ダイバーシティ&インクルージョン推進のベンチマークに!企業事例14選

「ダイバーシティ&インクルージョン推進、わが社は何から始めるのが良いだろう?」

ダイバーシティ&インクルージョンが注目されるようになり、その取り組み内容を積極的に発信する企業が増えてきました。これからダイバーシティ&インクルージョン推進をスタートする、または今まさに取り組み途上の企業にとっては、こうした先進企業の事例は一つの活動の道標となるでしょう。

しかし、こうした先行事例が全て、自社にも当てはまるとも限りません。そもそも多様な人材の採用から苦戦している企業もあれば、人は色々いるけれども、いまいちその力は生かしきれていない、という企業もあるかもしれません。

そこで参考になるのが、同業他社の事例です。もちろん、同じ業界と言えども、従業員数や職場環境、経営課題等は企業によってさまざまです。一方で、同じ業界だからこそ共通する課題や悩みもあります。

本稿では、業界別のダイバーシティ推進の企業事例をご紹介します。同じ業界ならではの課題を抱えつつも、試行錯誤しながらダイバーシティ&インクルージョンに取り組み、成果をあげている企業の情報は、自社の取り組みのヒントとなるだけでなく、今後の推進活動の励みになるかもしれません。

ぜひ、参考にしてみてください。

1. ダイバーシティ&インクルージョンとは

ダイバーシティ(diversity)は、英語で「多様性」を意味します。インクルージョン(inclusion)は、「包括」です。ダイバーシティ&インクルージョンは、もともとあった「ダイバーシティ」という考え方に、あとから「インクルージョン」という言葉がついて成立した概念です。

ダイバーシティ&インクルージョンが意味するところは、バラバラにある多様性を包括して一つにまとめること、です。より具体的には、従業員一人一人が個の違いを認め、尊重し、個性や才能を生かし合いながら協働している状態、また、そうした状態となるために行う組織の取り組み全般を指します[1]

[1] 株式会社ライトワークス「ダイバーシティ&インクルージョンとは 考え方・進め方を徹底解説!」,『Lightworks BLOG』https://research.lightworks.co.jp/diversity-and-inclusion(閲覧日:2022年1月28日)

2. 業界別ダイバーシティ&インクルージョン推進の企業事例

では、それぞれの業界では、何が課題で、どのような取り組みを行っているのでしょうか。本章では、経済産業省の「新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」より、以下10業界14企業の課題と主な取り組み、そしてその後の成果について、具体的にご紹介します。

(1) 建設業:株式会社熊谷組 ―男性社会に風穴を開けた、トップ主導の働き方改革

まずは建設業界です。男性社会や長時間労働、職人の高齢化等を背景に、ダイバーシティ&インクルージョン推進に取り組む2社をご紹介します。

基本情報

・事業概要:建設工事の調査、測量、企画、設計、施工、監理、 技術指導その他総合的エ
ンジニアリング、マネジメントおよびコンサルティングならびに請負
・従業員数[2]:2893(2203)、内、女性488(385)、外国人29(29)、チャレンジド[3]36(24)、高齢者193(0)

課題・背景

・人口減少や少子化に加え、業界特有の「男性社会」、「長時間労働」などを敬遠し建設業界を志望する学生が減少
・利益向上を課題としながらも、海外事業をけん引する高度な技術を持った人材や、従来の受注生産型の受け身のスタイルを脱し、木造超高層建築の実現など新たな取り組みにも積極的にチャレンジできる人材が少ない
・人材不足の解消や新しい価値創出のためにも、女性をはじめ多様な価値観を持つ社員が継続就労でき、意欲的に仕事に取り組める就業環境の整備が急務。

注目の取り組み

<働き方改革>
・2018年に経営トップを委員長とする働き方改革推進委員会と、働き方改革推進室(担当部署)を設置。生産性向上・業務の効率化を図るため「現場支援推進」「施工管理・安全書類の効率化」「電子商取引の推進」「ペーパーレス推進」の4点について、タスクチームを編成し、各部署・現場の日常業務として推進・展開。
・仕事と家庭の両立支援にむけ、短時間勤務の取得期間を延長し、ジョブリターン制度(再雇用制度)を導入。また、男性の育休取得推進のため、子が生まれた男性社員とその上司にも育児休業・休暇制度を案内。さらに、社長自らも「誰もが働きやすい環境をつくるためには、男性も主体的に家事や育児を行って欲しい、働き方も見直して欲しい」というメッセージを発信。

<多様な人材の活躍>
・2016年以降、意識改革のため、ダイバーシティ研修を役員、管理職、総合職女性、育児中社員と段階的に実施。2020年、女性社員の活躍の妨げとなるアンコンシャスバイアス[4]の解消にむけ、経営者層向けの講演会や全グループ社員約4300人を対象としたeラーニングを実施。
・全国のダイバーシティ推進担当者が建設現場を直接訪問し、トイレや更衣室、アメニティ設備などを確認する「ダイバーシティパトロール」を実施。働きやすい環境かどうか、結果を社内ホームページで継続的に発信することで、作業所の環境整備と意識改革を促進。

成果

・2019年度の売上高は、2015年度対比132%、当期純利益は同143%と伸長。
・一人当たりの時間外労働は2015年度から4年で39%減少
男性の育休取得率は2.6%(2016年度)から20.9%(2019年度)へ、平均取得日数は4日から27日へと大幅に増加。配偶者の出産時に取得可能な特別有給休暇は取得対象者の 48.8%が利用。
女性管理職は11人(2015年度)から59人(2020年度)と5倍強に、建設現場の技術系女性は14人(2015年度)から33人(2020年度)まで増加。
・ESG経営の取り組みとして建築部門の女性副部長が独自に立ち上げた「クマガイスタープロジェクト[5]」や、延べ1509人が社会貢献活動に参加した「熊谷組スマイルPJ[6]」など、新たな取り組みに対する積極的な行動も広がりつつある。

参考)
経済産業省「令和2年度 新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」,https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/r2besupura.pdf (閲覧日:2022年1月28日)

(2) 建設業:住友林業株式会社 ―ノウハウを、次世代へ。技術継承を支えたシニア人財バンクセンター制度

基本情報

・事業概要:資源環境事業、木材建材事業、海外住宅・不動産事業、住宅・建築事業、生活サービス事業
・従業員数[7]:4979(4,859)、内、女性1017(981)、外国人12(12)、チャレンジド81(40)、高齢者8(0)

課題・背景

・同社顧客の幅広い生活様式や趣向に対応するためには、それぞれの事業領域の専門的知識・スキルを持った人材が常に必要。
・一方で、2021年以降、毎年100人以上の専門性が高いシニア社員が定年退職予定であり、今後、若年層へいかに知識やスキルを継承していくかが課題。
・また、打ち合わせ時間が顧客最優先であったことから、若い世代で時間外労働が常態化。多様な事情を抱える社員が働きやすい環境を整え、人材の定着化を図ることが必要。

注目の取り組み

<シニアの活躍>
・定年退職者と職種をマッチングする「かいかつWEB」を導入。各部が雇用したい職種と経験、資格等の条件を公開すると、再雇用を希望するシニア社員はそれを見て、自身に適した職種を選び、応募する仕組み。「かいかつWEB」はイントラネットからアクセスすることができ、大人数の再雇用希望者と多様な職種の円滑なマッチングを実現。
・2018年「シニア人財バンクセンター」制度を導入。退職した元社員や定年再雇用期間を満了した66歳以上の社員と社内業務をマッチングさせ、希望者は70歳到達年度末まで雇用。工事管理等の技術系や管理系の有資格者、事業や現場に精通した実務遂行能力の高い人材の確保につなげる。

<働き方改革>
・生産性に対する意識を高めるため、裁量労働制から実労働時間に基づいた給与体系に変更。また、注文住宅の営業、設計、生産の各グループにフレックスタイム制度を導入し、生産性の高い社員には賞与を割り増し支給。その他、勤務間インターバル制度[8]在宅勤務制度なども整備。

成果

・2017 年度、退職者60人のうち再雇用希望者 50人全員の雇用を実現。2018年度は、再雇用希望者50 人に対し、70以上の職種の公募が集まる。「シニア人財バンクセンター」には23人が登録し、21人が再雇用延長契約済(2019年2月末時点)。シニア社員ならではのスキル・経験を活かし、顧客との円滑な調整や若手社員への技術継承などを推進
・2018年、残業時間を22%削減(2013年度対比)

参考)
経済産業省「平成30年度 新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」,https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/pdf/H30_diversity_bestpractice.pdf(閲覧日:2022年1月28日)

(3) 製造業:東和組立株式会社 ―属性による「できない」をなくす、IT・IoTによるダイバーシティ推進

次は製造業です。ダイバーシティ&インクルージョン推進で、労働集約型の現場の生産性向上に成功した、東和組立株式会社の事例をご紹介します。

基本情報

・事業概要:自動車用油圧緩衝部品(ショックアブソーバー)の製造
・従業員数[9]:135(123)、内、女性48(40)、外国人38(32)、チャレンジド15(14)、高齢者12(5)

課題・背景

・同社事業である自動車用油圧緩衝部品の製造は、多品種少量生産で煩雑な工程調整が必要。自動化が困難な労働集約型の生産現場。
・同社の立地する岐阜県美濃加茂市では、多くの外国人が製造現場に就労。同社にもブラジル出身者が在籍。また、1971年以降、継続的に障がい者雇用を実施。過去、リーマンショックで派遣社員を大量解雇した経験から、採用は、性別や国籍、障がいの有無にかかわらず正社員雇用を前提としている。
・近年、受注増加に伴い人材不足が慢性化。更なる生産性や品質の向上、納期遵守、技術の伝承等が喫緊の課題に。

注目の取り組み

<働き方改革>
・組織風土改革と改善活動推進にむけ、経営層自らが3S(整理・整頓・清掃)活動を率先して行い、社員の自発的活動を喚起。また、月例改善会を発足し、グループ表彰を実施。社員の気づきやモチベーション向上を促しつつ、業務上の工夫や効率化のアイデアを横展開。
・月1回、全社集会で経営状況や生産動向、改善活動方針などを周知した上、週次で毎回1時間の社長ミーティングを実施。情報を開示し経営層と社員のコミュニケーション機会を増大させることで、組織としての一体感を醸成

<多様な人材の活躍>
・「ダイバーシティを認め働く人と社会に優しく社会に貢献し続ける会社を目指す」を経営理念に掲げ、「IoT改善による経営の効率化とダイバーシティマネジメントの推進」などを盛り込んだ基本方針を制定。
・「障がいのある社員は補助的な仕事」、「女性はオペレーター業務」、「シニアは手直し工程」など、社員の属性ごとに固定化されていた業務内容やプロセスを廃止。属性による「『出来ない』『無理!』をなくすこと」をテーマに、以下のようなIT、IoT技術を活用した作業の簡易化・標準化を推進。属性を問わない相互協力体制を構築し、円滑な業務遂行を実現。

・熟練工が担当していた検査工程に、ITを活用して内製した画像判断装置やタブレットによるバーコード識別装置を導入。外国人やシニア、障がいのある社員も従事が可能に。
・体力・体格に関わらず作業ができるよう、高さ調整が可能な市販の昇降テーブルや、農業用電動運搬車を改造した台車を導入。
・知的障がいや聴覚障がいのある社員にも短時間で正確に指示伝達できるよう、光の点灯で行動開始を知らせる「アクションボード」や声を文字に変換する筆談アプリ「スピーチキャンバス」を導入。
・技術指導における指導者側の時間的負担を軽減するため、聴覚障がいのある社員向けに、手話付きのマニュアル動画「シンプルマニュアル」を作成。さらに、特殊メガネ「スマートグラス」でマニュアルを映し出しながら作業訓練が出来る仕組みにも挑戦。通常のOJTに比べ理解度が向上し、人材育成が効率化。

成果

・さまざまな職場環境改善への取り組みの結果、2019年のモデルラインの出来高生産性は2017年対比で約25%向上。納期遵守率は、目標の90%を達成。取引先の自社評価指数は、0.8ポイント(業務改善要求先)から3.6ポイント(優良取引先)へと大幅に上昇し、新規受注獲得に貢献。
・全社カイゼン活動や風土改革により、社員定着率が向上。障がいのある社員の入社1年後の定着率は、約60%(2016年)から約90%(2019年)へ向上。また、職場環境が「フェア」な会社として地元高校や外国人コミュニティーの評判が向上し、求職者も増加
・2020年中部IT経営力大賞優秀賞受賞 、第1回日本でいちばん大切にしたい会社特別賞受賞。

参考)
経済産業省「令和2年度 新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」,https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/r2besupura.pdf (閲覧日:2022年1月28日)

(4) 電気・ガス業:中部電力株式会社 ―重度障がい者の積極雇用で、生産性向上と企業理解促進を実現

電気・ガス業界では、中部電力株式会社の事例をご紹介します。女性や障がい者など、多様な人材の活躍を推し進め、電力自由化等の大きな環境変化に対応しています。

基本情報

・事業概要:電気事業
・従業員数[10]:1万9407(1万7911)、内、女性2726(1902)、チャレンジド312(196)

課題・背景

・中部5県を中心に電力を供給する同社は、電力の自由化等の環境変化に対応するため、競争力の強化が経営戦略上の重要課題に。
・女性活躍推進を皮切りに、多様な人材の活躍推進の取り組みをスタート。

注目の取り組み

<障がい者の活躍>
・2001年、社会的に数が少なかった重度身体障がい者知的障がい者の雇用促進のため、同社100%出資の特例子会社「中電ウイング株式会社」を設立。バリアフリー完備の施設を新設し、障がい者の就労・活躍を推進。また、一般的に、経営や業務は本社と完全に切り離されることが多い中で、中電ウイングの社長に中部電力の副社長が着任するなど、本社経営陣が経営を兼務。常に特例子会社の取り組みを把握できる仕組みを構築。
・聴覚障がいのある社員の国家資格受験時に手話通訳者を派遣するなど、障がいのある社員の自主的なスキル向上を支援。適性を考慮した配置やカウンセリングによる体調管理などにも注力し、高い定着率を維持。
・「多様な人財活躍支援室」を中心に、精神障がい者の担当業務を新規開拓。本店内に「ビジネスサポートチーム」を立ち上げ、主に、人事部の給与・厚生など社員サービスに係る部署のデータ入力や集計業務などを切り出し。有識者のアドバイスを受けながら、指示の仕方や業務内容を工夫。支店でも同様に活躍の場を広げていくべく、「多様な人財活躍支援室」の室員が支店へと出向き、本店の実例を紹介しながら業務の切り出しをサポート。

成果

社員76人のうち、知的障がい者35人(うち重度7人)、身体障がい者15人(うち重度 12人)、精神障がい者1人の計51人が、印刷、ギフト 商品販売、園芸事業などで活躍
・ビジネスサポートチームへの業務切り出しにより業務が効率化。ビジネスサポートチームが所属する部署の2013 年度労働時間は1人当たり前年度比37%削減。また、ビジネスサポートチームによる帳票発送業務の内製化でコスト削減を実現。
・「共生・人間尊重」の精神に基づき設立された「中電ウイング株式会社」の運営は多くの注目を浴び、国内外の行政機関、企業関係者、特別支援学級の生徒、一般市民ら2万6000人以上が見学に来訪。同社への理解が向上

参考)
経済産業省「平成26年度 ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」,https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/practice/pdf/h26_practice.pdf(閲覧日:2022年1月28日)

(5) 情報通信業:日本ユニシス株式会社 ―多方面からの意識改革・行動変容の取り組みで、チャレンジする組織へ

情報通信業からは、日本ユニシス株式会社の事例をご紹介します。ダイバーシティ&インクルージョン推進で守りの組織風土を改革し、熾烈な競争を勝ち抜くイノベーションを創出しました。

基本情報

・事業概要:クラウドやアウトソーシングなどのサービスビジネス、コンピュータシステムやネットワークシステムの販売・賃貸、ソフトウェアの開発・販売及び各種システムサービス
・従業員数[11]:4483(4,232)、内、女性934(894)、外国人6(6)、チャレンジド68(53)、高齢者27(0)

課題・背景

・システム開発や運用などを請け負う事業を中心にシェアを拡大してきた同社では、決められた仕様・予算・納期でシステムを構築し、安定稼働させることが第一優先事項。
・しかし、先進的な技術を活用するゲームチェンジャーや世界を席巻するプラットフォーマーの躍進により、従来型の事業モデルだけでは成長が困難に。
・事業存続のため、従来のバグを徹底的に見つけ出すレビュー文化、品質第一で失敗を許さない組織風土を変革し、専門性を活かした新たなデジタルサービスの創出・社会解決型のビジネスモデル構築を目指す。

注目の取り組み

<組織風土の改革>
・これまでトップと推進部門が主導していたダイバーシティ推進を、現場の主体的な取り組みへと展開させるため、一部の役員と現場の上位マネジメント、推進部門で「D&Iタスクフォース」を発足。経営層のニーズと現場のニーズを共有しながら、ダイバーシティのあるべき姿や組織の目標について議論。対話型の質の高いコミュニケーションで心理的安全性を高め、自律型の組織風土醸成を先導。
・管理職の意識変革・行動変容を促すため、管理職の評価にダイバーシティに関する項目を追加。さらに、「上司が、気軽に相談できるオープンでフランクな対応を行うこと」など、ダイバーシティ・マネジメントの要素が盛り込まれたエンゲージメント調査を全社員に実施。各組織長が、調査結果と組織のありたい姿を比較・分析し、状況改善にむけた行動計画を社内イントラネットで公開。
・階層別に管理職の責任と役割を明確化するエンゲージメントワークショップを開催し、組織マネジメントに対する意識を強化。直接部下を指導する中間管理職層には、バイアスコントロールや部下の両立支援・指導に関する研修、コーチングプログラムなどを実施。従来のレビュー、チェック文化に基づくマネジメントスタイルから、主体的な行動を促すコミュニケーションへと変革。

<キャリアの多様性の推進>
・社員がさまざまな事にチャレンジし、多様な経験・知見を得ながら自律的にキャリアを構築していけるよう、以下の取り組みを実施。

・新事業創出人材育成のための「Next Principal」や「慶應義塾大学先端生命科学研究所(鶴岡)への留学」など、チャレンジを推奨する多種多様な自主参加型プログラムの提供
・週3時間、新ビジネスのアイデア創出やリサーチなど、担当外のことに取り組む「T3活動」。

成果

・エンゲージメントサーベイの「イノベーションを意識している社員の割合」は 74.9%に到達。新規事業創出プログラムや多様なステークホルダーとのコラボレーションから、デジタル技術を活用した多くの社会課題解決型ビジネスが誕生。
・女性社員の発想から生まれた保育業務支援サービス「ChiReaffSpace®(チャイリーフスペース)」は、2020年現在、約150施設に導入。売上は2017年度の270億円から2020年度の480億円まで成長し、コロナ禍の2021年度も600億円の売上高を予想。連結売上高は3,116億円、当期純利益は182億円と5期連続で過去最高益を更新。
・2017年、MSCI日本株女性活躍指数(WIN)の構成銘柄に選定。2018年、MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数銘柄に選定。

参考)
経済産業省「令和2年度 新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/r2besupura.pdf (閲覧日:2022年1月28日)

(6) 運輸業:大橋運輸株式会社 ―10年にわたる制度整備・組織風土づくりで事業の発展・拡大を実現

長時間労働と人材不足が続く運輸業界。就業環境や風土を整え、社員満足度と顧客満足度アップに実現した2社の事例をご紹介します。

基本情報

・事業概要:一般貨物自動車運送業
・従業員数[12]:111(81)、内、女性22(10)、外国人8(8)、チャレンジド4(4)、高齢者4(0)

課題・背景

・価格競争の激化や労働力不足などから、2010年頃より、大手運送会社の下請けから自動車関連メーカー等の顧客との直接取引へと事業を転換。労働集約性の高い運輸業の中でも、精密な自動車部品の運送には、より高度なスキルや複雑なオペレーションが必要に。
・2014年頃からBtoC領域にも事業を拡大。一般消費者から、遺品整理・生前整理、引越サービスを請け負い、引き取った家財等を主にアジアへ輸出するビジネスを展開。顧客満足度を向上させ信頼と実績を積み重ねるには、輸送、整理業務だけでなく、顧客との丁寧なコミュニケーションが重要。単なる「労働力」にとどまらない、優秀な「人財」の確保と活躍が不可欠に。
・「新たな事業領域への拡大」、「規模は小さくても世界から注目されるキラリと光る中小企業」を目指し、より意識の高い人材の確保と成長を図る。

注目の取り組み

<働き方改革>
・育児や介護等、生活環境に合わせた柔軟な勤務体制を整備。事務職に短時間勤務制度を導入し、週3日、1日4時間から、午前・午後の選択勤務を実現。管理職も、個々の状況に応じて勤務形態を選択可能。また、社員の突然の休暇に備え、ジョブローテーション制度を導入し、互いに業務をカバーできる体制を構築。
・長時間労働を是正するため、残業時間申請を厳格化。運輸業は長時間労働になりやすいため、日々、業務内容の変更やスケジュールの見直しを視野に入れた業務管理を実施。また、繁忙期においても時間外労働を削減できるよう、部署間で連携を強化し、協力体制を構築。さらに、管理栄養士を雇用し、食育、健康 診断管理、保健指導など、従業員・ドライバーの健康管理を実施。運輸業の最重要課題である「安全」を確保。

<多様な人材の活躍>
・就業規則に、短時間勤務等の勤務体制による不平等な扱いや、年齢・国籍・障がいの有無及び性的指向や性自認等による差別やハラスメント行為を禁止すること明記。ハラスメント相談室を設置。約60人のドライバーと管理職・リーダーに向けに、ダイバーシティを含むマナー・ハラスメント研修を実施。
・管理職の意識・行動変革を促すため、経営トップが都度、ダイバーシティ経営の必要性を発信。また、管理職登用の判断基準に、「ダイバーシティ経営の推進と必要なスキル」と「社会情勢の変化に対する成長意欲と行動」を追加。管理職の評価には、思考や成果、部下への配慮やその他のスキルなど、ダイバーシティへの理解と実践を組み込み、行動を伴ったダイバーシティマネジメントを促進。
・管理職のダイバーシティに関する情報のアップデートと知識定着のため、随時、テストやヒアリングを実施。ダイバーシティ推進室からも積極的に情報共有を行ったり、さまざまな挑戦の機会を提供したりすることで、管理職のダイバーシティへの対応力を強化。社員一人一人の特性に合わせたマネジメントを促進。

成果

女性社員比率は2006年の5%から2018年の20%まで上昇。女性管理職の割合も50%まで増加。この他、外国籍社員、障がいのある社員、LGBTQの社員など、多様な人材の活躍に成功。
・経験豊富なシニア社員を含め、Aランクドライバーの比率が2015年の53%から2019年の91%に向上。精密な自動車部品の運送など、新規で始めた自動車関連メーカー等との直接取引の安定化を実現
・生前整理・遺品整理事業では、遺品整理士の認定資格者や福祉住環境コーディネーターなど、多彩なスキルやバックグラウンドを持った中途社員が活躍。多様な顧客に対するきめ細やかなサービス提供により、顧客満足度が向上
・同社が参画するLGBTQ のアライ(理解・支援を行う)活動を通じ、LGBTQ 当事者からも生前整理・遺品整理の依頼が増加。個人向け事業部の売り上げは、2014年から2019年までの5年間で3倍に成長。
・引き取った家財道具等を海外へ輸出する際には、その国出身の社員が仕入れを担当。現地ニーズを細かく反映することで、輸出時の1コンテナ当たりの利益が増加。輸出部門全体で高収益化
・同社のダイバーシティ経営、健康経営の取り組みと実績が評価され、経済産業省の健康経営優良法人を5年連続受賞。地方中小企業におけるダイバーシティ経営のモデルケースとして、さまざまな地域、業界団体、企業、自治体で認知度が向上。新たな優秀な人材の獲得にもつながっている。

経済産業省「令和2年度 新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/r2besupura.pdf(閲覧日:2022年1月28日)

(7) 運輸業:平成レッグス株式会社 ―女性の活躍でドライバー不足を解消し運送収益を向上

基本情報

事業概要:一般乗用旅客自動車輸送事業(タクシー業)
従業員数[13]:30(13)、内、女性10(0)、外国人0(0)、チャレンジド 0(0)、高齢者10(5)

課題・背景

・同社が主な営業エリアとする香川県高松市西部では、高齢化と公共バスの運行本数の激減等により、タクシー需要が増大
・一方、同県の労働人口減とタクシー業界の人気の低さから、同社ではドライバー不足が深刻化。送迎依頼を断るケースも頻発し、2016年の車両稼働率は55%。2008年以降債務超過状態が続き、事業継続の危機に。
・待機児童数全国ワースト9位の高松市では、就業を希望するも仕事に就けない子育て中の女性が一定数存在。働きやすい環境を整備しドライバーとして雇用することで、自社の人材不足解消と、地域社会の課題解決を目指す。

注目の取り組み

<女性の活躍>
・保育施設不足の解消のため、企業主導型保育園「さくらの杜保育園」を開設。社員は優先的に受け入れ、保育料を減額。運営は専門業者に外注し、児童の体調不良に備え看護師も採用。
・「基本給+運送収入に応じた歩合給」という従来の給与制度とは別に、パートタイム勤務の時間給制度を導入。稼ぎ時である朝と夜の勤務が難しい女性ドライバーの安定収入を保証
・女性・未経験者のタクシー業務への心理的抵抗を緩和するため、女性社員専用の待機室を新設。車両には、丸いフォルムにオレンジ色のバックモニター付き電気自動車を導入。車内外をモニターできるドライブレコーダーを設置し、安全面を強化。第二種運転免許取得費用を全額負担。車両整備や車両事故発生時の対応、健康衛生など、必要な知識・スキルは、社長自ら資格等を取得し、社内講習を実施
・新たに、女性ドライバーを中心とするシルバーサポートタクシー事業を開始。目的地への移動だけでなく、子育て中の女性ならではの生活スキルを活かし、買い物、病院、図書館への同行や手続きの代行を実施。さらに、ユニバーサルドライバー資格を取得させ、高齢者や障がい者への対応スキルを強化。顧客の満足度アップと女性ドライバーの活躍につながっている。

成果

子育て中の女性6人から応募があり、4人を採用。資格支援制度の活用により、未経験から知識・スキルを習得し、運送事業とシルバーサポートタクシー事業にて活躍。自身の経験を元にした購入アドバイス等、買い物時の細やかなサポートが好評を博し、女性ドライバーの指名が増加
・2018年の車両稼働率は、2016年度比36%増(約75%)。また、売上にあたる輸送収入は16%増

参考)
経済産業省「平成30年度 新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」,https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/pdf/H30_diversity_bestpractice.pdf(閲覧日:2022年1月28日)

(8) 卸売業・小売業:株式会社足立商事 ―人材獲得と地域産業の継続を支えた細切れ勤務制度

深刻な人材不足から、多様な人材の採用と活躍が急務となっている卸売業・小売業。主婦や高齢者、外国人など、新たな層の採用に乗り出し、試行錯誤を重ねながら人材の定着・活躍へと大きな一歩を踏み出した2社をご紹介します。

基本情報

事業概要:生活雑貨の卸売業、加工業務の受託業
従業員数[14]:47(10)、内、女性 43(5)、外国人 2(2)、チャレンジド 0(0)、高齢者4(0)

課題・背景

・2016年の設立当初、量販店等を顧客とする卸売業・物流業を中心としていた同社は、その後、自社でインターネットショップを開設。生活雑貨をメインとする小売直販事業へと拡大。
・同社経営トップの地元であり、本社や自社倉庫を構える兵庫県丹波市では、過疎化による人材難で製造業等が次々と事業撤退・廃業。一方で、フルタイム勤務の難しい主婦や高齢者などは、就業意欲があっても働ける場がない状況。同社が柔軟で多様な就労形態によって人材を確保し、地元の製造業等から業務を受注することで、地元企業の事業継続と雇用機会の拡大を支援。
・受注業務中心の同社自身も、発注元の繁閑に合わせて業務量が変動するため、柔軟に働き手を確保することが必要。
・受託内容は繊細さを要するプリザーブドフラワーの生産や自動車部品の仕上げなど、機械化が難しい作業。日々変化するさまざまな内容・量の注文に対応しながら、高品質を維持するためには、作業を平準化し、加工業務に従事する社員のスキルを短期間で向上させることが必要。

注目の取り組み

<多様な人材の活躍>
・採用したさまざまな年齢・職歴の社員に、幅広い加工技術を効率よく習得してもらうため、同社が受託する全ての加工作業の内容・プロセスをマニュアル化。1時間当たりの数量の目安やノルマを明記し、作業ごとの評価基準も設定・公開。誰が何を担当しても、効率的に作業できる体制を確立。なお、業務の割り振りは、個々の社員の適性やスキル、業務量や納期を勘案し管理者が決定。割り振られた仕事の成果によって、パート社員も昇給が可能。
・フルタイム勤務が難しい主婦層や高齢者層を雇用するため、1日1時間、週5時間から勤務でき、子どもの病気や親の介護等で急遽早退が必要な場合も、柔軟なシフト変更が可能な完全フリーフレックス制を導入。従業員は毎週末、翌週一週間の就業スケジュールを申告。タイムカードなどで時間管理は厳格に行いつつ、全社のキャパシティを把握し受注量を調整することで、希望に即した柔軟な勤務体制を実現。

<組織風土の改革>
・パート社員について、採用時期を複数人ずつ揃えて「同期」を作り、第1期入社の社員が第2期の社員を指導する体制を構築。社員の出入りがバラバラとなる完全フリー・フレックス制の中で、入社初期の縦・横の連携が助け合いの土壌となり、その後の人材の定着を促進。
・全社員が十分に制度を活用し、気持ちよく働くことができるよう、経営トップが「悪口禁止」を徹底。万一、子育てや体調不良で中抜け・早退をする社員への不満などを耳にした場合は、その背景にある思いや考えを汲み取った上で解決策を講じ、「悪口」としては口にしないよう指導。経営トップ自らが、家庭の事情や仕事への考え方など互いに異なる価値観を受容し、働きやすい職場作りを促すことで、互いに声を掛け合い作業をカバーしあう習慣を形成。

成果

・2018年の受託加工サービスの立ち上げ当初困難が予想された人材確保は、完全フリー・フレックス制が地域で評判となり、一カ月足らずで20人程度の採用が実現。 採用広告を出すことなく口コミだけで同社に履歴書が集まるようになり、7カ月で40人の雇用機会の創出に成功。「働きたいのに働く場所がない」という地域の就業ニーズに応えつつ、「細切れの労働力」を集約することで、生産に必要な加工能力を確保。
・同社の取り組みは周辺地域からも注目され、先進事例としてマスメディアで紹介されることも。認知度が向上したことで受注先が拡大し、課題であった受注の繁閑のばらつきも低減。 創業時1.6億円だった売り上げは、4年間で11億円まで成長。人材不足で事業継続が困難になった企業からの食品加工事業引継ぎの依頼や、製菓工場の新設、新たに20人(内、10 人は障がいをもつ社員)の増員など、事業拡大を継続。

参考)
経済産業省「令和2年度 新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」,https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/r2besupura.pdf (閲覧日:2022年1月28日)
株式会社足立商事「ニュース・リリース」,https://adachi-shoji.com/news-release/(閲覧日:2022年2月25日)

(9) 卸売業・小売業:株式会社ローソン ―外国人社員の定着を促した「equal condition」と「equal opportunity」

基本情報

・事業概要:コンビニエンスストア「ローソン」のフランチャイズチェーン展開
・従業員数[15]:7799(3544)、内、外国人337(102)

課題・背景

・グローバル化が加速する中で、画一的な価値観での意思決定では企業経営は立ち行かなくなると判断。単なる人材獲得策ではなく、ダイバーシティを経営戦略の一部として位置づけ、強さの原点に。
・コンビニエンスストア(CVS)という業態とその中核業務であるスーパーバイザー(SV)に魅力を感じて入社した外国人社員は、入社後まもなくしてアルバイトと共に店舗配属となることに不安を感じ、離職者が続出。外国人社員の定着が課題に。

注目の取り組み

<多様な人材の活躍>
国籍に関係なく平等に処遇するため、留学生と他の新卒社員で同一の評価基準・給与水準を適用。評価は、外国人社員も納得しやすいよう、目標を明確にした上で、その達成度を客観的に判定。また、働く上で文化的なバックグラウンドの違いがハンデとならないよう、留学生には入社前に異文化コミュニケーションや日本の商習慣について研修を実施[16]

<キャリアの多様性の推進>
・キャリアの不安を解消するため、店舗を卒業した入社3、4年目の外国人社員を対象に、「違いを価値に変えることを考える研修」を導入。アシスタントスーパーバイザー(ASV)として改めて将来のビジョンについてじっくりと考える時間を設けることで、本人のステップアップを支援し会社への定着を促す。
・外国人社員を交えた全社横断プロジェクトを発足。本社・関東支社からさまざまな年齢、国籍の社員30人を集め、外国人観光客を取り込むための企画ミーティングを開催。外国人観光客の来日理由や来日前の情報収集方法などについて、外国人社員から意見を聴取。その上で、中国、東南アジア、イスラム圏でチームに分かれ、集客アイディアを検討。

成果

・問題意識の高さや熱意から加盟店オーナーの信頼を獲得したベトナム人社員や、言語の壁を越え、加盟店オーナーやアルバイトに的確な指導を施すトレーニング担当の中国人社員など、スーパーバイザーとして活躍する外国人社員が増加。また、社内外への発信や先輩の口コミなどにより、留学生が活躍できる企業としてのイメージが定着。合同就職説明会などのイベントブースには留学生が列をなすようになり、応募者数が増加。熱意のある優秀な留学生を確保
・外国人社員の定着に向けた取り組みを通して、社内のさまざまなプロセスが向上。例えば、外国人社員が理解できるよう、指示やフィードバックを具体的・論理的に行うよう改善したことで、社内のミスコミュニケーションが減少。確実な業務遂行を実現。また、外国人社員の育成プロセスを、日本人若手社員にも応用。技術中心だった従来の研修体系にキャリアについて考える時間を加え、人材が抱える将来への不安を和らげ、活躍へとつながっている。

参考)
経済産業省「平成26年度 ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」,https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/practice/pdf/h26_practice.pdf(閲覧日:2022年1月28日)

(10) 金融業・保険業:株式会社千葉銀行 ―地道な取り組みでダイバーシティ経営を業界・地域全体に普及

経済界の中でも比較的ダイバーシティ&インクルージョン推進の進みの早い金融業・保険業。従業員も消費者もどんどんと多様化していく中で、いち早くダイバーシティ&インクルージョン推進に取り組み、活動をリードしてきた千葉銀行の事例をご紹介します。

基本情報

・事業概要:普通銀行業
・従業員数[17]:7011(4,387)、内、女性4085(1,896)、外国人32(31)、チャレンジド75(29)、高齢者19(2)

課題・背景

・異業種の参入や金利低下、少子高齢化等により、地方銀行間の競争が激化
・フィンテックの進展等によりビジネスモデルの転換が求められるも、組織はルール偏重で変化が苦手
・「全ての社員が働きやすく、働きがいのある」環境を整え、多様な発想を生み出せる組織となることが必要。

注目の取り組み

<働き方改革>
・中期経営計画の主要課題として、2014年には「ダイバーシティ推進」を、2017年には「全ての職員が輝く働き方改革の実現」を明示し、KPIを設定。全社横断のダイバーシティ推進委員会を設置し、トップダウンとボトムアップの双方向から取り組みを促す体制を構築。
・働き方を見直し、より付加価値の高い業務へシフトするため、現場から効率化提案を募集。1300件超の提案のうち800件超を実施し、業務のシステム化や本部集中化などプロセスを改善。
・長時間労働を是正するため、時間あたりの収益実績向上率を表彰する生産性向上特別表彰や、始業終業時間を変更できるセレクト勤務制度を導入。人事考課・賞与査定にも、生産性向上・タイムマネジメントに関する目標を設定。本部・営業店の全部署にフレックスタイム制と勤務間インターバル制を導入し、TV会議やサテライトオフィスの活用を推進。
・仕事と家庭の両立支援として、事業所内保育所の整備、育児休業期間中に一定期間の慣らし勤務を行う「短日勤務制度」、育児や介護等で一時的に欠員が発生した各支店に支援要員を派遣する「お助け隊」等の施策を展開。女性の育休取得率は100%かつ復職が当たり前の文化が形成され、フルタイムでの復職率も80%と高水準を維持。

<キャリアの多様性の推進>
・個々のキャリア形成をより強力に支援するため、業務内容・昇格などに関するコースごとの制限を全撤廃し、転居を伴う転勤の有無を選択性に変更。さらに、所属長との個別面談「1on1トーク」や人事部との面談を実施し、自律的にキャリアを考える環境を整備。
・若手社員を対象に、スキルや行動特性を見える化する「業務スキル判定」を実施し、より個々のレベルに適した研修や配置を実現。また、全社員が「キャリア開発シート」に自身のスキル・特性や希望業務、行動目標を記入し、所属長からフィードバックを受ける仕組みを構築。
・行内専門部署や行外の異業種に社員を一定期間派遣するトレーニー制度や、職務公募制度「キャリア・セレクトプラン」を毎年実施。専門スキルの習得を支援。

<女性の活躍>
・女性社員の職域拡大を進めるため、対象者約1000名に意識醸成研修を実施。一般職を廃止し、本部企画部門や渉外担当への配置を推進。ロールモデルや取り組み事例の紹介、先輩社員との座談会開催など、全行への意識浸透を図る。
・2014年、同社トップが内閣府「輝く女性活躍を加速する男性リーダーの会」のコアメンバーとして参画。同年、「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」を発足させ、全国の地銀ネットワークを活かした「地銀人材バンク」を創設。これにより、配偶者の転勤に帯同する場合も地銀でのキャリアを継続できるようになり、地銀業界全体の人材不足を補完。2020年1月末までに197人の再就職を実現。現在は、定年後地元に帰郷し就労継続を希望するシニア層も利用可能。

成果

女性の取締役・執行役員が4人、女性部長が6人誕生。女性の支店長・本部副部長・所長は25人、副支店長は58人と、それぞれ一桁台から大幅に増加。取締役会など意思決定の場への女性の参画が進んだことで、より多様な議論が可能に。
・女性渉外担当者は個人分野を中心に36人から207人まで増加。投資型金融商品販売を主担当とする渉外は女性が6割を超え、当分野の成績上位者の7割が女性に。貸出金や預金右は肩上がりに伸び続け、強固な顧客基盤を構築
・2018年度の営業店の平均時間外労働は、1人当たり月4~6時間削減(対2013年度比)。コスト削減とトップラインの増強で本業収益が拡大し、2016年以降、業務粗利益は継続的に上昇
・職務公募制度を通じて新たな業務にチャレンジする社員が増加。2019年には78人(前年の2.5倍、うち女性は4倍)の応募があり、変化を苦手としていた組織風土が変容。
・長年にわたって取組や情報開示をし続けた結果、MSCI日本株女性活躍指数[18]に採用。2019 年6月時点でスコア8.95(最高10)と、高評価を獲得。

参考)
経済産業省「令和元年度 ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」,https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/practice/daiba2020.pdf(閲覧日:2022年1月28日)

(11) 不動産業:ケイアイスター不動産株式会社 ―環境整備と職人育成の効率化で増収増益を実現

伝統的な男性社会と長時間労働のイメージが強い不動産業界。ケイアイスター不動産株式会社は、そんな業界イメージにも負けず、さまざまな工夫や制度を取り入れ女性と外国人材の活躍を推し進めました。

基本情報

・事業概要:戸建分譲事業、注文住宅事業、総合不動産流通事業、アセット事業、管理事業、宅地造成
・従業員数[19]:1048(637)、内、女性346(216)、外国人53(3)、チャレンジド11(3)、高齢者15(0)

課題・背景

・「日本一憧れの会社」をビジョンに掲げる同社は、不動産業界の「男性中心」「長時間労働」というイメージを払拭し、業界の地位向上を実現するリーディングカンパニーが目標。
・スピード感を持った事業拡大と業績向上を実現するため、全ての人にとって働きやすくやりがいのある職場を作り、人材を確保・定着・育成することが経営課題。
・一方で、BtoCの不動産営業は夕方以降の商談が多いこと、施工管理や職人といった現場に女性社員がいないこと、管理職層に「性別役割分業意識」が強く根付いていることなどから、就業環境としては女性が活躍しにくい状態。
・また、職人の高齢化によって、住宅を施工する自社の職人不足が深刻化。「社内責任一貫体制」で高品質・低価格の分譲住宅を強みとする同社にとって、後継者育成は喫緊の課題に。

注目の取り組み

<女性の活躍>
・ケイアイスター不動産で活躍し結果を上げる女性社員を「K女」と称し、女性社員同士のネットワーク「K女ミライプロジェクト」を発足。設計や営業などさまざまな部門に所属する女性社員が商品開発を行う「IKIIKIme(イキイキミー)」プロジェクトや、パパママセミナーなどワーク・ライフ・バランスのための啓発活動の基盤となる。この他、女性のライフイベントに対する男性の意識改革や、同社女性社員が運営する働く女性応援コミュニティ「ふどうさん女子」の会員制ワークショップなど、さまざまな取り組みを実施。
・女性が入社後思い切り働けるようにするには、出産しても復帰でき、復帰後も以前と同等か、それ以上のキャリアを営業部門で目指せる環境を作ることが必要、という経営トップの考えのもと、地域の不動産会社を顧客とする法人営業部署を新設。従来のBtoCを基本とする営業部では午後6時以降も顧客訪問が必要であったが、新たな職域により定時帰宅・土日休みが可能となったことで、結婚・出産後のキャリア継続が容易に。この他、時差勤務・時短勤務・在宅勤務など、各種制度も拡充。

<キャリアの多様性の推進>
・職人の自社育成を目指し、クラフトマン(社員職人)制度を導入。同時に、毎年5~10人のベトナム人技能実習生の受け入れを実施。「背中を見て覚える」という風潮の職人世界に、「教え育てる」というOJTの概念を取り入れた育成プログラムを採用。現場を持つための10段階の昇級試験を定期的に受けさせることで、技術の習得状況を可視化
・年2回、経営層との面談を実施し、技術者がそれぞれ抱える課題をヒアリング。課題克服に適したリーダーの下へと再配置することで、成長を支援。顕著な功績を修める人材は表彰し、能力に応じて役職を付与。また、寮でベトナム料理をふるまう交流会を開催したり、ベトナムでの採用活動時にベトナム人社員を同伴し帰省を促したりするなど、リフレッシュ機会も提供。

成果

女性取締役1人(中途入社後、活躍し昇進)、女性執行役員1人(新卒入社)を輩出。2015年0人だった女性管理職は2020年には17人に増加。女性営業社員数は46人から85人の185%増。女性現場監督は4人から 16人の4倍に増加。
・2016年以降、女性の産休・育休取得後の復職率100%。2019年度、男性の育休取得率は 53%に到達。同社への応募者数は2016年度から5年連続で増加。
・製販一体化したビジネスモデルが奏功し、2020年3月現在まで 5年連続増収増益
・経済産業省「なでしこ銘柄」2年連続認定、埼玉県における「多様な働き方実践企業」プラチナプラス取得、日本における働きがいのある企業(Great Place To Work)に5度ランクイン。
・特定技能を含むベトナム人社員は約50人となり、内、19人は後輩の指導役として活躍。技能実習生の送り出し機関において同社の知名度が上昇。また、ベトナム人技能実習生の作業スピードや品質の高さから、国土交通省「優秀外国人建設就労者」表彰を2年連続で受賞

参考)
経済産業省「令和2年度 新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」,https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/r2besupura.pdf (閲覧日:2022年1月28日)

(12) 宿泊業・飲食サービス業:京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社 ―障がいのある社員の戦力化で、選ばれるホテルへ

民泊の普及や新店オープンが続いた宿泊業では、客室供給量が増加したことで競争が激化。数ある宿泊サービスの中から自社を選んでもらうべく、従業員の意識変革・行動変容で顧客満足度向上に結び付けた2社をご紹介します。

基本情報

事業概要:宿泊業
従業員数[20]:826(477)、内、女性397(198)、外国人9(1)、チャレンジド17(1)、高齢者11(0)

課題・背景

・外資系ホテルを含む新店ラッシュや異業種からの参入、民泊の台頭などにより客室供給が増加し、宿泊業の競争環境が激化。
・一方で、24時間稼働による長時間労働と有給取得率の低さから宿泊業への就業者数は年々減少し、人材不足が常態化。
・熾烈な競争を勝ち抜くためには、顧客のさまざまなニーズに気づき、それに応えるホスピタリティの高い商品・サービスの提供が必要。
・そのためにも、従来の枠組みに捕らわれずイノベーションを起こせる優秀な人材の確保と早期育成、多様な人材の受け入れが急務。

注目の取り組み

<組織風土の改革>
・同社におけるダイバーシティの意義・目的を「女性も男性も、若手もシニアも、障がいや持病のある方も、国籍にもとらわれることなく、持てる力を最大限に発揮でき、誰もが活躍できる企業を目指す」、「従業員それぞれがユーザー視点(女性・障がい者・多国籍等)を持った商品開発、サービス向上に取り組むことで“顧客視点からのホテル作り”を行い、オンリーワンとしての地位を確立する」と定義。年に2、3度ある社員説明会で、取り組みの進捗状況とともに繰り返し発信。

<働き方改革>
・働き方改革として、労働時間管理の徹底や社員の意識改革、勤務シフトの見直し、適正な人員の採用と再配置、業務の効率化などを実施。また、各ホテルの部門ごとの時間外勤務の状況や有休取得率を一覧化し、目標値との乖離を各部門や個人の評価に反映

<障がい者の活躍>
・「障害のある社員も一人の戦力としてともに働く職場」を目標とした、障がい者雇用プロジェクトを開始。総務・人事をリーダーに、各部から選任されたスタッフが参画し、適材適所のための業務分析や、職場見学会の実施や就労前実習といった採用フローを確立。採用後は、各部門長やOJTリーダー、就労移行事業所のジョブコーチなどさまざまな人達と緊密に連携し、障がいのある社員の活躍・定着をサポート。

成果

・2015年頃まで30%前後であった年次有給休暇の取得率は、2018年度には79.8%に向上
・障がい者雇用プロジェクトを通じた業務の見直しにより、無駄な業務の削減に成功。また、「どうすれば顧客に最大限の価値を提供できるか」という視点から日々の業務を改善できるようになり、顧客満足度が向上。琵琶湖ホテルの営業損益は2019年度第1四半期25百万円で、対前年同期比36百万円の増益となった。
・精神障がいや聴覚障がいのある社員12人(トライアル雇用5人含む)がそれぞれの現場で活躍。障害者雇用率は3.2%(2020年2月時点)。

参考)
経済産業省,「令和元年度 新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」,https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/practice/daiba2020.pdf(閲覧日:2022年1月28日)

(13) 宿泊業・飲食サービス業:株式会社中沢ヴィレッジ ―多様な社員の意見を吸い上げ、顧客満足度を向上

基本情報

事業概要:ホテル・旅館等宿泊施設の経営
従業員数[21]:総従業員数269(98)、内、女性119(34)、外国人81(25)、チャレンジド7(2)、高齢者66(14)

課題・背景

・同社が総合型温泉リゾートを構える草津温泉は、国内外問わず非常に高い人気を誇る温泉地である一方で、日本に数多く存在する他の温泉と、いかに差別化を図っていくかが課題。
・同社の社是「歩み入る者にやすらぎを 去り行く人にしあわせを」に基づき、かねてより障がい者や高齢者なども特別扱いすることなく従業員として受け入れ。さらに、日本の観光・サービス専門学校を卒業する外国人が増加したこと、草津温泉全体の外国人に対する抵抗感の低さから、同社で勤務する外国人も増加。
・多様な人材を抱える一方で、経営上の決定など社内のさまざまな取り決めはトップダウンであり、同社サービスの改善のためには、社員からもっと多くの意見を吸い上げ、課題を整理・統合して解決する仕組みが必要。

注目の取り組み

<組織風土の改革>
・次代の経営を担う課長レベルによる「提供価値プロジェクト」を発足。「当社の本質的価値」を再定義し、従業員が社是と日常の行動を結び付けられるよう、「あるべき姿」とそれを実現する「行動五原則」を策定。さらに、「戦略ストーリーマップ」を策定し、同社の今後の戦略を見える化して社員に共有。
・社員のモチベーションアップ、主体的行動の促進を目的に、MBO制度(目標管理制度)[22]を導入。「顧客満足度の向上」や「飲料の売上向上」、「客室に関するご指摘ゼロを目指す」等、社員自らが目標を定め、その達成状況について定量・定性の両側面から評価を行う。なお、評価は「価値提供プロジェクト」の課長クラスが担うことで、共通の価値基準をしっかりと共有した公正な評価、スムーズな制度運営を実現。
社長・上長と従業員との面談機会を新設。原則三カ月に一度、日々の困りごとや現場の改善アイディア、今後チャレンジしたい業務などをヒアリング。

成果

・「ダイバーシティフードフェア」など、月ごとに設定したテーマに各部門が連携して取り組む「トータルマーケティングプラン」や、稼働率の低い時期は休館期間とし、従業員の連続休暇やメンテナンス等に充てる、といった従業員発のアイディアが実現
・従業員のモチベーションアップにより、ホテル全体のサービスの質が向上。宿泊客のNPS(ネット・プロモーター・スコア)[23]は、外国籍社員に対する評価を中心に高得点を示すなど、温泉施設等のハード面だけでなく、接客等ソフト面における評価がアップ
・2018年、本白根山の水蒸気噴火といった外部環境の変化により客数・売上は減少しつつも、客単価は年間で約1600円増加

参考)
経済産業省「平成30年度 新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」,https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/pdf/H30_diversity_bestpractice.pdf(閲覧日:2022年1月28日)

(14) その他サービス業:株式会社アクタガワ ―未経験者採用を成功させた、「自由」で「自律」した働き方

最後は、その他サービス業です。人材難が叫ばれる介護業界で、従業員の「自由」と「自律」を尊重した働き方で人材不足の解消と利益拡大に成功した、株式会社アクタガワの事例をご紹介します。

基本情報

事業概要:介護、医療福祉人材派遣・紹介、保育事業等
従業員数[24]:770(253)、内、女性578(142)、外国人 5(1)、チャレンジド 11(1)、高齢者 132(0)

課題・背景

・「人間の生きがいを追究し、豊かな地域コミュニティを創造する」を経営理念に掲げる同社では、社員自身の「生きがい」も大切にし、かねてより「自由」な働き方と「自律」して活躍できる環境を整備。
・人材不足が叫ばれている介護業界において、主流の社会福祉法人ではなく株式会社を選択した同社は、営利企業というイメージから求職者を集めづらい状況であった。

注目の取り組み

<多様な人材の活躍>
・設立当初より応募条件を介護経験不問とし、女性やシニアも含め幅広い層から人材を採用。初任者には、自社全額負担の資格取得講習を開催。また、未経験者でも一定水準以上のサービスを提供できるよう、属人的な介護業務の手順を標準化し、静岡県内介護業界初となるISO9001認証[25]を取得。さらに、研修専門の部署を作り、毎月全社員を対象にマンツーマンのスキル研修を実施。社員一人一人の経験やレベルに合わせたスキルアップを実現。
・多様な社員が「自由」に働けるよう、毎月の給与明細に就業環境に関する要望記入用紙を同封し、社員の要望に沿った以下の制度を導入。

・子育てコース:子どもが3歳から小学校3年生までの間、勤務日数や労働時間を自由に組み合わせられる。
・家族介護支援制度:同社介護サービス利用料を30~100%負担。
・同伴・アフターデイ制度:要介護の家族を連れて出勤後、退勤時までそのまま預けることが可能。
・管理職一旦お休みコース:管理職社員が何らかの事情で管理職として働き続けることが困難な場合、一時的に職位を退き、状況が落ち着いた後は元の職位・給与に戻ることができる。
・カムバック応援制度:留学や資格取得、転職などで退職した社員が復帰できる。
・シニア向けの職種の新設:ライフスタイルや体力に合わせて、朝や夕方を中心に、肉体的に負担の少ない業務を行う。

・多様な人材が「自律」して活躍できるよう、「目標発表会」では社長が直々に会社の方針など経営情報を全社員に開示。また、経営会議を含む全会議の議事録も社内SNS上で公開。会社全体を意識した各社員の自律的な行動を促進。

成果

・介護経験を問わず女性やシニアを積極採用したことで人材不足を解消。全従業員の75%を女性、17%をシニア社員が占め、働きやすい環境が整備されたことで、勤続年数も伸長。管理職(9人/32人)や取締役(2人/7人)となる女性も出ており、新規事業の企画・運営を主導するなど、多方面で活躍している。
・自律的行動によって労働生産性が向上し、経常利益は 2014年度比で2015年度は2倍、2016年度には5倍、2017年度には6倍に増加。また、2013年には14施設81事業所だった拠点は2018年現在23施設105事業所にまで拡大し、19期連続増収を実現。

参考)
経済産業省「平成30年度 新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」,https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/pdf/H30_diversity_bestpractice.pdf(閲覧日:2022年1月28日)

[2]  2020年7月現在。( )内は正規従業員数。
[3]  the Challenged。障がいをもつ人、挑戦という使命、チャンスを与えられた人の意。
[4] 無意識の思い込み。
[5] ミャンマーにおける小中学校の教室不足を解消するため、現地作業員に安全管理などのアドバイスを行いながらNGOと共同で校舎の建設寄付を行うプロジェクト。取り組み方法を改善しながら現在3校に校舎を寄贈。
[6]  社会貢献活動に参加した社員数に応じ,会社が社会課題に取り組む団体へ社会貢献費を拠出するプロジェクト。2019年に運用を開始。
[7] 2018年3月現在。( )内は正規従業員数。
[8] 前日の終業時間から翌日の勤務開始まで11時間の休息時間を確保。
[9] 2021年1月現在。( )内は正規従業員数。
[10] 2014年8月現在。( )内は正規従業員数。
[11] 2020年8月現在。( )内は正規従業員数。
[12] 2020年8月現在。( )内は正規従業員数。
[13] 2018年9月現在。( )内は正規従業員数。
[14] 2020年8月現在。( )内は正規従業員数。
[15] 2014年2月現在。( )内は正規従業員数。
[16] 例えば、「おせち文化」は、日本人であれば当然に理解しているが、外国人社員にとっては馴染みがなく、小売業として知っておくべき重要な日本人の購買行動を理解することが難しい。
[17] 2019年7月現在。( )内は正規従業員数。
[18] 米国ニューヨークのMSCI社が開発した、ESG投資のための株価指数。性別多様性に優れた企業を対象に構築される。
[19] 2020年8月現在。( )内は正規従業員数。
[20] 2020月2月現在。( )内は正規従業員数。
[21] 2018年8月現在。( )内は正規従業員数。
[22] 従業員が主体的に目標を設定し、達成にむけプロセスを管理する制度。
[23] 顧客の同社推奨率を測る指標
[24] 2018年7月現在。( )内は正規従業員数。
[25] 一貫した製品・サービスの提供、顧客満足度の向上等を目的とした品質マネジメントシステムの国際規格。

3. まとめ

いかがでしたか?本稿では、ダイバーシティ&インクルージョン推進の企業事例を業界別14件、ご紹介しました。

各事例で挙げられている課題を読むと、以下のようなキーワードを拾うことができます。

・人材不足
・女性活躍推進
・外国人材の定着
・優秀な人材の確保
・技術や知識の伝承
・事業変革
・イノベーション
・競争力の強化

いずれも、今現在日本企業が課題としているトピックばかりですね。

人材不足を解消し、企業の生産性を上げる
人材が持つナレッジやスキルを共有化し、企業の資産とする。
人材の多様性から導かれるさまざまなアイデアを元にイノベーションを起こし、企業の競争力を強化する。

個別の課題に個別の対策を講じるのではなく、組織に変革をもたらすことで、複合的に課題を解決に導くという点が、ダイバーシティ&インクルージョン推進の醍醐味であり、最大のメリットかもしれません。

ぜひ本稿でご紹介した個々の事例の内容や、各企業の考え方、課題へのアプローチ方法などを、自社の取り組みの参考として、ご活用ください。

参考)
経済産業省「令和2年度 新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/r2besupura.pdf (閲覧日:2022年1月28日)
経済産業省「令和元年度 新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/practice/daiba2020.pdf(閲覧日:2022年1月28日)
経済産業省「平成30年度 新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/pdf/H30_diversity_bestpractice.pdf(閲覧日:2022年1月28日)
経済産業省「平成26年度 ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集」https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/practice/pdf/h26_practice.pdf(閲覧日:2022年1月28日)
株式会社日本取引所グループ「業種別分類項目及び業種コード」https://www.jpx.co.jp/sicc/sectors/nlsgeu00000329wk-att/gyousyu.pdf(閲覧日:2022年1月28日)
株式会社ライトワークス「ダイバーシティ&インクルージョンとは 考え方・進め方を徹底解説!」,『Lightworks BLOG』,https://research.lightworks.co.jp/diversity-and-inclusion(閲覧日:2022年1月28日)
一般財団法人日本品質保証機構「ISO9001(品質)」https://www.jqa.jp/service_list/management/service/iso9001/ (閲覧日:2022年2月25日)
株式会社足立商事「ニュース・リリース」,https://adachi-shoji.com/news-release/(閲覧日:2022年2月25日)
MSCI,「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」https://www.msci.com/msci-japan-empowering-women-index-jp (閲覧日:2022年3月4日)

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