外国人労働者の賃金 現状と課題、日本人との違いなどを丁寧に解説!

「外国人労働者は賃金が安く済む」

頭のどこかにこんな考えはないでしょうか。もし「YES」の方は、その理由を考えてみてください。

・なぜ、
・外国人労働者だと、
・賃金が安く済むのか?

年々採用が難しくなってきたので、外国人材の受け入れを検討しているという企業は多いかと思います。コンビニや建設現場、取引先企業などで、外国人労働者の方を目にすることは、私たちの日常の一部となりました。

人口減少が止まらない日本の経済や労働市場で、外国人労働者の力は必要不可欠です。

しかし、「外国人労働者の賃金は低めで良い」「技能実習制度は人手不足の補完」といった誤った認識が定着してしまっているせいで、外国人労働者にとって不利益な状況が続いていると言えます。

外国人材の受け入れを検討する際、彼・彼女らを取り巻く環境を理解し、働きやすい環境を整えることは非常に重要です。なぜなら、彼らが日本で働き続けてくれることは、自社と外国人材にとって有益なだけでなく、日本の将来を明るくする一助となっていくからです。

1. 外国人労働者は賃金が安く済む?その実態は

結論から言ってしまうと、外国人労働者にも日本の法律が適用され、最低賃金も日本人同様です。よって、外国人労働者は賃金が安く済むというのは誤った認識です。

しかし、世間的に「外国人労働者は日本人より賃金が安く済む」というイメージがあります。実態はどうなのでしょうか。

1-1. 事実、外国人労働者の賃金は日本人より低い

厚生労働省が発表した「令和2年賃金構造基本統計調査」[1]によると、外国人労働者の賃金は月額218,100円(平均年齢33.3歳)です。日本人の賃金は月額274,400円(年齢階級30~34歳)なので、事実、外国人労働者の賃金は日本人より低いのです。

なぜ約6万円もの開きがあるのでしょうか。それは、次項でご紹介する在留資格が大きく関係しています。

外国人労働者の賃金を在留資格区分別に見ると、最も賃金が高い区分が「専門的・技術的分野(特定技能を除く)」で月額302,200円、最も低い区分が「技能実習」の月額161,700円と、同じ外国人労働者の月額賃金でも14万円以上の開きがあることがわかります。

表)在留資格区分別平均賃金

参考)厚生労働省,「令和2年賃金構造基本統計調査」,2021年3月31日発表,第8表 外国人労働者の在留資格区分別賃金を基にライトワークスで表を作成,https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html(閲覧日:2022年1月5日)

専門的・技術的分野(特定技能を除く)」の月額302,200円はハイスキル人材が多いこともあり、同年代の日本人労働者よりも高くなっています。

外国人労働者の賃金を引き下げているのは、在留資格「技能実習」が関係していると言えそうです。

1-2. 外国人労働者の在留資格で賃金に差がある理由は?

厚労省が発表した「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)」によると[2]、令和2年10月末時点の日本で働く外国人労働者は約172万人です。

図1)在留資格別外国人労働者の割合

参考)厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)」,2021年1月29日発表,p5の「2、外国人労働者の属性」を基にライトワークスにて図を作成,https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16279.html(閲覧日:2022年1月5日)

在留資格とは、外国籍の方が日本に滞在し、活動するための資格で、2022年1月現在29種類が存在します。

日本で就労している外国人労働者の在留資格の割合は、活動制限のない「身分や地位に基づく在留資格」が全体の31.7%と最多で、次いで活動制限があり就労が認められる在留資格である「技能実習」23.3%、「資格外活動」21.5%、「専門的・技術的分野の在留資格」20.8%です。

在留資格の内容と、平均賃金をご紹介していきます。

1-2-1. 「身分や地位に基づく在留資格」

身分や地位に基づく在留資格」は、「永住者」や「日本人の配偶者等」となり、原則として日本人同様にどんな職種にも就くことが可能です。

その平均賃金は、以下の通りです。

月額257,000円(44.4歳)

平均賃金だけを見ると日本人の月額274,400円とあまり大差はないように見えますが、平均年齢が44.4歳ということに注目です。日本人の同年代は月額329,800円となるため、賃金は約55,000円の差があります。

前述の「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)」によると、身分に基づく在留資格を持つ外国人労働者54万6,469人のうち、製造業が16万1,092人(29.5%)、サービス業(他に分類されないもの)が12万8,148人(23.5%)と、2業種に集中して就労しています。

この2業種は、外国人労働者の場合は単純労働を任されることが多く、技術の習得や昇給の機会に恵まれにくいため、結果として低賃金へとつながっていることが推定されます。

次に、就労が認められる在留資格の平均賃金をご紹介していきます。

「就労が認められる在留資格」は、「身分や地位に基づく在留資格」とは異なり、認められた資格に準じた職業に就かなければなりません。

1-2-2. 技能実習生

技能実習」は、外国人技能実習制度を利用して来日する技能実習生に与えられる在留資格です。日本の建設業や農業などの技術や技能、知識を開発途上地域などへ移転することなどを目的としています。

その平均賃金は以下の通りです。

月額161,700円(27.1歳)

これは、在留資格区分別でみると最低水準の額です。

企業が技能実習生を受け入れる方法には、事業協同組合や商工会などの営利を目的としない「監理団体」を介する「団体監理型」と、自力で海外の現地法人や取引先企業の職員を受け入れる「企業単独型」があります。

技能実習生等の受け入れ促進を図る国際人材協力機構(JITCO)によると、技能実習生を受け入れている企業のうち、団体監理型の受け入れが97.2%(技能実習での在留者数ベース)、企業単独型の受け入れが2.8%(2018年末時点)です[3]

この在留資格の平均賃金が低い理由は、監理団体や海外の送出機関の中に、最低賃金を原則としている団体が見受けられることや、受け入れ後、原則として企業の変更はできないことから、対等な労使関係を構築することが難しいということが挙げられます。

「技能実習制度」は問題点が多いとして、国内外から指摘を受けています。日本では、受け入れ企業を変更できないことは「職業選択の自由」を認めていないとして、関東弁護士会連合会が外国人技能実習制度の撤廃を求める声明を出しています[4]

アメリカ国務省からも、「技能実習制度」は人身売買だとして長年指摘されています[5]

実習生などからも不満や不安の声が上がっています。厚生労働省は、実習生などから相談や通報を受け、労働基準監督署による立ち入り調査を行った事業所の7割で労働基準法などの違反が確認されたと発表しました[6]

この状況を鑑みて、技能実習の適切な実施と、外国人労働者を保護するために技能実習制度の見直しが進んでいます[7]

1-2-3. 資格外活動

資格外活動」は、在留資格の名前ではありません。保有している在留資格とは異なる活動で、収入を伴う事業の運営や報酬を受けようとする場合に必要な許可のことです。主に「留学」の在留資格を持つ学生のアルバイトなどに適用されます。原則として、1週間に28時間以内の活動制限がありますが、個別許可を受けた場合はこの限りではありません。

その平均賃金については、データがありません。

当在留資格はアルバイトや副業としての活用がメインとなるため、前項の外国人労働者の賃金計算からは除外されています。

1-2-4. 専門的・技術的分野の在留資格

専門的・技術的分野」も、在留資格の名前ではありません。「教授」「医師」「教育」などの専門的な資格を要する在留資格から、一般的な職種での労働を包括的に可能とする在留資格「技術・人文知識・国際業務」まで、幅広く当てはまります。

その平均賃金は、以下の通りです。

月額302,200円(31.8歳)

特に一般企業では、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持った外国人材を「IT
エンジニア」「デザイナー」「企画」などの職種で採用することが多くなっています。

「技術・人文知識・国際業務」を取得するには、大学や短期大学、専門学校を卒業するか、一定年数の実務経験を積んでいる必要があります。高スキル人材として採用されるため、賃金も高くなります。

このように、同じ外国人労働者でも、在留資格ごとに取得の難易度が異なることや、在留資格によっては対等な労使関係を構築しにくいことが、外国人労働者内での賃金格差につながっているようです。

[1] 厚生労働省,「令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況」,https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2020/index.html(閲覧日:2022年1月5日)
[2] 厚生労働省,『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)』,https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16279.html(閲覧日:2022年1月5日)
[3] JITCO「外国人技能実習制度とは」,https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/(閲覧日:2022年1月5日)
[4] 関東弁護士会連合会『外国人技能実習制度の撤廃を求める理事長声明』,http://www.kanto-ba.org/declaration/detail/h29a02.html(閲覧日:2022年1月5日)
[5] 株式会社ハンディネットワーク インターナショナル,『「技能実習制度」は人身売買! アメリカ国務省からの指摘』, https://www.hni.co.jp/1289/(閲覧日2022年1月5日)
[6] NHKニュース,『外国人実習生が働く事業所を立ち入り調査 70%で違反を確認』, 2021年9月12日,https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210912/k10013255351000.html(閲覧日:2022年1月5日)
[7] 法務省・厚生労働省,『外国人技能実習制度について』,2021年10月28日, https://www.mhlw.go.jp/content/000752687.pdf(閲覧日:2022年1月5日)

2. 外国人労働者から見た日本の賃金

そもそも、さまざまな在留資格で入国している外国人労働者は、なぜ世界各国の中から日本を選んだのでしょうか。

ここからは、外国人労働者が日本に来る理由や、実際に日本で働いている外国人労働者の意見をご紹介します。

2-1. 外国人労働者が日本を選ぶ理由

日本を選ぶ理由はそれぞれですが、大別すると以下の3つが多いようです。

(1) 母国よりも高い給与

前述の「『外国人雇用状況」の届出状況まとめ」によると、外国人労働者の国別割合は、上位からベトナム25.7%(月間平均所得約7,000円[8])、中国(香港等を含む)24.3%(平均月収約140,000円(都市部平均年収約168万円[9]を12分割))、フィリピン(平均月収約35,820円[10])10.7%と、日本よりも平均賃金が低いアジア諸国がほとんどです。

図2)国籍別外国人労働者の割合

参考)厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)」,2021年1月29日発表,p5の「2、外国人労働者の属性」を基にライトワークスにて図を作成,https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16279.html(閲覧日:2022年1月5日)

日本で稼いだお金を母国の家族に仕送りし、家族を養っている外国人労働者も多いようです。

(2) キャリアアップのため

外資系企業の日本支社への就職や、日系企業での経験をキャリアアップとしてとらえ、自身の市場価値を高めていくことを目的としている人も多くなっています。

特にアメリカでは身に付けたスキルを生かしてよりよい待遇を求めた転職が一般的で、アメリカ労働省の調査によると、60代前後のアメリカ人は、過去に平均12.4の職を経験しているといいます[11]

また、技能実習生は日本で身に付けた技術や知識を母国に持ち帰ることが目的の一つのため、キャリアアップのためと言えるでしょう。

(3) 安定した雇用制度と充実の福利厚生

日本では労働基準法・労働契約法などにより、事業主の都合だけで従業員を一方的に解雇することはできません。もちろん、外国人労働者にも日本の法律が適用されるため、安定した雇用を維持できると期待し日本へ働きにくる場合があります。

また、国民皆保険制度や会社独自の福利厚生が充実していることも魅力となるようです。

他にも、日本文化そのものへの興味や、安定した治安なども選ばれる理由になります。

2-2. 外国人労働者は日本の賃金に満足している?

外国人労働者が日本を選ぶ理由の一つに「母国よりも高い給与」が挙げられますが、実際に日本で働いている外国人労働者は、賃金に満足しているのでしょうか。

外国人留学生や転職を考える外国人材のマッチングサービスを運営する企業の「日本で働く外国人社員の就労環境と転職に関するアンケート調査」によると、日本で働いてみて不満に思ったこと、がっかりしたことの1位に「給与水準が高くない」が挙がっています[12]

また、人材サービスを提供するパーソル総合研究所による「日本で働く外国人材の就業実態・意識調査」でも、「外国人材が抱える職場の不満」の2位に「給料が上がらない」3位に「給料が安い」と、賃金に関する不満が上がっています[13]

外国人労働者は、日本の賃金に少なからず不満を持っていると言えそうです。なぜ、アジア諸国の中では高い給与水準にも関わらず、「賃金が安い」という不満が出てくるのでしょうか。

2-3. 外国人労働者向けの明確な賃金テーブルを

日本では、新卒で総合職として採用し、一定期間ごとに社内異動をさせゼネラリストとして育成する「メンバーシップ型雇用」が主流です。

海外では、定義された仕事に見合う人材を採用し、特定の仕事のスペシャリストを目指す「ジョブ型雇用」が一般的です。日本に来る外国人材は、在留資格によって従事できる業務が定まっているため、より「ジョブ型雇用」に特化していると言えます。

ジョブ型雇用の外国人材に、日本企業特有の勤続年数や経験職種に沿って昇給を行う賃金テーブルはマッチせず、結果的に「給料が上がらない」「給料が安い」という不満の原因の一つとなると考えられます。

外国人労働者の受け入れを検討する際、外国人労働者向けの職務内容やキャリアプラン、職務や役割に応じた賃金テーブルを設計し、本人に職務のグレードと賃金を明確に提示し、本人が納得の上で職務に当たれるようにすれば、不満が上がりにくくなるでしょう。

2-4. 賃金が上がらない日本は外国人材にとって魅力がなくなる?

現時点では日本で働く外国人労働者は増えていますが、世界的に見ると、外国人材にとって日本の「給与が高い」という魅力は薄れつつあります。

OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で日本の平均賃金(約446万円/年)はアメリカ(約805万円/年)の半分超しかなく、下から数えた方が早いことが大きな話題となっています[14]

お隣韓国(約486万円/年)よりも低く、G7の中ではイタリア(約438万円/年)と最下位を争っており、G7の中で20年間賃金が上がっていないのは日本と最低賃金制度の存在しないイタリアだけで、格差は開いていく一方です。※1ドル=116円換算

図3)OECD発表「平均賃金 (Average wage)」

参考)OECD,『平均賃金 (Average wage)』Average wages Total, US dollars, 2020 or latest availableを基にライトワークスにて図を作成,https://www.oecd.org/tokyo/statistics/average-wages-japanese-version.htm(閲覧日:2022年1月5日)

2021月8月15日の日本経済新聞に、「外国人材に日本がフラれる日 途上国GDP7000ドル転機[15]」という記事が掲載されました。10年後には、外国人労働者が日本に求めていた「賃金の高さ」や「キャリアアップ」などを中国に求めるようになり、日本離れが進むのではという内容です。

「失われた30年」と呼ばれるこの30年間で、外国人労働者から見ても賃金に魅力を感じにくい国になってしまいつつあるのです。

外国人材に日本を選び続けてもらうためには、採用を行う企業の外国人材に対する理解と準備が必要です。外国人材の働きやすい環境を整え、活躍を支援することが、優良な人材の確保と業績の向上につながっていくでしょう。

[8] JETRO,『2020年版ベトナム家計生活水準調査結果の速報を公表』,2021年6月8日,https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/06/a8fdd777d36d258a.html(閲覧日:2022年1月5日)
[9] 人民網日本語版,『2020年中国都市部の平均賃金が発表 トップ3はどの業界か』,http://j.people.com.cn/n3/2021/0520/c94476-9852161.html (閲覧日:2022年1月5日)
[10] ILOSTAT. Mean nominal monthly earnings of employees by sex and occupation | Annual. https://www.ilo.org/shinyapps/bulkexplorer37/?lang=en&segment=indicator&id=EAR_4MTH_SEX_OCU_CUR_NB_A(閲覧日:2022年1月13日)
[11] u.s.bureau of labor statistics,『NUMBER OF JOBS, LABOR MARKET EXPERIENCE, MARITAL STATUS, AND HEALTH:RESULTS FROM A NATIONAL LONGITUDINAL SURVEY』,https://www.bls.gov/news.release/pdf/nlsoy.pdf(閲覧日:2022年1月5日)
[12] PR TIMES,株式会社オリジネーター,『【日本で働く外国人社員アンケート】日本の「雇用の安定」を評価(約50%)する一方で、「役割の曖昧さ」「人事評価の基準」には不満(各約30%)も!』,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000045936.html (閲覧日:2022年1月5日)
[13] パーソル総合研究所,『日本で働く外国人材の就業実態・意識調査』,https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/research/activity/data/foreigners-working-in-japan.html (閲覧日:2022年1月5日)
[14] OECD,『平均賃金 (Average wage)』,https://www.oecd.org/tokyo/statistics/average-wages-japanese-version.htm (閲覧日:2022年1月5日)
[15] 日本経済新聞,『外国人材に日本がフラれる日 途上国GDP7000ドル転機』,2021年8月15日,https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE024960S1A800C2000000/ (閲覧日:2022年1月5日)

3. まとめ

本稿では、外国人労働者を取り巻く賃金の現状と課題を解説しました。

外国人労働者にも日本の法律が適用されるため、最低賃金も日本人同様です。

しかし、世間一般の「外国人労働者は日本人より賃金が安く済む」というイメージ通り、外国人労働者の平均賃金は月額218,100円と、日本人の平均月額274,400円より約6万円安くなっています。

在留資格区分別に見ると、「専門的・技術的分野(特定技能を除く)」の月額302,200円に対し、「技能実習」は月額161,700円と、同じ外国人労働者の月額賃金でも14万円以上の開きがあり、外国人労働者の中にも格差が存在しています。

日本で就労している外国人労働者の在留資格の割合は、活動制限のない「身分や地位に基づく在留資格」が全体の31.7%と最多で、次いで活動制限があり就労が認められる在留資格である「技能実習」23.3%、「資格外活動」21.5%、「専門的・技術的分野の在留資格」20.8%です。

在留資格区分別の平均賃金を就労割合上位からご紹介します。

・身分や地位に基づく在留資格 平均賃金:月額257,000円
該当者→永住者、日本人の配偶者等、定住者
この在留資格を持つ外国人は、どのような業種の仕事でも行うことができます。

・技能実習 平均賃金:月額161,700円※在留資格区分別最低
該当者→外国人技能実習制度を利用して来日する技能実習生
低賃金の原因は、主に2つ推定されます。1つ目は、技能実習生を受け入れる際の「監理団体」や海外の送出機関の中に最低賃金を原則としている団体が見受けられることです。
2つ目は、原則として受け入れ企業の変更ができないことから、対等な労使関係を構築することが難しいことです。

・資格外活動 平均賃金:データ無し
該当者→主に「留学」の在留資格を持つ学生のアルバイトなど
原則として、1週間に28時間以内の活動制限があります。

・専門的・技術的分野の在留資格 平均賃金:月額302,200円
該当者→「教授」「医師」「教育」など、専門的な資格を要するものから、一般的な職種での労働を包括的に可能とする「技術・人文知識・国際業務」まで幅広い
国家資格、大学や短期大学、専門学校などの学歴条件、一定年数の実務経験など、在留資格によって条件が異なりますが、いずれもいわゆるハイスキル人材となるため、賃金も高くなります。

同じ外国人労働者でも、在留資格ごとに取得の難易度が異なることや、在留資格によっては対等な労使関係を構築しにくいことが、外国人労働者内での賃金格差につながっているようです。

外国人労働者が日本を選ぶ理由は、以下の3つが多いようです。

・母国よりも高い給与
・キャリアアップのため
・安定した雇用制度と充実の福利厚生

外国人労働者が日本を選ぶ理由の一つに「母国よりも高い給与」が挙げられます。しかし、実際に日本で働いている外国人労働者の意見として「給与水準が高くない」「給料が上がらない」と、賃金に対する不満が上位に挙がっています。

このような不満が上がる原因の一つとして、「ジョブ型雇用」を前提としている外国人材に対し、日本の「メンバーシップ型雇用」を元に作られた賃金テーブルをそのまま適用していることが考えられます。

外国人労働者の受け入れを検討する際、外国人労働者向けの職務内容やキャリアプラン、職務や役割に応じた賃金テーブルを設計し、本人に職務のグレードと賃金を明確に提示します。本人が納得の上で職務に当たれるようにすれば、不満が上がりにくくなるでしょう。

また、現時点では日本で働く外国人労働者は増えていますが、世界的に見ると、外国人労働者にとって日本の「給与が高い」という魅力は薄れつつあります。

OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で日本の平均賃金(約446万円/年)はアメリカ(約805万円/年)の半分超しかなく、G7の中ではイタリア(約438万円/年)と最下位を争っています。

「失われた30年」と呼ばれるこの30年間で、外国人労働者から見ても賃金に魅力を感じにくい国になってしまいつつあるのです。

外国人材に日本を選び続けてもらうためには、採用を行う企業の外国人材に対する理解と準備が必要です。外国人材の働きやすい環境を整え、活躍を支援することが、優良な人材の確保と業績の向上につながっていくでしょう。

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