検索すると、今でも上記措置が取られているような情報がありますが、2023年4月現在の有効期間は3カ月間に戻っているので、注意してください。
2. 在留資格認定証明書交付申請の際に知っておくべきこと
ここでは、在留資格認定証明書交付の流れや申請方法など、在留資格認定証明書交付申請の際に知っておくべきことについて解説します。
2-1. 在留資格認定証明書交付申請の流れ
在留資格認定証明書の交付申請の準備は、在留資格の取得可能性を確認するところから始まります。ここでは、入社までのプロセスと併せて、全体的な流れを確認しておきましょう。
大きく六つのプロセスに分けて説明します。
(1) 在留資格取得可能性確認
(2) 雇用契約の締結
(3) 在留資格認定証明書交付申請
(4) ビザ申請
(5) 上陸・受入れ
(6) 入社
(1)在留資格取得可能性確認
就労に必要な在留資格を取得できるかどうか、内定者に確認します。内定者が在留資格を取得できない場合、内定取り消しの可能性があることを通知しましょう。
(2)雇用契約の締結
内定者が在留資格を取得できると分かったら、雇用契約を結びます。労働条件通知書兼承諾書や雇用契約書で契約を締結しましょう。ここで注意しておきたいのは、内定者が日本以外にいても、雇用契約の締結には日本の労働基準法が適用されるということです。
(3)在留資格認定証明書交付申請
出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付の申請を行います。このとき、外国人材を採用する企業が本人の「代理人」として在留資格認定証明書交付の申請を行っても問題ありません。
(4)ビザ申請
在留資格認定証明書が交付されたら、原本を内定者に送り、母国の日本大使館あるいは領事館で在留資格(就労ビザ)の申請をしてもらいましょう。
(5)上陸・受入れ
外国人材が日本に渡航します。日本の空港の入国審査で上陸許可を得て、在留資格(在留カード)を受け取ります。在留カードは後日郵送される場合もあります。
(6)入社
仕事を始めるための準備を進めましょう。企業側・外国人材側の双方が準備を進める必要があります。住居の確保など、必要な手配を漏れなく行いましょう。
【在留資格認定証明書交付と勤務開始までの流れ】
スムーズな来日を実現するために、在留資格認定証明書の交付申請はできるだけ早めに行いましょう。
2-2. 在留資格認定証明書の交付申請ができる人
在留資格認定証明書の交付申請ができるのは、まず申請人にあたる外国人材本人です。また、本人に内定を出した企業と法定代理人も、申請することができます。
行政書士や弁護士も申請が可能です。在留資格認定証明書の交付申請は煩雑なので、代行してもらうことをおすすめします。
2-3. 在留資格認定証明書の交付申請に必要な書類
在留資格認定証明書の交付申請に必要な書類は、在留資格によって異なります。ここでは、受入れ人数が多い在留資格に絞って必要な書類を簡単な表にまとめました。
【在留資格認定証明書の交付申請に必要な書類】
在留資格 | 必要な書類 | |
高度専門職 | ・本邦において行おうとする活動に応じたカテゴリーに応じた資料 ・ポイント計算表 | ・在留資格認定証明書交付申請書 ・写真 (縦4cm×横3cm) ・返信用封筒(簡易書留用の切手を貼付したもの) |
技術・人文知識・国際業務 | ・指定するカテゴリーのいずれかに該当することを証明する文書 ※提出可能な書類が無い場合はカテゴリー4に該当 | |
企業内転勤 | ||
介護 | ・介護福祉士登録証の写し ・労働者に交付される労働条件を明示する文書など | |
特定活動 | ・本邦で活動する内容によって異なる | |
特定技能 | ・申請人に関する必要書類 ・所属機関に関する必要書類 ・分野に関する必要書類 |
在留資格ごとに必要な書類は異なるので、細かな書類の内容などは、下記の出入国在留管理庁のページをご覧ください。
参考)
出入国在留管理庁|在留資格認定証明書交付申請についてはこちら
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-1.html
2-4. 在留資格認定証明書の交付申請先
在留資格認定証明書の交付申請先は、申請人の居住予定地か受入れ機関の所在地を管轄する出入国在留管理局です。
また、在留資格認定証明書の交付申請は、オンラインでも行うことができます。
参考)
出入国在留管理庁|在留資格認定証明書のオンライン申請はこちらから
https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/onlineshinsei.html
2-5. 在留資格認定証明書の交付申請にかかる費用
申請自体に手数料はかかりません。しかし、行政書士や弁護士などに在留資格認定証明書の交付申請を依頼する場合は、そのための費用が必要となります。
2-6. 在留資格認定証明書交付の審査基準
申請の書類が虚偽記載されたものではないか、定めている基準に適合するかどうかが審査されます。
申請された在留資格に該当するかどうかも審査の対象です。そのため、申請人にどんな活動をしてもらいたいか明確にし、その活動がどんな在留資格に当てはまるか、事前に定めておく必要があります。
2-7. 在留資格認定証明書の交付までにかかる期間
標準処理期間は、1カ月から3カ月ほどです。
しかし、もし書類や記載内容の不備などがあった場合はさらに時間がかかります。余裕をもって申請するよう心掛ける必要があります。
3. 在留資格認定証明書が交付されなかった場合の対処法
何らかの理由で在留資格認定証明書が交付されない場合もあります。不交付となった場合、「在留資格認定証明書不交付通知書」が送致されるので、それを見てどんな理由で不交付となったのか、大まかな原因を確認できます。
しかし、不交付通知書だけで分かるのは大まかな原因です。何がどう悪かったのか、詳細を知るためには出入国在留管理局に出向く必要があります。原因を聞きに行けるのは、申請人本人か法定代理人、取次者です。
【取次者とは】
取次者とは、申請等取次者として承認された人のことです。主に、下記のような人物のことを指します。
・受入れ機関等の職員
・旅行業者の職員
・公益法人の職員
申請等取次者に申請しようとする場合、以下の条件を全て満たす必要があります。
“(1) これまでに入管法に違反する行為その他外国人の入国・在留管理上申請等の取次ぎを承認することが相当でない行為を行ったことがない等信用できる者であること。また、承認を受けようとする者が所属する機関も同様に信用できる機関であること。
(2) 出入国在留管理行政に関する研修会等への参加等その経歴に照らし、外国人の入国・在留手続に関する知識を有していると認められる者であること。
(3) 旅行業者の職員の方については、所属する会社が外国旅行に係る旅行業務を取り扱うことができるものであること。[1]”
出入国在留管理局で不交付の理由を知った後は、その原因を解決してから再申請をしましょう。
なお、在留資格認定証明書が交付されない理由は多種多様です。問題が申請人にあるケースもあれば、企業に問題があるケースもあります。万全の準備で在留資格認定証明書の交付申請を行いましょう。
4. 就労開始後は在留期間の更新漏れに注意!
外国人材が就労を開始した後は、在留期間に注意し、更新手続きをするのを忘れないようにしましょう。同じ在留資格のまま在留期間を更新するためには、在留期間更新許可申請が必要です。
申請できるのは、申請人本人と代理人、取次者です。
在留期間を1日でも超えてしまうと不法残留と判断されてしまいます。速やかに出国するよう命令され、1年間の上陸拒否の措置を受けることになります。
在留期限が近づいたら、早急に申請書類を用意し、在留期間の更新許可申請を行いましょう。
5. まとめ
在留資格認定証明書は、在留資格を取得して日本で活動することを予定している外国人が、日本に上陸する条件を満たしていると認定された場合に発行される書類です。書類には、日本でこれから就く職業・勤務先が明記され、その活動内容が取得する予定の在留資格に適合していることの証明が記載されます。
在留資格認定証明書の交付申請を行うタイミングは、企業と海外にいる外国人材が雇用契約を締結したときです。締結後、すぐに行いましょう。これを外国人材本人が現地の日本大使館あるいは領事館に提出し、ビザの申請を行います。入国時の審査においても、在留資格認定証明書の提出が必要です。
在留資格認定証明書の有効期間は3カ月間です。新型コロナウイルス感染症により、有効期間が特別延長されていましたが、2023年4月現在の有効期間は3カ月間に戻っているので、注意してください。
在留資格認定証明書の交付申請の流れは、大きく六つのプロセスに分けて説明できます。
(1) 在留資格取得可能性確認
(2) 雇用契約の締結
(3) 在留資格認定証明書交付申請
(4) ビザ申請
(5) 上陸・受入れ
(6) 入社
スムーズな来日を実現するためにも、在留資格認定証明書の交付申請はできるだけ早めに行いましょう。
在留資格認定証明書の交付申請が可能である在留資格は、まず在留資格認定証明書の交付申請を行うことで、日本への上陸許可が滞りなく出るようになります。
在留資格認定証明書の交付申請ができる人は、申請人にあたる外国人材本人の他に、本人に内定を出した企業と法定代理人、行政書士や弁護士も申請が可能です。在留資格認定証明書の交付申請は煩雑なので、代行してもらうことをおすすめします。
在留資格認定証明書の交付申請に必要な書類は、在留資格によって異なります。細かな書類の内容などは、下記の出入国在留管理庁のページをご覧ください。
参考)
出入国在留管理庁|在留資格認定証明書交付申請についてはこちら
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-1.html
また、在留資格認定証明書の交付申請先は、申請人の居住予定地か受入れ機関の所在地を管轄する出入国在留管理局です。オンラインでも行うことができます。
参考)
出入国在留管理庁|在留資格認定証明書のオンライン申請はこちらから
https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/onlineshinsei.html
在留資格認定証明書の交付申請自体に、費用はかかりません。しかし、行政書士や弁護士などに在留資格認定証明書の交付申請を依頼する場合には、依頼料などがかかります。
在留資格認定証明書の審査基準は、定めている基準に適合するかどうか、虚偽記載されていないか審査されます。申請された在留資格に該当するかどうかなども審査対象です。
また、在留資格認定証明書交付までの標準処理期間は、1カ月から3カ月ほどです。
もし在留資格認定証明書が交付されなかった場合、「在留資格認定証明書不交付通知書」が送致されます。不交付となった場合、大まかな理由がこの通知書に書かれています。在留資格認定証明書が交付されない理由は多種多様です。万全の準備で在留資格認定証明書の交付申請を行いましょう。
外国人材が就労を開始した後、同じ在留資格のまま在留期間を更新するためには、在留期間更新許可申請が必要です。在留期間を1日でも超えてしまうと不法残留と判断されてしまうので、忘れずに在留期間更新許可申請を行いましょう。
在留資格認定証明書は、スムーズに外国人を雇用するために必要不可欠な書類です。滞りなく外国人に働いてもらえるように、早めに準備をしておくことが重要です。
[1] 出入国在留管理庁「申請等取次者としての承認手続」, https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/nyuukokukanri07_00248.html(閲覧日:2023年1月23日)
参考)
出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」,https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-1.html(閲覧日:2023年1月20日)
出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の有効期間に係る新たな取扱いについて」,https://www.moj.go.jp/isa/content/930005022.pdf(閲覧日:2023年1月20日)
出入国在留管理庁「申請等取次者としての承認手続」, https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/nyuukokukanri07_00248.html(閲覧日:2023年1月23日)
出入国在留管理庁「【高度専門職1号】在留資格認定証明書交付申請」, https://www.moj.go.jp/isa/content/930001668.pdf(閲覧日:2023年1月23日)
出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」, https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html(閲覧日:2023年1月23日)
出入国在留管理庁「在留資格「企業内転勤」」, https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/intracompanytransfee.html(閲覧日:2023年1月23日)
出入国在留管理庁「在留資格「介護」」, https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/nursingcare.html(閲覧日:2023年1月23日)
出入国在留管理庁「在留資格「特定活動」」, https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities.html(閲覧日:2023年1月23日)
出入国在留管理庁「在留資格「特定技能」」, https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/specifiedskilledworker.html(閲覧日:2023年1月23日)
出入国在留管理庁「不法残留している外国人の方への帰国手続(出国命令制度)の御案内」, https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/syukkokumeirei.html(閲覧日:2023年1月24日)
日本貿易振興機構「2.3 在留資格認定証明書取得からビザ取得までの流れ」,https://www.jetro.go.jp/invest/setting_up/section2/page3.html(閲覧日:2023年1月25日)
出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」,https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-3.html(閲覧日:2023年3月7日)
出入国在留管理庁「在留申請のオンライン手続き」,https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/onlineshinsei.html(閲覧日:2023年4月7日)
総務省九州管区行政評価局「報道資料 在留資格認定証明書の有効期間の確保、交付の早期化をあっせん」,2019年12月25日,p4,https://www.soumu.go.jp/main_content/000661277.pdf(閲覧日:2023年4月7日)