日本語学校とは?外国人従業員がいる企業向けに活用方法を【徹底解説】

この記事を読むと、次のことが分かります。  

・日本語学校とは
・日本語学校で学べること
・自社に合った日本語学校の選び方
・日本語学校と地域の日本語教室の違い

日本語学校とは、日本語を母語としない人を対象に、第二言語として日本語を教育する機関です。日本国内では、特に法務省より告示を受けた日本語教育機関を指し、入学者には「留学」の在留資格が付与されます。日本語学校には、日本で就労している外国人対象にしたコースが開設されているところもあります。

本稿では、日本語学校の基礎知識について解説します。また、自社に合った日本語学校の選び方も紹介します。外国人を雇用している、または雇用する予定の企業の方は、日本語支援に生かすためにご参照ください。

外国人雇用のガイドブック_まなびJAPAN

1. 日本語学校は第二言語として日本語を学ぶところ

ここでは、日本語学校の概要について解説します。

1-1. 日本語学校とは

日本語学校とは、日本語を母語としない人を対象に第二言語として日本語を教育する機関です。日本国内では、特に法務省より告示を受けた日本語教育機関を指し、入学者には留学在留資格が付与されます。

法務省が設けている告示基準には、設置者教育課程生徒数など、さまざまな項目が定められています。例えば教育課程では以下のような基準があります。

修業期間1年以上(事情がある場合には6カ月以上)であること
入学できる時期が、年2度以内(やむを得ない理由がある場合には、年4度以内)であり、定めた時期以外に入学者の募集を行わないこと
・教育課程が大学など教育機関に進学することを目的としたものである場合には、卒業の時期当該教育機関入学時期を勘案して適切に定められていること
・修業期間1年当たり授業期間が、35週にわたること
・授業の1単位の時間45分を下回らないこと
・授業時数は修業期間1年当たり760単位時間以上1週間当たり20単位時間以上であること
・授業はおおむね午前8時から午後6時までの間に行われること
授業科目が、日本語の教育を受ける者にとって適当と認められるものであること

文化庁が公表した2021年度の日本語教育実態調査報告書によると、法務省告示機関の日本語学校は全国に661校あり、それらで学ぶ日本語学習者3万3,761人とされています[1]

参考)
出入国在留管理庁|法務省告示機関の日本語学校一覧はこちら https://www.moj.go.jp/isa/content/930006074.pdf

法務省告示機関の日本語学校に入学する日本語学習者のうち、7割強は日本の大学や大学院、専修学校などに進学します。

また、日本語学校によっては、進学コースとは別に日本で就労している外国人対象にしたコースが開設されているところもあるため、日本で働いている外国人も日本語学校に通っています。

1-2. いろいろある!日本語教育機関

日本語教育機関は、法務省告示機関の他にもさまざまな機関・団体によって運営されているものがあります。

現在、以下のような機関・団体があります。

・大学などの機関
・地方公共団体、教育委員会
・国際交流協会
・任意団体など

1つずつ解説します。

・大学などの機関

大学などの機関は、主に留学生日本語別科を運営しています。ここでは、日本の大学・大学院・短期大学などへの入学を希望する留学生対象に、その準備教育として、日本語や日本の文化、社会事情などを教えています。

・地方公共団体、教育委員会

地方公共団体が運営するのは、地域の日本語教室です。主に地域のボランティアの方運営に協力しています。

また、教育委員会は、主に日本語を母語としない児童・生徒に対する日本語教育を行っています。

・国際交流協会

国際交流協会は、多文化共生の社会づくりや国際交流活動を促進する目的で、各都道府県に設立されています。

国際交流協会では、地域によって内容は異なりますが、子どもから大人まで幅広い年齢層さまざまな立場の日本語の支援を要する人に向けて日本語講座を開設しています。

・任意団体など

任意団体には、特定非営利活動法人、学校法人、株式会社、有限会社、社団法人、財団法人など、さまざまな設置形態の組織が含まれます。任意団体などが運営している日本語教室・学校などは、運営している団体によってその目的が異なります。

機関・団体別の日本語教育機関の数は以下の通りです。

表)2021年度 日本語教育機関数


文化庁国語課「令和3年度 日本語教育実態調査報告書 国内の日本語教育の概要」,2021年11月1日,p6を基にライトワークス で作成,https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/r03/pdf/93791201_01.pdf(閲覧日:2023年7月27日)

日本語教育機関数は全体2,541ありますが、このうち法務省告示機関の日本語学校661最も多くなっています。

日本語学校と、地方公共団体や国際交流協会、任意団体などが運営する日本語教室(日本語講座)の違いについては、4章で詳しく解説します。

1-3. 日本語学校の適正校は法務省告示校の約8割

法務省告示機関の日本語学校は、既に告示基準を満たしていますが、その中でも「適正校」と選定されている学校があります。

適正校とは、留学生の在籍管理能力に問題のない学校として出入国在留管理庁に認められている学校のことです。適正校は、出入国在留管理庁において毎年選定され、2021年8月の時点では、告示校の約8割(650校程度[2]が選定を受けています。

適正校に選定される要件は、 以下の通りです。

・前年1月末の在籍者数に占める問題在籍者(不法在留した者、在留更新申請が不許可となった者、在留資格が取り消された者など)の割合が5%以下であること
・受入れた外国人の在留状況が確認でき、その状況に問題がないこと
在籍管理上不適切と認められる事情がないこと

適正校に選定されることは、在籍する留学生を適切に管理し学校を運営できていると国に認められることです。そのため、適正校かどうかは、信頼度の高い学校を見極めるための判断材料になります。

なお、適正校のリストはありませんが、適正校と認められた日本語学校は、その旨をホームページなどに掲載することが多いので、個別に確認しましょう。

2. 日本語学校とはどのようなところ?

ここでは、日本語学校に入学する人の目的、学べること、入学する方法、授業料などについて解説します。

2-1. 日本語学校に入る人の目的、どのようなことが学べる?

日本語学校は、1980年代の中曽根内閣による「留学生10万人計画」によって多く設立されました。当初、日本語学校に入学する目的は、主に日本の大学などへの進学を目指して日本語を学ぶことでした。

近年は、さまざまな理由で日本に在留する外国人が増え日本語を学ぶニーズ多様化しています。それに伴い、進学コース以外のコースを開設している日本語学校も増えています。例えば、以下のようなコースがあります。

・ビジネス日本語コース
・日常会話を中心とした生活者のための日本語コース
・日本語の試験対策のコース
・介護の日本語に特化したコース
・日本での就職を目指すコース
・日本文化を学ぶコース
・個人のニーズに合わせたプライベートレッスンコース

また、授業の時間は、進学コースの場合、平日の午前8時から午後6時までの間が一般的です。しかし、進学コース以外では、平日の日中に仕事をしている外国人が通いやすいように、週末・夜間コースなどを用意する学校も増えています。

通学が難しい場合は、オンラインでの授業に対応している学校もあります。

2-2. 日本語学校に入る方法

日本語学校に入る方法は、進学目的かそれ以外かによって異なります。

進学目的の場合は、在留資格認定証明書交付申請を行い、留学ビザを取得して来日し、日本語学校に入学します。在留資格認定証明書交付申請日本語教育機関が留学希望者に代わって手続きし、留学ビザの取得留学希望者本人が行うケースが一般的です。

また、進学の目的で日本語学校に入学する場合は、日本語能力試験(JLPT)N5相当以上日本語能力を有している必要があります。

一方、進学目的以外の場合は、日本に滞在可能な在留資格を既に取得している人向けのコースを備えた日本語学校に入学します。

具体的には、「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「家族滞在」、その他「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「高度専門職」などに代表される就労可能な在留資格を取得している人向けのコースです。 

その場合、特に入学の際に共通する在留資格に関する手続きや日本語能力の要件はなく、各日本語学校・コースで個別に要件が定められています。

よくある条件としては、以下が挙げられます。

・パスポートや在留カードなど、在留資格を証明する書類を提示すること
・ビジネス日本語コースの場合は一定の日本語能力を有していること(日本語能力試験(JLPT)N2以上など)

日本語学校の入学可能な時期は、進学目的の場合は、通常年2回原則として4月と10月です。

進学目的以外の場合は、各日本語学校やコースによって入学可能な時期が異なります。毎月入学できるところもあれば、入学できる時期が決められているところもあります。なお、プライベートレッスンの場合は、随時入学できるところが多く見られます。

2-3. 気になる!日本語学校の授業料

日本語学校の授業料は、それぞれの学校やコースによって異なります。

進学を目的としたコースでは、通常1年コースと2年コースがありますが、平均的な授業料は1年間60万〜90万円2年間130万〜150万円となっています。授業料以外にも、入学金教材費、施設費などがかかります。 

なお、留学生として日本語教育機関在籍できる期間は、通常最長2年間です。

進学以外を目的としたコースでは、コース内容や期間、クラスのスタイルなどが多様な分進学コースよりも授業料に幅があります。料金システムも1カ月単位回数制などさまざまなので、ホームページなどで個別に確認する必要があります。

クラスのスタイル別で見ると、既設コースグループレッスンに比べ、授業内容をオーダーするプライベートレッスンの方が授業料が高くなる傾向があります。また、日本語学校に通学する場合より、講師に出向いてもらう方が割高です。

クラスのスタイルの中で比較的授業料が安いのは、オンラインレッスンです。中でも、マンツーマンではなくグループレッスンだとさらに授業料を抑えられます。

ただし、オンラインレッスンは受講人数が多いと授業が進行しにくいため、通学のコースに比べて1回の授業での受講人数の上限が少なく設定されている傾向があります。

企業に複数人の外国人従業員がいる場合、日本語学校の講師を自社に派遣してもらい授業を行うという方法もあります。その場合、オーダーメイドでその企業に必要な日本語の授業を行ってもらうことが多く、費用は個別に見積もりを取るのが一般的です。

このような場合は、いくつかの日本語学校に見積もりを依頼し、比較することをおすすめします。

3. 外国人を雇用している企業向け、日本語学校の選び方

企業が、在籍している外国人従業員の日本語支援のために日本語学校を選ぶ際のポイントを解説します。ポイントは以下の5つです。

・コースの内容
・自社に合わせてレッスンプランを作成してくれるか
・受講スタイル
・日本語学校のスタッフが外国人従業員の母語を話せるか
・適正校であるか 

1つずつ解説します。

・コースの内容

ビジネスパーソン向けのコースと一口に言っても、どのような場面で使うどのような日本語能力を向上させる授業が行われるかはさまざまです。

例えば、授業内容がオフィスワーク向けだと、企業内での電話やメール対応の仕方、会議、打ち合わせ、取引相手との会話などが組み込まれています。このような授業に普段現場での業務に従事している人が通っても、学ぶ日本語と実際に使う日本語が合っていないことになります。

つまり、せっかく日本語学校に通っているのに、実際に使うことのない日本語を学ぶことになるのです。

日本語学校を選ぶときは、学校の担当者に普段外国人従業員が従事している業務内容説明し、どのコースが合っているか相談するとよいでしょう。

・自社に合わせてレッスンプランを作成してくれるか

既設のコースで自社の外国人従業員に合いそうなコースがない場合、オーダーメイドで自社に合わせたレッスンプランを作成してくれるかどうかも確認しましょう。

マンツーマンのプライベートレッスンであれば、多くの場合オーダーメイドでレッスンプランを作成してくれます。また、日本語学校によっては、企業内で日本語研修を行う場合にも個別にレッスンプランを作成してくれるところがあります。

既設のコースでは、自社にぴったり合ったものを探すのは難しいので、個別対応してくれるところを探してみましょう。

・受講スタイル

日本語学校は通学する受講スタイルが一般的でしたが、現在は講師派遣オンラインなど受講スタイルを選べる日本語学校も増えています。公共交通機関での移動が難しい地方都市に住んでいる場合や、企業内で日本語研修を行いたい場合は、さまざまな受講スタイルに対応している日本語学校がおすすめです。

・日本語学校のスタッフが外国人従業員の母語を話せるか

一般的に日本の日本語学校では、日本語で授業が行われます。しかし、日本語学校によっては外国語が話せるスタッフ複数在籍しているところもあります。

外国人従業員と日本語でのコミュニケーションが難しいと感じている場合、外国人従業員の母語が話せるスタッフがいる日本語学校を探すとよいでしょう。

・適正校であるか 

1章で解説した適正校であるかどうかも確認しましょう。適正校であると、きちんと管理運営されていることになるので、雰囲気が落ち着いていて授業を受けやすい日本語学校である可能性が高まります。

このようなポイントを踏まえて日本語学校を探してみましょう。探すときは、Googleなどの検索サイトで「○○(地名) 日本語学校 ビジネス」や「日本語学校 プライベートレッスン オンライン」など自社の外国人従業員に合いそうなキーワードを入力して検索する方法があります。

また、こちらのホームページでも日本語学校を検索することができます。

参考)
一般財団法人日本語教育振興協会|日本語学校の検索はこちら
https://www.nisshinkyo.org/search/

外国人従業員の日本語支援として日本語学校に通うことをすすめたり、自社で日本語研修を行ったりするときは、外国人従業員の在留資格に注意しましょう。外国人従業員がどのような在留資格を持っているかによって、行うことができる日本語支援の内容が異なります。

詳しくはこちらの記事をご参照ください。

4. 日本語学校と地域の日本語教室の違い

日本語学校とよく混同される日本語教育機関として、地方公共団体や国際交流協会、任意団体などが運営する日本語教室(日本語講座)があります。ここでは日本語学校と日本語教室(日本語講座)の違いを詳しく解説します。

4-1. 日本語教室とは?日本語学校との違いを解説!

日本語学校と日本語教室(日本語講座)の主な特徴を、下表にまとめました。

表)日本語学校と日本語教室(日本語講座)の違い

 日本語学校日本語教室(日本語講座)
在留資格「留学」付与される(法務省告示校に限る)付与されない
学習者主に留学生主に生活者
教室日本語学校の教室公共施設などの一室
授業料有料無料・教材費のみ
授業の内容主に進学・ビジネスのための日本語や試験対策など主に生活する上で必要な日本語など
日本語講師一定以上の学歴や日本語教育能力検定試験合格など、法務省が示した要件を満たした者(法務省告示校に限る)地域のボランティアなど、特に資格が不要な場合も多い

日本語学校主に進学向けの日本語教育機関となっており、入学先が法務省告示校であれば留学在留資格が付与されます。

日本語学校には決まった校舎があり、一般的に授業はその校舎で行われます。例外的に、プライベートレッスンや企業内日本語講座では、校舎の外で授業が行われる場合もあります。授業料有料です。

また、授業を行う日本語講師は、法務省告示校の場合、一定以上の学歴があったり、日本語教育能力検定試験に合格していたりするなど、法務省が示した要件を満たす必要があります法務省告示校以外の場合は、日本語学校ごとに学歴や経験などの要件が設定されています。

授業内容は進学やビジネス、試験対策など多岐にわたりますが、プロの日本語講師によって目標に向かって日本語能力が着実に向上するように授業が進行されます。

一方、日本語教室(日本語講座)は、教室に通っても在留資格が付与されることはありません。特定の人を対象としたものではなく、日本で生活している外国人の就業者とその家族や日本人の配偶者など多様な学習者が集まります。

授業は、多くの場合、それぞれの地域にある国際交流センターや公民館などの公的な施設を利用して、週に1回2時間程度行われます。授業料は無料あるいは教材の実費程度です。

日本語教室(日本語講座)は市民ボランティアによって運営されているところが多く、特に資格がなくても講師になることができます。お祭りやイベントが開催されることもあり、単に日本語を学ぶ場としてだけではなく、外国人と日本人の異文化交流の場となっていることもあります。

日本語を体系的にしっかり学びたい、試験対策がしたいなど目的がはっきりしている場合日本語能力の向上を特に希望している場合日本語学校がおすすめです。

日本語でコミュニケーションをする機会を増やしたい、地域の日本人と交流したい、仲間を増やしたいという場合は、日本語教室(日本語講座)がよいでしょう。

4-2. 日本で働く外国人はどこで日本語を勉強している?

日本で就労している外国人は日本語学校と日本語教室(日本語講座)、どちらに通っている人が多いのでしょうか。

技能実習生とビジネスパーソンの機関別日本語学習者数を見てみましょう。

表)技能実習生とビジネスパーソンの機関別日本語学習者数

引用)
文化庁国語課「日本語教育関係 参考データ集」,2022年9月,p11を基にライトワークス で作成,https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/nihongo/nihongo_114/pdf/93769701_07.pdf(閲覧日:2023年7月27日)

この表から、日本で就労している外国人は、日本語教室(日本語講座)で学習している人が多いことが分かります。その理由としては、授業料が安価であることや、参加が比較的自由なことが考えられるでしょう。

しかし、しっかり日本語を勉強したい、日本語の試験対策がしたい、ビジネス日本語を学びたいと思っている場合、日本語教室(日本語講座)では対応していない場合が多いので、期待していたような授業が受けられない可能性があります。

日本語を学習するために日本語学校と日本語教室(日本語講座)のどちらに通うかは、外国人従業員や企業が期待することどちらで実現可能かということをよく考えて決めましょう。

5. まとめ

日本語学校とは、日本語を母語としない人を対象として、第二言語として日本語教育を実施する機関です。日本国内では、法務省より告示を受けた日本語教育機関のことを特に指し、入学者には留学在留資格が付与されます。

文化庁が公表した2021年度の日本語教育実態調査報告書によると、法務省告示機関の日本語学校は全国に661校あり、それらで学ぶ日本語学習者は3万3,761です。

法務省告示機関の日本語学校に入学する日本語学習者は、日本の大学などへの進学を目的とした人が7割強を占めていますが、日本語学校によっては、日本で就労している外国人対象にしたコースが開設されているところもあります。

日本語教育機関は、法務省告示機関の他にも以下のような機関・団体が運営しているものがあります。

・大学などの機関
・地方公共団体、教育委員会
・国際交流協会
・任意団体など

日本語教育機関数は全体で2,541ありますが、このうち法務省告示機関の日本語学校が661と最も多くなっています。

法務省告示機関の日本語学校の中には、出入国在留管理庁適正校と認められている学校があります。適正校は、出入国在留管理庁において、毎年選定され、2021年8月の時点では、告示校の約8割(650校程度)が選定を受けています。

近年、さまざまな理由で日本に在留する外国人が増え、日本語を学ぶニーズも多様化しています。それに伴い、進学コース以外の以下のようなコースを開設している日本語学校も増えています。

・ビジネス日本語コース
・日常会話を中心とした生活者のための日本語コース
・日本語の試験対策のコース
・介護の日本語に特化したコース
・日本での就職を目指すコース
・日本文化を学ぶコース
・個人のニーズに合わせたプライベートレッスンコース

授業の時間は、進学コースの場合、平日の午前8時から午後6時までの間が一般的です。しかし、進学コース以外では、平日の日中に仕事をしている学習者が通いやすいように、週末・夜間コースなどを用意する学校も増えています。通学が難しい場合は、オンラインでの授業に対応している学校もあります。

日本語学校に入る方法は、進学目的かそれ以外かによって異なります。

進学目的の場合は、在留資格認定証明書交付申請を行い、留学ビザを取得して来日し、日本語学校に入学します。進学目的で日本語学校に入学するには、日本語能力試験(JLPT)N5相当以上日本語能力を有してことが必要です。

一方、進学目的以外の場合は、日本に滞在可能な在留資格を既に取得している人向けのコースを備えた日本語学校に入学します。特に、入学の際に共通する在留資格に関する手続きや日本語能力に対する要件はありません。各日本語学校・コースで個別に要件が定められています。

日本語学校の入学可能な時期は、進学目的の場合は、通常年2回原則として4月と10月です。進学目的以外の場合は、各日本語学校やコースによって入学可能な時期が異なります。プライベートレッスンの場合は、随時入学できるところが多く見られます。

日本語学校の授業料は、学校やコースによって異なります。進学コースの平均的な授業料は、1年間で60万〜90万円2年間で130万〜150万円となっており、授業料以外にも、入学金や教材費、施設費などがかかります。 

進学以外を目的としたコースでは、コース内容や期間、クラスのスタイルなどが多様な分、進学コースよりも授業料に幅があります。料金システムも1カ月単位、回数制などさまざまです。

企業に日本語学校の講師を派遣してもらい授業を行う場合、授業料は個別に見積もりを取るのが一般的です。

外国人を雇用している企業が、外国人従業員の日本語支援のために日本語学校を選ぶ際ポイントは以下の5つです。

・コースの内容
・自社に合わせてレッスンプランを作成してくれるか
・受講スタイル
・日本語学校のスタッフが外国人従業員の母語を話せるか
・適正校であるか 

ポイントを押さえて、自社の外国人従業員に合う日本語学校を探しましょう。

日本語学校と地方公共団体や国際交流協会、任意団体などが運営する日本語教室(日本語講座)はよく混同されます。両者の違いは下表の通りです。

表)日本語学校と日本語教室(日本語講座)の違い

 日本語学校日本語教室(日本語講座)
在留資格「留学」付与される(法務省告示校に限る)付与されない
学習者主に留学生主に生活者
教室日本語学校の教室公共施設などの一室
授業料有料無料・教材費のみ
授業の内容主に進学・ビジネスのための日本語や試験対策など主に生活する上で必要な 日本語など
日本語講師一定以上の学歴や日本語教育能力検定試験合格など、法務省が示した要件を満たした者(法務省告示校に限る)地域のボランティアなど、 特に資格が不要のところも多い

日本語を体系的にしっかり学びたい、試験対策がしたいなど目的がはっきりしており、日本語力の向上を強く希望する場合は日本語学校で学ぶことがおすすめです。

日本語でコミュニケーションをする機会を増やしたい地域の日本人と交流したい、仲間を増やしたいという場合は、日本語教室(日本語講座)がよいでしょう。

このように、日本語教育機関はたくさんあり、日本語学校にもそれぞれ特徴があります。自社の外国人従業員に適した教育機関を見つけるためには、まず外国人従業員のニーズなどを明確にしましょう。

外国人雇用のガイドブック_まなびJAPAN

[1] 文化庁国語課「令和3年度 日本語教育実態調査報告書 国内の日本語教育の概要」,2021年11月1日,p5,https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/nihongokyoiku_jittai/r03/pdf/93791201_01.pdf(閲覧日:2023年7月27日)
[2] 文化庁「日本語教育関係 参考データ集」,2022年9月,p31,https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/nihongo/nihongo_114/pdf/93769701_07.pdf(閲覧日:2023年7月27日)

参考)
出入国在留管理庁「日本語教育機関の告示基準」,https://www.moj.go.jp/isa/content/930005392.pdf(閲覧日:2023年7月27日)
文化庁国語課「日本語教育関係 参考データ集」,2022年9月,https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/nihongo/nihongo_114/pdf/93769701_07.pdf(閲覧日:2023年7月27日)
文部科学省「留学生別科について」,https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1370888.htm(閲覧日:2023年7月27日)
出入国在留管理庁「教育機関の選定について」,https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00024.html(閲覧日:2023年7月27日)
公益財団法人大阪国際交流センター「事業内容」,https://www.ih-osaka.or.jp/projects/(閲覧日:2023年7月27日)
文化庁「特集「地域における日本語教育の展望-日本語教育の総合的推進を目指して」」,https://www.bunka.go.jp/pr/publish/bunkachou_geppou/2011_08/special/special_02.html(閲覧日:2023年7月27日)

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