技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第11回)その2

2023年10月4日、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(座長・田中明彦国際協力機構理事長)の第11回会合が開かれました。中間報告書公表後4回目の開催となるこの会議では、同年秋に予定されている最終報告書の取りまとめに向けて、有識者会議の委員から出た意見の全体像(要約)や関係者へのヒアリング調査結果などが示されました。この記事では、有識者会議の論点として設定された9つのポイントのうち論点(6)~(9)について、有識者会議委員から出た意見の概要とヒアリングの概要を紹介します。

参考)
出入国在留管理庁「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第11回)」
https://www.moj.go.jp/isa/policies/conference/03_00074.html

1. (論点6)特定技能制度の適正化方策

論点6については、下記のような項目がありました。

(1)登録支援機関による支援の在り方(監理・保護機能を追加することの適否や登録制度であることの是非を含む。)
(2)優良な登録支援機関へのインセンティブ付与方策(事業評価の公表を含む。)
(3)悪質な登録支援機関への対応方策
(4)行政の指導監督体制の在り方

中間報告は、特定技能外国人に対する支援を適切に行えない登録支援機関についても厳しく適正化・排除する必要があると指摘しています。

1-1. 委員からの意見

登録支援機関について有識者会議委員からは「要件を厳しくし、許可制にすべき」「外国人技能実習機構またはそれに代わる行政組織が登録支援機関を管理・監督すべき」という趣旨の意見が複数ありました。

例えば、「支援体制が不十分な登録支援機関や法令の遵守の支援ができていないところもある。登録支援機関の要件を厳格化することで特定技能制度全体の適正化と登録支援機関の質の向上を図る必要がある。登録支援機関を許可制にし、監理団体と同等程度の役割を担わせることも考えられる」など、登録支援機関の要件厳格化や許可制を求める意見が数件ありました。

また、「登録支援機関を事業協同組合など行政が監督しやすい非営利団体に限るのがよい」とか「登録支援機関の手数料についてもルールを設けるべき」という意見もありました。登録支援機関を使わない受入れ企業に対して受入れ要件の厳格化を求める意見もありました。

悪質な登録支援機関への対処については、「労働法のトレンドとして、法違反企業名の公表の規定が非常に増えている」として悪質な登録支援機関の名称を公表する案や「支援活動を十分に行えない登録支援機関は排除等を含めた取扱について協議すべき」という強い意見もありました。

1-2. ヒアリング結果

特定技能制度の適正化方策について、ヒアリング対象者からは次のような意見が出ました。

〈日本行政書士会連合会〉
・技能実習と特定技能で決定的に違うのは、技能実習は、監理団体が人材のあっせんから入国時のフォロー、指導や監査を一元的に行うのに対し、特定技能は、あっせんは人材派遣会社、在留手続等は登録支援機関もしくは受入れ機関というように、パーツ、パーツで分かれているところである。技能実習のように一連の流れが一元化されていないことから、企業や登録支援機関が何をすべきか把握していないことが多い。特定技能においても、どこか一つの機関が支援を行うのが望ましいが、難しい場合は、コーディネーターとなる人が企業に合った支援方法を提案することが望ましい。

2. (論点7) 国・自治体の役割

論点7については、下記のような項目がありました。

(1)制度所管省庁の在り方・役割の見直し
(2) 業所管省庁の役割の見直し(より良い受入れを後押しする役割を担う方向での見直し方策)
(3)自治体の役割(外国人が生活者として安心して暮らせるための相談体制を含めた環境整備等)

団体管理型の技能実習を所管する官庁は法務省と厚生労働省で、特定技能1号を所管する官庁は法務省、外務省、厚生労働省、国家公安委員会と各分野の所管省庁です。特定技能外国人を受け入れる前提として、分野別の所管省庁は生産性向上や国内人材確保に向けた取組を行うこととされています。中間報告は、各省庁の産業政策として、外国人労働者から日本が就労先として選んでもらえるように、業界団体と連携して各業界での受入れの適正化をはかるべきだとしています。また、地方自治体についても、外国人が安心して働き暮らせる環境整備などの役割に言及しています。

これらの論点について有識者会議では次のような意見が出ました。

2-1. 制度所管省庁の在り方・役割の見直し、業所管省庁の役割の見直しについて

省庁の在り方について、「外国人技能実習機構や入管は適正な取組がなされているかをチェックする役割に徹し、アクセルを踏むのは業所管省庁や業界団体という形が望ましい」とする意見や「業界の人手不足の状況や人材確保が十分に講じられているか、また、産業政策の観点を含めて、予算確保と併せて業所管省庁が検討・関与することが重要」という意見、「受入れ現場の実態に合った円滑・適正な受入れ等に向けて、業界団体と業所管省庁がイニシアチブをとり、自治体等の協力も促して、業界としての取組を進める仕組みが必要。その際、現行の特定技能協議会の枠組みを活用して、多方面との連携を図っていくことが重要」という意見がありました。

また、サプライチェーン全体で外国人労働者の人権保護が進むよう、「業務の発注元企業は人権侵害に対し、サプライチェーン全体の労働者が利用できる外国語対応が可能な相談窓口の設置や、問い合わせへの対応、通報を踏まえた調査対応も求められている。そうした取組を行っている事業者もあり、行政としてビジネスと人権を踏まえた施策の普及に向けて積極的に取り組んでいくことが重要だ」という指摘もありました。

2-2. 自治体の役割について

自治体の役割については、「一元的相談窓口が各自治体に作られ、定住者や永住者などの外国人が相談しやすくなったという声を聞く。新制度の外国人や特定技能外国人についても、気軽に集まって母国の行事を共有したり、その中で自然に相談したりすることができるような場所ができるよう、広報や仕組み作りが必要」という提案があったほか、下記のような指摘がありました。

・外国人材が地域社会の一員として長期就労できるよう、国や自治体、関係機関等による日本語教育環境の整備、住宅環境の整備を始め、生活全般の支援体制の構築が必要。
・半島、離島、過疎地域では、民間の賃貸物件がなく、外国人の生活環境確保のコスト負担が大きい。現場からは空き家のリフォーム等に対する支援の要望が多い。
・外国人労働者とその家族の生活に関するオリエンテーションや医療の相談、家庭問題、教育等の問題についての相談体制の在り方についても議論が必要。

2-3. ヒアリング結果

国・自治体の役割について、ヒアリング対象者からは次のような意見がありました。

〈一般社団法人大日本水産会〉
・業所管省庁には、外国人材が健康に生活して帰国できるよう、引き続き安全対策に取り組んでほしい。また、新たな制度では、外国人が日本人と同様にキャリア形成(乗船履歴の付与等)できる環境を整備してほしい。
・地方自治体については、外国人材を受入れ、活用することが地域社会の人口減少に対応するためのものにもなっていることから、外国人材への積極的な関与、定期的な在留状況の確認、帯同する家族のフォローや日本語教育の場の設置、地域住民とのコミュニケーションの場の提供などをお願いしたい。

〈日本行政書士会連合会〉
・業種によって受入れ負担金や手続に要する時間等が異なっていることがあるので、業所管省庁の関与について、ある程度一体化した運用にしていただきたい。

3. (論点8)送出機関及び送出しの在り方

論点8については、下記のような項目がありました。

(1)送出機関の適正化等の在り方
(2)外国人の来日前の手数料負担を減少させる方策
(3)国際的なマッチング(職業紹介)機能の適正化方策(監理団体等の関与の在り方を含む。)

技能実習の送出機関は外国の人材会社です。多くの場合、日本の監理団体から技能実習生の求人を受けると、その求人への応募者を集め、受入れ企業等または監理団体による採用面接を経て、合格者に日本語教育を施したり、監理団体と協力して渡航に向けた手続きを行ったりします。日本に入国してからも、技能実習生とつながりは残り、受入れ企業等から毎月、監理団体経由で送出管理費を受け取ります。こうした送出機関の中に不当に高額な手数料を実習候補者から徴収したり、費用に見合わぬ低質の日本語教育しか行わなかったりする機関が多く、問題になっています。

こうした論点について、有識者会議の委員からは下記のような意見が出ました。

3-1. 送出機関の適正化等の在り方について

送出機関の適正化については、どの送出機関を選んだらよいか分からないという現状に関して、「送出機関の認定をより厳格にし、適正な企業または機関から推薦をしてほしい」という意見がありました。一方で、悪質な送出機関を認定するのは送出国であるため、送出機関への取り締まりや処罰をするのは難しいとの認識から、「入国後に失踪者が出ないよう、外国人技能実習機構の機能を拡大し、監理団体の指導・監督を強化してほしい」という意見もありました。

また、移民労働者(外国人労働者)の保護等について定めたILO181号条約第8条1項を引き合いに出し、「移民労働者に対する不当な取扱について、他の加盟国とも協力して、労使協議の上で国際的な視点も踏まえて措置をとるべき」とし、そのための仕組み作りを求める意見がありました。

3-2. 外国人の来日前の手数料負担を減少させる方策について

外国人労働者の来日前の手数料負担についても、ILO181号条約の締結国としての義務に言及し、「送出機関の手数料上限設定や減額等の規定を二国間条約等に盛り込むことが必要」とする意見が出ていました。

3-3. 国際的なマッチング機能の適正化方策について

国際的なマッチング機能の適正化については、送出機関の適正化等の項でも触れた「送出機関の認定をより厳格にし、適正な企業または機関から推薦をしてほしい」という意見に加え、「現状では、送出機関も監理団体も互いにどこがよい機関なのか分からないので、JETROなどが国際マッチング支援を行うことで優良な機関が分かるようにしてはどうか」という具体的な提案がありました。

公的機関の関与を求める意見はほかにもあり、「例えば、適切な受入れ事業者とその事業者の雇用条件等をウェブサイトなどで各国語で情報提供し、職業紹介事業者についてもその実績を含めて情報提供すること」を求める声が複数ありました。公的機関が受入れ事業者の情報を提供することで、雇用条件に関する情報が複数の仲介機関を経て歪曲されることも防げるとしています。

3-4. ヒアリング結果

送出機関及び送出しの在り方について、ヒアリング対象者からは次のような意見がありました。

〈Myanmar And Worldwide Services〉
・(ミャンマーの送出し事情について) 送出機関が手数料を徴収限度額より多く徴収した場合、ミャンマーの労働省により、半年の業務停止からライセンスの取消しといった厳しい処分が下され、同省のホームページで公表される。
・送出機関の仕事は送り出したら終わりではない。実習先でのトラブルや病気、家族に不幸があったときなどは、監理団体のみでは解決できないこともあり、送出し側のサポートが必要だ。
・送出しに関して、ミャンマーでは政府が厳しく取り締まっているが、送出機関のみでは解決できない問題も多くあることから、日本政府や公的機関も積極的に介入し、監理団体や登録支援機関を厳しく取り締まっていただきたい。送出しにおいて起こる問題は送出政府が、日本入国後に発生するブローカーや監理団体に係る問題は日本政府が、それぞれきちんと対応するべきである。

〈特定技能外国人〉
・送出機関は自分で選べず、決められたところしかなかった。自分で選べるのであれば、自分で選んでいたと思うが、SNS上にも送出機関の情報はあまり公表されていない。送出機関の評判をインターネットで閲覧できるようにしてほしい。

〈ILO駐日事務所〉
・ILO181 号条約の第7条第1項は「民間職業仲介事業所は、労働者からいかなる手数料・経費についてもその全部、一部を直接、間接的に徴収してはならない」としており、ゼロフィー原則と呼ばれている。日本は条約批准国として適切な措置をとることが求められている。また、第8条第2項では、「関係する加盟国は、募集、職業紹介及び雇用における不当な取扱い及び詐欺行為を防止するため相互に協定を締結することを考慮する」という規定があり、国際労働基準局の見解によると、労働者から手数料及び関係費用を徴収することは不当な取扱いに該当するとの解釈が得られている。
・ILO181 号条約を批准している国はアジアでは非常に少ないため、日本はリーダーシップを発揮することが期待されている。不当な取扱いがなされないよう積極的に送出国に対し協力を求め、必要かつ適切な措置を講ずるよう求められている。
・ILO181 号条約の趣旨に沿うような形で、手数料や関連費用の上限を定め、法定費用についてはゼロフィーの実現に向けて、関係者の協力を求めることや送出機関のレーティングやインセンティブの付与を検討していくべきではないか。

〈株式会社成田空港ビジネス〉
・送出しに関する費用は、受入れ企業が負担するのが原則である。一方、教育に関連する費用については、外国人本人の糧となるほか、本人のモチベーションへの影響もあることから、一定程度の自己負担はやむを得ない。

4. (論点9)日本語能力の向上方策

論点9については、下記のような項目がありました。

(1)就労開始前の日本語能力担保方策(目的、具体的方策(試験、講習等))
(2)就労開始後の日本語能力向上の仕組み(目的、具体的方策(インセンティブ付与等)、日本語教育環境の整備)
(3)関係者の役割分担や負担費用の在り方

中間報告は、外国人労働者が日本での就労前に一定水準の日本語能力を持てるよう、日本語能力の要件化や来日後も日本語能力が段階的に向上するような仕組み作りを促しています。

現在、就労前の技能実習生に「技能実習の遂行や日常生活に不自由しない水準」の日本語教育を行う必要がありますが、内容や時間数の定めはありません(ただし、介護職種の技能実習生については、日本語能力試験N4以上が条件)。来日後の日本語能力についても、介護職種の場合はN3以上合格などの条件がありますが、それ以外の職種には定めがありません。

また、受入れ企業等による来日後の技能実習生への日本語学習支援は任意ですが、実施した場合、「優良な実習実施者」や「優良な監理団体」に認定されるための加点にはなっています。ただし、日本語教育の内容や時間数についての定めはありません。

4-1. 就労開始前の日本語能力担保方策について

就労開始前の日本語能力の向上方策については、「技能実習に代わる新しい制度では、就労開始前にN5を習得するための講習を必須としてはどうか」「入国後の共生を容易にするためにも日本語教育は重要であり、N5習得が必要」「(N5を要件化することで)入国前の教育をまともにやらずに送出しをしている不適正な送出機関の排除にもつながる」など、就労前の日本語能力試験N5の習得を求める声が相次いでいます。

しかし、一方で、「応募が少なくなっている業界からすると、外国人労働者の心理的ハードルが高くなり、選ばれなくなるのではという懸念がある」といった意見も複数ありました。

また、「日本語能力を身につけることが費用や期間の面で高いハードルにならないよう、政府ないし公的機関によるオンライン教育などを充実させ、日本語能力試験も現状のような半年に1回ではなく、もっと頻繁に安価で受けられるようにすべきである」という意見など、日本語教育支援の充実や日本語能力試験の受験機会(費用、回数など)の改善を求める声も複数ありました。

4-2. 就労開始後の日本語能力向上の仕組みについて

日本に来てからの日本語能力向上の仕組みについては、「入国後も引き続き日本語能力を研さんし、在留期間満了時には、N4以上の試験合格を必須とすべき」とか「在留資格が変わる際の要件として日本語能力を追加するなど、在留の段階ごとに日本語能力が実際に向上する仕組みを取り入れることも考えられる」など、在留資格の要件に日本語能力を盛り込む意見が複数ありました。

また、「地方では日本語教育の環境が十分に確保されていないことから、オンラインでの教育体制を拡充すべき」、「入国後に優良な日本語教育を実施する受入れ機関や監理団体に対しては、インセンティブとして入国前の日本語要件を緩和するというのも一案」として、日本語学習の環境整備を促す意見がありました。さらに、優秀な日本語教師の深刻な不足を指摘し、改善に向けて予算確保を求める意見もありました。

4-3. 関係者の役割分担や負担費用の在り方について

日本語教育の役割分担や費用分担については、「生活者としての日本語を学ぶ場は、自治体や地域の役割が大きいが、コミュニケーション能力やプレゼン能力など就労者としての日本語を学ぶ場も必要。これについては企業も一定の負担をすべき」という意見や「受入れ時の日本語能力や技能を身につけるに当たっては、コストをできるだけ国が負担していくという在り方が必要ではないか」とする意見がありました。

4-4. ヒアリング結果

日本語能力の向上方策について、ヒアリング対象者からは次のような意見がありました。

〈Myanmar And Worldwide Services〉
・我々のように日本語学校を運営している送出機関であれば同様の取組ができるかもしれないが、そうでない送出機関の方が多く、受入れ企業から受け取る事前講習費の範囲内でしか対応できない。入国後講習には大変意味があると考えているところ、監理団体によって講師の質や受講人数が異なり、その成果に差が出るので、入国後講習の実態調査が必要と考える。
・受入れ側からすれば日本入国時にある程度の日本語能力は必要であるが、職種によっては日本語能力よりも段取りや体力などの仕事力が求められるものもある。日本語能力を求めすぎると、せっかくやる気や仕事力があっても、日本語ができない者は日本に行くことができなくなり、候補者が減ってしまう。N4合格を入国時の要件にすることは厳しい。N5であれば問題ないと思う。

〈一般社団法人大日本水産会〉
・漁業の場合、地方での受入れが多いところ、標準語よりも方言が使われるため、指示が伝わらないといったことも多い。そのため、就労開始前にどの程度の日本語能力が適切なのか決めることは難しい。
・新たな制度においても、技能実習制度のように入国後講習などのカリキュラムの中で日本語講習が行われるのであれば、入国時の日本語能力の要件は不要と考える。
・日本語教育の費用については、受入れ側が負担するのが当然だが、転籍との兼ね合いで、一つの事業主が負担することには違和感がある。また、地域社会が労働者を受け入れることを踏まえると、税金や地域の一部負担で、方言など地域に根ざした言語教育を実施することも一案だ。

〈特定技能外国人〉
・日本で実習を行うにあたり、来日前に業務に関する日本語と生活で必要な日本語の能力があれば良いと考える。

〈日本行政書士会連合会〉
・安全衛生の観点から、入国前にある程度の日本語教育は必要だ。ただし、外国人が借金をするなどの過度の負担にならないよう、受入れ企業側が負担すべきではないか。また、高いレベルの日本語能力を求めてしまうと、働き先として日本が選ばれない可能性も出てくることから、最低限必要なレベルを定めた上で、公的機関で作成した教育プログラムをオンラインで受講できるような仕組みを作り、受入れ企業の負担を軽減しながら、一定程度の日本語学習を入国前にできるようにするべきではないか。

〈株式会社成田空港ビジネス〉
・日本語能力については、試験の合格を要件とするのではなく、例えば一定期間の日本語教育研修を受講したことを要件とすることもできる。ただし、特定技能への移行時に日本語試験を取り入れるのは有用。
・求められる日本語能力が産業分野ごとに違うと思うので、分野ごとに要件を定めることも方法としてある。また、受入れ企業内で英語でのコミュニケーションが可能など、必ずしも日本語を話せないことが業務の支障とならない分野においては、日本語要件を課さないことも可能。

5. まとめ

この記事では、有識者会議の論点(6)~(9)について、委員から出た意見や関係者へのヒアリング結果をまとめて紹介しました。

(論点6)特定技能制度の適正化方策
登録支援機関については、委員たちから「要件を厳しくし、許可制にすべき」「外国人技能実習機構またはそれに代わる行政組織が登録支援機関を管理・監督すべき」という趣旨の意見が複数ありました。

(論点7) 国・自治体の役割
国・自治体の役割については、「受入れ現場の実態に合った円滑・適正な受入れ等に向けて、業界団体と業所管省庁がイニシアチブをとり、自治体等の協力も促して、業界としての取組を進める仕組みが必要」という意見や「外国人材が地域社会の一員として長期就労できるよう、国や自治体、関係機関等による日本語教育環境の整備、住宅環境の整備を始め生活全般の支援体制の構築が必要」といった意見がありました。

(論点8)送出機関及び送出しの在り方
送出機関については、「送出機関の認定をより厳格にし、適正な企業または機関から推薦をしてほしい」など、公的機関等に良質な送出機関を推薦してほしいという意見が複数ありました。

受入れ企業等については、「適切な受入れ事業者とその事業者の雇用条件等をウェブサイトなどで各国語で情報提供し、職業紹介事業者についてもその実績を含めて情報提供すること」を求める声が複数ありました。

(論点9)日本語能力の向上方策
日本語能力については、就労前の日本語能力試験N5の習得を求める声が多数ありましたが、「応募が少なくなっている業界からすると、外国人労働者の心理的ハードルが高くなり、選ばれなくなるのではという懸念がある」という心配の声も複数ありました。

その他
これら以外に、ミャンマーの送出機関から「他国と比べて、日本はスキルアップができる上に安全であるので一番人気がある。今後も選ばれる国になるためには、外国人が稼げることが一番重要」という意見がありました。

また、「外国人材を受け入れる側は、制度は当然のこと、受入れに必要な知識を備えていることが重要だ。外国人だけでなく、受入れ側にも試験等を課し、その合格を受入れ要件とするのも一案では」という意見もありました。

技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第11回)の論点(1)~(5)については、こちらをご覧ください。

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